母と娘。女。
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写真家として成功しているジャニス(ペネロペ・クルス)は、
同じ産科の病院で17歳のアナ(ミレナ・スミット)と出会います。
そして同じ日に双方女の子を出産。
共にシングルマザーとして生きていくことを決意し、再会を誓って退院。
その後ジャニスはセシリアと名付けた娘を大切に育てていましたが、
父親であるはずのもと恋人から「自分の子供とは思えない」と言われてしまいます。
気になってDNA検査を受け、セシリアが実子でないことが判明。
ジャニスは産院でアナの娘と取り違えられたことに思い当たります。
しかし悩んだ末にジャニスはこの事実を封印し、
アナとも連絡を絶ってこのままシングルマザーとして生きようと決意。
しかし1年後、ジャニスは偶然にアナと再会。
アナの娘が亡くなったことを知ります・・・。
ジャニスは血のつながりなどなくても、十分以上にこの娘を愛していたし
これからも愛せると確信していたのでしょう。
けれど、実子と信じている娘を亡くしたアナにとって、
実の娘が実は生きていると知るべきなのかそうでないのか・・・
また悩んでしまうジャニス。
アナの母親は俳優になる夢をずっと持っていて、
この度は娘アナの出産や育児すらも捨てて、舞台で地方巡業に行ってしまいます。
自分の夢を優先する、母親として失格な母。
そう自覚している母。
そしてまた、アナの妊娠の経緯というのがまた悲しい・・・。
ではあっても、出産して子供を心から愛するアナの姿にも心打たれます。
母と娘・・・。
その有り様は様々でどれが正解とは言えないけれど、
そこにはそれなりの形の「愛」があるのでしょう。
女の生き方は一つではない、ということでもありますね。
そして本作、もう一つのテーマにスペイン内乱の悲劇があります。
アナの故郷の村で、過去に虐殺された曾祖父や親類たちが埋められた墓地があり、
改めてそこを発掘調査することになるのです。
失われかけた家族の愛と歴史がまた蘇っていく。
そして新たな命はまた形を変えて続いていくのでしょう。
ペドロ・アルモドバル監督×ペネロペ・クルス。
鉄板の名作です。
<Amazon prime videoにて>
「パラレル・マザーズ」
2021年/スペイン・フランス/123分
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス、ミレナ・スミット、イスラエル・エレハルデ、
アイタナ・サンチェス=ギヨン、ロッシ・デ・パルマ
母子の絆度★★★★☆
スペインの歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★★
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