年月を経たからこその
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大ヒット作「グラディエーター」の、24年ぶりとなる続編。
私、つい最近「グラディエーター」は見直していて、予習はバッチリでした。
冒頭、舞台は北アフリカ。
将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の侵攻により
敗れ、愛する妻を殺され、奴隷の身となったルシアス(ポール・メスカル)。
すべてを失った今、アカシウスへの復習を心に誓っています。
そんな時彼は、奴隷商人アクリヌス(デンゼル・ワシントン)と出会う。
アクリヌスは、ルシアスの中で燃えさかる怒りに目を付け、
彼を有望株の剣闘士(グラディエーター)として、ローマへ移送します。
そしてルシアスは、コロセウムでの戦いに挑んでいく。
さて、ルシアスは作中の半ばほどまでルシアスとは名乗らず、
別の名を名乗っています。
ネタばらしとなってしまいますが、これは本作の解説サイトなどでも言ってしまっているので、
ここでも、お許しを・・・。
つまりルシアスというのは、先々代の皇帝の娘にして、先代の皇帝の姉である
ルッシラの息子なのです。
今の皇帝は狂気の独裁者である双子の兄弟。
ルッシラは、この2人に必ずや命を狙われることになるであろう息子を逃し、
以後、行方も分らなくなっていたのでした。
ところが、なんとなんと、このルシアスは、
前作のヒーローであるマキシマスの息子であるというのです。
うそ~、と思いますが、前作でマキシマスとルッシラが
以前ただならぬ関係だったらしいとは誰もが感じるような作りになっていましたし、
一度だけ獄中にあるマキシマスと少年ルシアスの対面シーンは
妙に意味ありげで印象的な場面となっていました・・・。
実は親子であると、そうした含みがあったことを24年後の今知るなんて・・・。
恐るべし。
というように、本作、単に二番煎じではなくて、
年月の流れを経たことにこそ意義があるのです。
ルシアスは、他のいかにも筋骨隆々の戦士たちに比べるとやや小柄ではあるけれど、
あのマキシマスの血を引いているとなればその剣闘センスに納得なのです。
実の母との対面とか・・・エモい、エモすぎます。
そして、前作でもそうだったけれど、「独裁政治」の恐ろしさは、さらにスケールアップ。
トップがどれだけ横暴でバカであっても、
周囲の重鎮は我が身のかわいさで異論を挟むことをしない。
すべてが皇帝の意のまま・・・。
本作はこうした独裁政治の恐ろしさも強く訴えていると思います。
現在、大国のトップがいつこんな風に豹変するとも限らない恐怖・・・。
(いえ、豹変ではなくて、すでにそうなのでは? R国だけでなくA国も)
そして戦闘シーンの迫力も、スケールアップしています。
殺人ヒヒとか、巨大なサイとか・・・。
コワイコワイ。
あげくに、コロセウム内に水をたたえての、海戦シーン。
周囲には巨大なサメがうようよって、きゃー、しんどい。
結果、マキシマムがいてこその本作。
もちろん本作だけでも十分に楽しめるのですが、
前作と引き続き見たほうが、感慨もひとしおです。
ぜひ、「グラディエーター」を見てからこちらをご覧ください。
<シネマフロンティアにて>
「グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」
2024年/アメリカ/148分
監督:リドリー・スコット
出演:ポール・メスカル、ペドロ・パスカル、ジョセフ・クイン、
フレッド・ヘッキンジャー、コニー・ニールセン、デンゼル・ワシントン
迫力度★★★★★
残酷度★★★★☆
満足度★★★★★