映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

溺れるナイフ

2017年05月13日 | 映画(あ行)
青くて苦くて固くて尖っていて・・・



* * * * * * * * * *

コミックの映画化、ということで、
胸キュン的学園モノのラブコメかと思えば、さにあらず。
青く苦みのある作品です。



東京で雑誌モデルをしていた少女・夏芽(小松菜奈)。
父が実家の旅館を次ぐことになったため、
父の故郷の田舎町・浮雲町に越してきます。
田舎町の退屈さにうんざりしていた夏芽ですが、
コウ(菅田将暉)という少年と海岸で運命的な出会いをします。
コウは地元一体を取り仕切る神主一族の跡取り息子。
気まぐれで傍若無人、金髪。
いつも冷めた目をしている彼に何故か惹かれてしまう夏芽。
一方コウもまた、この町では異質な、
モデルとしてのオーラを放つ夏芽に惹かれていくのでした。
二人はともにいるとどこへでも行けそうな、なんでもできそうな高揚感に包まれます。





しかし、この町の一大行事である火祭の夜に、予期せぬ事件が起こります。
そのできごとで夏芽もコウもすっかり傷つき、
自信を失い、絆は途切れてしまいますが・・・




いやはや、オバサンとしてはこの少女も、少年も、
怖くて近寄りがたく感じてしまうのでありますが、
でも、若さゆえの硬質、ナイフのようにするどく尖った感性は、わからなくもありません。
運命的に魂が惹きつけられ呼び寄せ合う・・・
そんなこともあるもんだよねえ・・・。
そして二人が陥っていく闇もまた、若さゆえなのでしょう。
これがいい年した大人なら、ここまでは深刻にならないか。



・・・というふうに、オバサンをも納得させてしまう力が本作にはあるような気がします。
若さって青くて苦くて固くて尖っていて・・・
だけども美しいなあ、と。


「溺れるナイフ」
2016年/日本/111分
監督:山戸結希
原作:ジョージ朝倉
出演:小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、上白石萌音

青春度★★★★★
満足度★★★.5



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