だいたいねぇ、ものは沢山作るべきなんだよ。装置だって衣装だって小道具だって。これみんな教育だから。部員少ないからって、舞台装置最小限ですけすけの舞台作ってる演劇部がけっこうあるけど、それぜったい間違いだと思う。理由は二つ。一つは高校生の演技力ですけすけ舞台を圧倒するなんてできないってことが一つ。それと、ものづくりそのものが教育なんだってこと。
高校演劇部の目的何かって言ったら、それりゃ部員が成長することでしょ。だったら、演劇に関わる教育的要素はすべて利用しなくっちゃ。衣装作りのためにデザインする、採寸する、ミシン使う、こんなこと今どきの生活科学じゃやってないよ。せいぜいがトートバックとか、よくてハーフパンツだから。役柄に合わせ、役者に合わせ衣装を手作りする、素晴らしい体験じゃないか。
装置作りも同じ。高校生で、なぐり=金槌使える子ってどんだけいる?2寸釘曲げずに打てる奴どんだけ?まして、丸鋸、ジグソー、電ドラ(電動ドライバー)、どう?そんなもん使えなく立って生きていける?そりゃそうかもしれないけど、そんなこと言ってるから、生活力の乏しいゲームオタク、パソコンオタクになっちまうんだよ。ここはいっちょ、大空の下で、がんがん釘打ちして大工仕事の素晴らしさ、かっこよさを味わおうじゃないか。
ってことで、今日は恒例のパネル作り講習会だ。上級生指導のもと、新入生を何班かに分けて6×9(横6尺縦9尺)パネルを作った。コンパネの角を利用して角材を直角に打ち付けたり、ウスベニ三角でそれを固定してベニヤを張って仕上げなど行った。上級生の男たちは、1人1グループを任されているので、みんな競争意識めらめら燃やして仕上がりと作業の速さを競っていた。
それにしても、ほんと驚く!釘一本打てない!1年生。尺や間が通じない1年生。釘抜きの梃子の原理が理解できない1年生。どうなってんだ?中学校での教育は?技術家庭とかはどこ行ったんだ。
まず今日は入門編。次回からは窓パネルとかドアパネルなんかの応用編に入る。こうなると上級生も持てる能力をフル動員してかからなくてはならない。試されるねぇぇ、2年間の成長度が。
今回の定期公演『見よ、飛行機の高く飛べるを』は男の出番が少ない。女子師範学校の物語だから仕方ない。じゃぁ暇してる奴らをどう使うか?こりゃ装置、大道具に凝るしかないだろう。それに再演でもあるし、前回を確実に上回る作品にするとなれば、まずは舞台装置だ。
だから、徹底期にこだわった舞台装置を作ることにした。談話室には飾り柱あり、観音開きの窓二つ、階段は1間近くの高さまで上がれるように2段組、談話室の奥には中庭があって、さらにその奥には遠見のように別棟の外壁が見通せる。まっ、高校演劇でここまではなかなかないでしょ、ってレベルの設計をした。
さあ、男部員たち、この挑戦にどこまで応えられるかな?出番の少ない分、装置で意地を見せろよ。そして、作りながら1年生にしっかり技術を受けを渡してくれよな。そうそう、1年生男子5人も全員スタッフなんだった。さあ、しっかり鍛えてもらえよ。ぜったい、自分の力になるからね。