映画と本の『たんぽぽ館』

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峠 最後のサムライ

2022年06月21日 | 映画(た行)

中立の覚悟もむなしく・・・

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徳川慶喜による大政奉還で、260年の江戸時代が終焉を迎えた時・・・。
越後、長岡藩牧野家の家老、河井継之助(役所広司)の物語。

長岡藩としては、継之助の主導により、幕府側、官軍側、どちらにも属さず、
中立と独立の立場を目指そうと方針を固めます。
しかし官軍は、自軍に恭順しないものは敵とみなして攻撃を始め、
否応なく戦闘状態に・・・。

長岡藩家老の河井継之助は、実在の人物。
江戸や長崎に遊学し、世界を見据えるグローバルな視野を身につけています。
このたび中立の立場を目指しながらも、
近代兵器を備えるなど、武装も怠りません。
スイスのような、武装中立を目指したのです。

しかし敵軍が攻撃を仕掛けてくれば、応戦するほかありません。
状況は圧倒的に錦の御旗をかかげる官軍に有利。
しかし、これまで幕府より受けた多大な恩義に応えるために、
あえて、会津藩などと手を結び、闘う道を選ぶ継之助。
死を覚悟で戦いに挑む。
これぞ、「最後の侍」なのでした。

知識豊かで人望に厚く、おのれの覚悟もできている。
私たちが胸に抱く美しい「武士」の姿です。
それは滅びの美でもある。
ということで、日本人の美意識をくすぐる、まさしく正統派の時代劇。

まあ、そういうことに少し物足りなさを感じてしまうのは、
私があまのじゃくなためか、それとも、
その武士のあり方にうさんくささを感じているためなのか・・・。

どんなにみっともなくても生き残ることを考える人間くささも、
嫌いではないけどな・・・と、私は思う。

でも継之助は命をかけるのはあくまでも自分の思いとして、
周囲の人々には極力助かる道を指し示しています。
そういう所はやはりカッコイイ。

 

<シネマフロンティアにて>

「峠 最後のサムライ」

2022年/日本/114分

監督・脚本:小泉尭史

原作:司馬遼太郎

出演:役所広司、松たか子、香川京子、田中泯、永山絢斗、芳根京子

 

武士力度★★★★★

満足度★★★.5

 



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