ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

みんなみんな、自分探し『コヨーテ、海へ』

2011-01-03 23:57:14 | 映画

 明けました、2011年。年末から三が日、本漬け、テレビ漬けの毎日で、幸せ!でした!!  

 もう何ヶ月も読みたい本は読めない、テレビはニュースだけって生活が続いていたからね。それにしてもこれほどしっかりテレビを見ている正月って初めてのことかも知れない。理由は、そう、WOWOW入ったから。と、テレビがハイビジョンになったから。

 元日は『旭山動物園物語』見て『アバター』見て、映画館で既に見ている『インビクタス』まで見てしまったし、2日は、おっと『バルタザールの遍歴』(著者:佐藤亜紀)に夢中になってて吉永小百合と鶴瓶の『おとうと』見損ねてしまったけど、今日はばっちりWOWOWスペシャルドラマ『コヨーテ、海へ』(堤幸彦×佐野元春)を見た。

 『旭山動物園物語』はまっすぐなサクセスストーリーで、わかっちゃいるけど泣けてしまったし、『アバター』は人工的に作られたナビ(異星人)をテレパシー装置に入り込んだ人間が自分の感覚として操るっていう仕掛けがなかなかで、うーん、さすがキャメロン!って、ナビの世界の作りも想像力に富んでいて、3Dでなくてもいけるじゃんって、たっぷり楽しめた。『インビクタス』は何度見ても、あんな劇的事実(弱小の南アフリカラグビーチームがマンデラの巧みな支援策で1年後の地元開催ワールドカップで優勝)が実際にあったんだ、28年間獄中生活を耐えてなお迫害した白人たちを許すマンデラは凄いって圧倒された。

 で、まあ、ここまで楽しませてもらったWOWOWだから、一つくらい評を書いておこうかと思った。ってことで、『コヨーテ、海へ』だ。

 この作品は佐野元春の音楽と人生?にインスパイアーされて堤幸彦が原案・監督した作品だ。突如疾走した父親とその父親の秘密を探し求める息子、二人のロードムービーが組み合わさった映画だ。父親はブラジルへ。息子は父親が残した写真を頼りニューヨークへ。二人をつなぐのは、ジャック・ケルアックの小説『On the load』、ビートニクの原点だ。

 ブラジルの辺鄙な岬、その突堤をひたすら目指す父親。父親が20数年前に訪れたニューヨークを写真を頼りに辿っていく息子。父親には日系ブラジル人の頼りないのか抜け目ないのかよくわからないガイドがいて、息子の方にもたまたま知り合った行動派のハーフ:デイジィが案内を買って出る。

 息子の旅は父親がかつて心を奪われたビートニクの聖地を辿りつつウッドストックにたどり着く。不可解だった父親の旅も、実は死を目前にした友人の最後の願いを果たすのが目的だと知れていく。共に青春を分かち合った友人、そのふるさと五島列島の鬼岳?その反対側がブラジルの岬だった。

 父親は友人の遺骨を地球の表と裏で撒くことにより、再出発のきっかけを掴む。息子は強引なガイド:デイジィの秘密、今は亡き両親はヒッピーでウッドストックで恋におちた、ことを知り父親を初めて身近な存在と感じ取る。

 そう、父と息子の自分探しの物語なのだ。父親は意に染まぬサラリーマン生活で見失った自分を探し、息子は自分を見捨てた身勝手な父親を探し求める。

 作りはどうも説明的だし、友人の死、両親の死と、死のインパクトに頼っていて、ああよくある手ね、と、白ける部分もあるのだけど、結局最後まで引きつけられてしまったのは、やはり自分探し物語の強力な地場ってものだろう。それと、全編、佐野元春の音楽が引っ張っていて、これがぐいぐいと引きずり込んでいたことは間違いない。日系ブラジル人の100%素人の演技?も不思議に引きつけられた。あと、ブラジルの何の変哲もない田舎の風景。

 やはり強いんだよ、自分探しって奴は!

 でも、この後どうなるの?って話しになると、父親は50過ぎて仕事辞めて、大変だよ、再就職。息子は父親の一部分理解したからってそれがとうよ?って、ことなんだよな。要する、みんなみんな自分探し!これって出発点であって、終着点じゃない、理解しておこうね、皆様!

 

 

 

 

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