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「狩人の悪夢」有栖川有栖

2018年07月19日 | 本(ミステリ)

とっちらかった事件

狩人の悪夢
有栖川 有栖
KADOKAWA

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人気ホラー作家・白布施に誘われ、
ミステリ作家の有栖川有栖は、京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。
そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。
しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、
白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、
右手首のない女性の死体が発見されて…。
臨床犯罪学者・火村と、相棒のミステリ作家・アリスが、
悪夢のような事件の謎を解き明かす!

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この本、図書館予約で順番が回ってくるまでに1年以上かかりました。
ふう・・・やれやれ。
まあ、このシリーズの人気が伺えるわけで喜ばしいことではあります。


本作ではアリスが人気ホラー作家・白布施にまねかれ、
京都の彼の家を訪れたその地域で、事件は起こります。
片田舎の一本道が、前夜の雷に打たれた倒木により、一時通行不能となっていた。
・・・ということで、この殺人事件の犯人はこの地区内にいた数人の中にいることになります。
これもある意味、絶海の孤島、雪の山荘に匹敵する舞台。
火村はこの事件を見て「とっちらかった事件」と称します。

右手首のない女性の死体。
そこに残された男の左手の手形。
飾り物の弓と矢による殺人。
運び出された男の遺体。
持ち去られたスマホ。
一定時間通れなかった道。

ヒントになりそうな事柄は散見されるけれど、どうつながるのかがわからない。
火村はこれを、犯人が予測不能な事態に振り回されて
ジタバタした挙げ句のことだと推理しますが・・・。

うーん結局、読んだ印象もとっちらかっていたというか、
ちまちましていた感があります。
私はやはりミステリの醍醐味は、たった一つの事実が明かされることによって、
他のこともすべて説明がついてしまうという劇的な謎解き。
本作はちょっとそれには遠かったかな・・・。
だからこのシリーズに関しては、もう少し単純な短編のほうが好きかもしれません。
火村とアリスの会話が続けばそれだけでOKという気持ちもあるにはありますが・・・。

図書館蔵書にて
「狩人の悪夢」有栖川有栖 角川書店
満足度★★★☆☆



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