映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

鑑定士と顔のない依頼人 

2013年12月25日 | 映画(か行)
鑑定士=偽装を見破ることが仕事だが・・・



* * * * * * * * * *

天才的審美眼を誇る鑑定士でありオークショニアでもある、
バージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)。
彼のもとへ、資産家の両親が残した絵画や家具を査定してほしいという依頼が入ります。
しかし、その依頼人の女性クレアは、
屋敷内の隠し部屋にこもったまま姿を表しません。
好奇心に駆られバージルはひそかに彼女を盗み見てしまうのですが、
その時から彼女に心を奪われていきます。



クレアはつまり引きこもりということなのです。
人に姿を見られることに恐怖心を抱いている。
一方、バージルの方も実は対人恐怖症といいますが、
人と直に触れ合うことに恐怖心を抱いているのです。
だからこの年まで生身の女性を知らない。
 
彼の唯一の心の慰めは、マンションの隠し部屋の壁一面に架けられた古今の肖像画。
それも皆女性です。
この場面にはちょっとグッと来ましたね。
どの絵も皆個性的でたおやか。
実際にこんなコレクションがあったら、
是非見てみたいと思いました。
こんな二人だから気持が引き合ったのかどうか・・・。



ここに登場する自動人形、オートマタのことがまた気にかかります。
私ははじめの方では、
この家に隠れ住んでいるのは実は、オートマタというオチ?
などと疑っていたのです。
もしくは二目と見られない崩れた顔をしているとか・・・。
違いましたねえ・・・。


しかし時にこの女性・クレアが
そんな機械のような表情をしたりするので、ドキドキします。
気まぐれで感情がくるくる変わり、姿を表すこともない。
こんな不可思議な女性で、しかも美女とあっては、
バージルなどイチコロなのも無理はありません。


しかし中盤辺りから、私の心には赤信号が灯り始めました。
絶対に何かある。
これが唯の老いらくの恋の物語であるはずがない。
なんだろう。
狙いはやはりアレなのか・・・。


いやいやそれにしても、ここまで完膚なきまでに破滅を描くスーリーだったとは
いやはや・・・でした。
ジム・スタージェス。
爽やかで良い青年だったんですけどねえ・・・。
あ~・・・。



鑑定士とはつまり偽装を見破るのが仕事。
人の動きを偽装するのがオートマタ。
では人の心は偽装できるのか。
例えば愛は・・・?
そういう物語なのでした。

「鑑定士と顔のない依頼人」 
2013年/イタリア/131分
監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルビア・ホークス、ドナルド・サザーランド、フィリップ・ジャクソン
偽装度★★★★★
お気の毒度★★★★☆
満足度★★★★☆


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良いお年を~ (cyaz)
2013-12-31 22:44:31
たんぽぽさん、こんばんは^^
久しぶりにトルナトーレ監督にすっかり騙されてしまいました。
あの結末は二通りの解釈が出来るようですが、
もう一度年明けに観てみたいなぁと思っています。

さて、2014年はどんな年になるでしょうね?
いい映画に出合えることを期待しつつ、
来年もよろしくお願いいたしますm(__)m
どうぞ良いお年を~♪
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あけましておめでとうございます (たんぽぽ)
2014-01-01 11:36:01
>cyazさま
二通りの解釈?
そうなんですか?
よくわかりませんでした・・・。

2014年、色々な作品に出会うのが楽しみですね。
こちらこそ、今年もよろしくお願い致します。
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