置農演劇部の公演にもう一つ名物ができた。
ひょっこりひょうたん島のダンス!井上さんの名作中の名作だ。このダンスを公演の終了時に必ず踊ることにしている。お客さんを送り出す時には、出口前で、送り出しの無いときには、挨拶の後、部長が一言コメントして踊る。
これがなかなかの人気なのだ。宮内中での公演アンケートにも、何人かこのダンスが嬉しかったと書かれていた。演歌ショーの時なんか涙浮かべてる人だっている。そう、今のお年寄りにはこの歌で幼児期を過ごした人なんかも入って来ているからね。幼い頃のわくわくと胸躍らせた記憶がよみがえるんだろう。
一昨日の公演でもこのダンスはとても好評だった。子どもミュージカルの後なんか、まさにうってつけのダンスなんだと思う。この演出思いついた自分にちょっと鼻がぴくぴくとしてしまう。
もっとも、この趣向は井上さんの追悼の意味で始めたことなんだけどね。井上さんを悼むのに、ひょっこりひょうたん島がふさわしいのかどうか、わからない。井上さんに心惹かれた人たちにはそれぞれの深いがあることと思う。僕だって数多くの作品を見てきて、どれもこれもくっきりと刻み込まれている。井上さんの多面性に改めて圧倒される。だから、いろんな追悼の仕方があっていいって思う。
で、置農演劇部としては、ひょっこりひょうたん島なんだ。高校生にはとてもいい。「丸い地球の水平線に、何かがきっと待っている!」「泣くのは止めよ笑っちゃおう、進め!進め!ひょっこりひょうたん島!!」って歌詞を書き出すだけで目頭が潤んできてしまう。若者の、いや、前に進もうとする人すべてへの、素晴らしい応援歌だよな。
部員たちもとても気に入って踊っている。彼らの振り付けもなかなかコミカルで楽しい。あるいは井上さんのことなんかほとんど関係なく踊っている生徒もいることだろう。
でも、いい。満面の笑顔で飛び跳ねている姿見ていると、僕はふっと後ろを振り向いてしまうんだ。なんか井上さんが見ていてくれるようで。で、こう言うんだ、ほら、井上さんのこと知らない高校生まで大喜びで歌い踊ってますよ。素晴らしい作品をありがとうございます。そして、幸せですね、井上さん!って。