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「不穏な眠り」若竹七海

2019年12月20日 | 本(ミステリ)

不運だけれど悪運は強い

 

 

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葉村の働く書店で“鉄道ミステリフェア”の目玉として借りた
弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。
行方を追ううちに思わぬ展開に(「逃げだした時刻表」)。
相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、
死んだ女の知人を捜してほしいという依頼を受ける(「不穏な眠り」)。
満身創痍のタフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。

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若竹七海さんの葉村晶シリーズ、最新刊。
短編集となっています。
「満身創痍のタフで不運」な女探偵。
この文庫に挟み込んである「葉村晶シリーズガイド」の中で、
著者が「最近では作者もストーリーを考える前に、
今回はどんな不運にしようかと思い巡らせるようになってしまった」と言っています・・・。
というわけで、今回も不運のてんこ盛り。

 

「水沫隠れ(みなわがくれ)の日々」では、ドロドロに濁った池に倒れ込む。
「新春のラビリンス」では廃墟のビルの警備のために凍えそうに寒い一夜を過ごすことに。
「逃げ出した時刻表」ではなんと冒頭から、
昏倒した彼女が意識を取り戻すというところから始まります。
そして「不穏な眠り」では、大雨が続いたあと地盤の悪い土地に造成されたニュータウンで・・・。


しかしですよ、「新春のラビリンス」では、
重症のインフルエンザ患者とおぼしき人物何人かと接触を持ったにもかかわらず、
彼女は罹患していない。「
不穏な眠り」でも、最悪の事態からは逃れている。
彼女は不運であることには間違いないのですが、実は悪運が強い。
だからこそ、これまでの幾多の危難も乗り越え、今もちゃんと生きながらえている。
しかしそれでも、新年を迎えて
「今年こそ病院に担ぎ込まれませんように、調査料を踏み倒れませんように、
依頼人が死にませんように・・・」
などと祈ってしまうわけです。
こちらこそ、これからも「お元気で」の活躍を祈っております。

 

さて、この葉村晶シリーズがついにTVドラマ化されるのですね。
晶役はシシド・カフカ。
なるほど~、他にどんな女優さんが・・・等と考えてみても
あまりイメージがわかないのですが、彼女ならなんとなく納得できます。
来年1月から。
楽しみです~。


「不穏な眠り」若竹七海 文春文庫
満足度★★★★☆

 



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