鉱山に埋もれた宝石を探す光
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最強の水先案内人がプロに「読みどころ」を聞いてみた――。
『神曲』『源氏物語』『わが闘争』『資本論』……、
名著を読まなくても楽しめる、虫のよいガイド本、誕生!
好きな女性とはセックスできず、添い寝しかできない男の悲哀――『源氏物語』
莫大な印税収入でヒトラーは自信をつけた――『わが闘争』
手に取ってみたけれど、挫折した……、でもあきらめるのはまだ早い!
聞き手=古市憲寿+構成=斎藤哲也の名コンビが贈る名著ショートカット。
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「100分で名著」という教養番組はあるけれど、
こちらはなんと、思い切りショートカットして「10分で名著」。
ラインナップは、この通り。
『神曲』
『源氏物語』
『失われた時を求めて』
『相対性理論』
『社会契約論』
『ツァラトゥストラ』
『わが闘争』
『ペスト』
『古事記』
『風と共に去りぬ』
『国富論』
『資本論』
この中で私がすべてを読んだのは「風と共に去りぬ」だけ。
部分的に読んで、どんな話かはおよそ知っているというのは「源氏物語」。
そのほかについては、おそらく今後も一生読むことはないだろうと思われるものばかり。
ですが、おおよその内容を知っておきたいとは思います。
そんなずぼらな私にはまさにうってつけのこの本。
そして、確かにわかりやすいです!!
やたら観念的な言葉を多用して、
ちーっともわかりやすくない文章を書く人が時々いますよね。
私は常々、本当に頭のよい人が書く文章はわかりやすい、と思っているのです。
さすがの、古市さんでした。
このなかで、「わが闘争」は、ヒトラーの著ですね。
ヒトラーの思想など知りたくもないわ、と思うところではありますが、
なんとこの本は、こんなことを言っている。
「知識人にしか伝わらない書物での理性的な説得よりも、
感情的なアジテーションの方が何倍も多くの大衆に訴えることが可能だ」と。
まさにヒトラーはこの方法で世界を変えてしまった。
そして、このやり方は今でも十分に通用するわけで、
わたし達はそういう危険性をきちんと知っておかなければならない
と言うことでもあります。
この本は、「名著」ならぬ、「迷著」ということでの紹介でした。
この世界、知っておくべきことはいくらでもあって、
でもそれにたどり着くのはなかなか大変です。
こんなガイドブックがあれば、鉱山に埋もれた宝石にも比較的容易にたどり着くことができる。
ありがたいです。
「10分で名著」古市憲寿 講談社現代新書
満足度★★★★☆
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