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「戦の国」冲方丁

2018年07月04日 | 本(その他)

江戸時代の下地は戦国時代に作られた

戦の国
冲方 丁
講談社

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戦国――激動の55年を、織田信長、上杉謙信、明智光秀、大谷吉継、小早川秀秋、豊臣秀頼ら
六傑の視点から描く、かつてない連作歴史長編小説!
男達が戦う意味は何だったのか。
あの日、あの刻、誰か一人の、一つの決断がなければ、戦国の世は変わっていたかもしれない。
冲方丁の新たなる代表作、ここに結実!

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戦国時代の名だたる武将6名。
その一人ひとりの視点を通して、この55年間の「戦国時代」の意味を探ります。
今までこうして一人ずつを主人公に据えながら時の流れを追っていくような
戦国時代の描き方はありそうでなかったような。
(あっても読んでないだけ、というのは十分にありそうなことですけれど)


本巻に登場するのは、この紹介文にもありますが
織田信長、上杉謙信、明智光秀、大谷吉継、小早川秀秋、豊臣秀頼の6名。
最後に秀頼というのがなんとも切ないといいますか、
でもなるほど、彼の死イコール戦国時代の終焉ということで、納得ではあります。
物語はそれぞれですが、共通して著者が言いたいことも見えてきます。


最終的に家康が天下を治めることになるのですが、
それ以前に各戦国大名たちが主に戦のために道路を広げ、交通網を確保していった。
検地をして米の収穫高を把握。
「政治」と「経済」がしっかり結びついていった・・・。
こうした事があったからこその江戸時代なのかな・・・ということが見えた気がします。


そしてこれらの面々、全員が根っからの戦好きというわけではないのだけれど、
好むと好まざるとにかかわらず、戦を指揮する立場に立っていきます。
そんな時、作戦を練り兵を鼓舞し、思うがままに動かして、敵と対するという「戦」に、
知らず、気が高ぶっていくことに気づくのです。
己の才覚はここでこそ活かすことができる。
自分がこれまで生きて来たのはこのためだったのではないのか・・・というような思い。
このあたりは、女にはわからない男のサガのようなものなのかなあ・・・と。


光秀の信長に対する愛憎のはての謀反。
なかなか迫力がありました。
歴史好きの方必読の書。


図書館蔵書にて
「戦の国」冲方丁 講談社
満足度★★★★☆



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