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「永遠のディーバ 君たちに明日はない4」 垣根涼介

2014年10月31日 | 本(その他)
才能とは、あきらめない気持ちを持ち続けられること

永遠のディーバ: 君たちに明日はない4 (新潮文庫)
垣根 涼介
新潮社


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リストラ面接官・村上真介の今度の相手は、
航空会社の勝ち組CA、
楽器メーカーでくすぶる元バンドマン、
ファミレスの超優秀店長、
おまけに、破綻した証券会社のOBたち。
企業ブランドも価値観も揺らぐ時代、あなたは明日をどう生きる?
全ての働き人たちにパワーを届ける、人気お仕事小説第4弾!


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垣根涼介さんの「君たちに明日はない」シリーズ第4弾。
リストラ請負人村上真介が、奮闘します。
本作は、陽子さんとの関わりがあまりなかったのがちょっと残念なのですが、
どの作品もそれぞれの人の価値観が語られていて、
とても良かったと思います。


中でも心に残ったのは、表題作の「永遠のディーバ」。
真介の相手は「楽器メーカーでくすぶる元バンドマン」なのですが、
彼が心中気になっていた、ある女性歌手が登場します。
龍造寺みすづ。
デビュー時はその圧倒的歌唱力で一世を風靡したけれど、
その後所属プロダクションのアイドル路線の売り出し方と合わず、
疲弊し潰れていく・・・。
けれど、彼女の歌唱力と歌いたいという思いだけは変わらず、
その後も20年間、
ショッピングセンターのアトラクションなどでさえも出演するという
地味な活動を続けていた。
才能とは、挫けそうになっても
諦めずに続けることができる強い心を持っていること
・・・真介はそう思います。
彼女の生き様が本当に鮮烈で、ぜひ彼女の歌を聞いてみたくなってしまいました。
架空の人物ではありますが、
実のところ、彼女のように地道な活動を続けている
かつて一世を風靡したミュージシャンというのは大勢いるのではないでしょうか。
実は、もてはやされたその当時よりももっと円熟し、
その人らしさをにじませ、渋みと凄みを増して・・・。


本巻、単行本の時は、別の作品「勝ち逃げの女王」が表題だったそうです。
そちらは航空会社CAの話で、それも悪くありませんが、
やっぱり、こっち。
キマリです。

「永遠のディーバ 君たちに明日はない4」垣根涼介 新潮文庫
満足度★★★★☆


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
永遠のディーバ~ (cyaz)
2014-11-01 12:49:48
たんぽぽさん、こんにちは^^

僕もつい先日この本を読みました。
やはり「永遠のディーバ」が良かったです!
そして「迷子の王様」も読了しました。
このシリーズ、もっと続けて欲しかったのですが、
一応5作目で完結です(笑)
その理由は5作目で明らかに。
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文庫まち (たんぽぽ)
2014-11-01 19:50:25
>cyazさま
え~、そうなのですか、5巻で完結・・・。
私はあくまでも文庫まちなので
それを読むのはまだ先になりそうですが・・・
陽子さんとの関係に変化あり?ですかね?
まあ、楽しみにすることにします。
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