つ、つらすぎる・・・
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本作は、以前見ていて、とても印象深かったものです。
最近デジタルマスター版で劇場公開もしていたのですが、
見そびれてしまい、この度再視聴。
アイスランドの歌手・ビョークが主演、ミュージカル風の作りということで、かなり話題になった作品です。
アメリカの片田舎。
チェコ移民のセルマ(ビョーク)は、息子ジーンと二人暮らし。
つつましい暮らしながら、隣人たちの友情に包まれ、
生きがいのミュージカルを楽しみ、まずは平穏に暮していたのでした。
しかし、セルマは遺伝性の病で視力を失いつつあり、
息子ジーンも手術を受けない限り同じ運命をたどることになるのです。
セルマの視力も、もうほとんど全盲になる寸前。
セルマがアメリカに渡ってきたのは、息子の目の手術を受けるためで、
彼女は爪に火を灯すようにしてお金を貯めていたのでした。
そしてそんな時に、“事件”が起きます。
詳しいストーリーは覚えていなかったのですが、
途中まで見てくっきりと思い出しました。
そして前に見たときに「理不尽に過酷」な物語だと思ったことも。
まさしく、理不尽に過酷なのです。
移民のセルマですが、まずまずは良き隣人、友人たちに護られています。
勤め先の工場では彼女の目がよく見えないことを気遣う友人がいるし、
セルマのことを好きそうな男性もいる。
ミュージカルの教室でも彼女の歌やダンスを買ってくれる人がいる。
隣人は警察官で、息子の学校への送り向かいをし、放課後預かってくれたりもする。
ところが、良き隣人にも自分の都合というものはあって、
セルマがお金を貯めていることを知ってしまい・・・。
ほとんど目が見えないので線路を伝って職場に向かい、家に帰るセルマ。
そんな彼女に、これでもか、これでもかというように不幸が覆い被さってくるのです。
やりきれない不安、疲れ、苦しさ・・・
そのようなことを紛らわそうとするように彼女は空想のミュージカルに浸ります。
彼女を癒すのは彼女の脳内ミュージカルのみ。
辛い夜勤の仕事中。
法廷の場。
そして最後のステージは・・・。
工場の様々な騒音が次第にリズムを刻み始めて、ミュージカルシーンに入っていく、
そんな様子がとても印象的なのでした。
でも、よくあるミュージカルの花のようなメロディとは違って、
それは、つぶやきのようにもの悲しい・・・。
ストーリーをしっかり覚えていたら、見なかったかも、なんて思います。
あまりにも辛い話は、見るのにも覚悟がいるので。
<映画.comにて>
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
2000年/デンマーク/140分
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ、デビッド・モーマ、ピーター・ストーメア
過酷度★★★★★
ミュージカル度★★★☆☆
満足度★★★★☆(いや、苦しすぎて「満足」ではないけれど、作品のできという意味では・・・)
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