空中で孤軍奮闘する女
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1943年。
ニュージーランドからサモアへ最高機密を運ぶ任務を受けた、
連合国女性大尉モード・ギャレット(クロエ・グレース・モレッツ)。
B17爆撃機フールズ・エンドラ号にのって、飛び立ちます。
モードは男性乗組員達からセクハラざんまいの言葉を浴びせかけられたあげく、
席がないとのことで、銃座に一人追いやられてしまいます。
狭苦しいその場所で、モードは自機の右翼にまとわりつく謎の生物を目撃。
その後も次々に想像を絶する試練に見舞われながら、
大切な荷物を守りつつ、決死の戦いを繰り広げるモードですが・・・。
機にまとわりついていた謎の生き物とは、グレムリンでした。
そのころ、パイロットの間で「飛行機を壊す悪魔」と呼ばれて、
その存在がウワサされていたのですが、実在するとは皆思っていなかった。
それで本作は、クロエ・グレース・モレッツ VS グレムリン VS 日本軍・ゼロ戦という、
いささかムチャクチャなアクション作品なのです。
でもしかし、こうなったら笑って楽しむ他ないじゃん、
という感じで、開き直って楽しみました。
この機の男達は、女性差別発言に長けている以外はあまり頼りになりません。
それで、モードはほとんど孤軍奮闘、グレムリンとゼロ戦を相手に戦い抜くのであります。
まるで、「エイリアン」のリプリーのように。
彼女には護るべきものがあるから。
それは任務である“最高機密”の入ったカバン。
始めモードが閉所恐怖症の発作が起きそうな狭苦しい銃座に閉じこもったときに、
彼女の座ったままのシーンが長く続きます。
機内の乗員とは無線通話だけ。
そして、そこから出ようとしてもハッチが壊れて出られなくなってしまう。
身動きできない場所で、通信会話のみで進行する斬新的なドラマなのか?と、
一瞬思ったのですが。
そういうのも、面白そうですけどね。
けれどそうはならず、やがての彼女の脱出方法に度肝を抜かれるのです。
なんと彼女は機体の外側を通って、再度機内へ潜り込む。
もちろん、飛行中ですよ!
最後には、地上でモードとグレムリンの肉弾戦。
モードがボコボコに殴りつけたグレムリンとは、
実は、女性を見下し差別する男達の象徴に他ならないのだろうと確信します。
まあ、とにかく痛快です。
こういうのも悪くない。
<WOWOW視聴にて>
「シャドウ・イン・クラウド」
2021年/ニュージーランド、アメリカ/83分
監督:ロザンヌ・リャン
出演:クロエ・グレース・モリッツ、ビューラ・コアレ、
テイラー・ジョン・スミス、カラン・マルベイ、ニック・ロビンソン
アクション度★★★★☆
満足度★★★.5
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