ステージおきたま

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シニアに群読、似合わない:シニア演劇全国大会報告第二弾

2013-06-12 23:03:13 | シニア演劇
 シニア演劇全国大会、全16舞台のうち5本を見た。
 
 民話劇を通して八丈島の歴史と暮らしを大切にする「かぶつ」。音楽や音の使い方がとてもユニークだった。メイクも完璧に突き抜けていて度肝を抜かれた。だって、目の上3センチ幅のシャドーがライトブルー、頬には真っ赤なチークがくっきり!すげー!世の中いろいろいるもんだ。交流会で役者に聞いたら、別人格になれて楽しい、だって。

 シニア演劇のアイドル「ばばーず」。これはもうシニア演劇なんて域をはるかに超えている。なんせ、最高齢は90歳!これがまた、実に的確に笑いを取る演技をするんだから。主役の婆ちゃんも凄い声量!終演後のインタビューに答えて曰く、「せりふなんて覚えてらんね。口から自然と出てくんだ。」だって。これまでの公演回数240回が言わせる言葉だな。上演台本も販売していたが、当然買わなかった。だって、この芝居はこの婆たちだからできるもんだから。

 宮崎県延岡の、のべおか笑銀座の作品は「ひょっとこどっこい」。方言にこだわり、地域の課題をふんだんに盛り込んだ舞台だった。役者も力のある人が多かった。中には公演の数日前に骨折し、医者にも行かずに腕を吊って演じきった強者(女性)もいたりして、役者魂を見せつけてくれた。ただ、ファミレスに一人で行きたくないから、疑似家族を雇うという設定には、ちょっと無理があったかな。

 2本は群読劇だった。1本は、奈良の生駒らくらく塾の「水の手紙」、そう、井上さんの作品だ。とても完成度の高い舞台だった。2台のプロジェクターを駆使した映像とセンスの良い音楽。聞けば大阪のプロが指導しているとのことだった。役者のレベルの高さにも感心した。声も出ているし、動きもスムーズ、歌も歌える。男優人がイケメンでタッパもあって粒ぞろいなのも、シニア演劇では珍しいと感じた。でも、これだけのメンバー抱えてるなら、ギリシャ悲劇とかシェークスピアとか、もっと凄いものが作れたんじゃないかって、僕としは、もったいない!って思いながら見ていた。

 もう一本の群読劇はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に題材を取った「花・いっぱい」島根県岩見くにびき18座の舞台。手作り感一杯の舞台だった。地域の高齢者大学の参加者を中心に出来た劇団だっていうことだ。指導者と出演者(中でも80歳の戦争体験者お二人)の反戦への熱い思いが伝わる作品だった。

 でも、群読劇2本を見て思ったのは、シニアに群読は似合わない!ってことだった。ここまで来て群読かよ?残り少ない人生を賭けて演劇に取り組んでる人たちだもの、もっと一人1人の個性を際だたせなくちゃなんねえんでねえの?小中学生じゃないんだから。下手でも良いんだ、自分の役を持たせること、これシニア演劇では凄く大切なことだと思う。

 その証拠にプラザ演劇学校のメンバー、本当に自分の役大切にしているもの。気に入ってくれてるもの。日常の会話の中にも、劇中の台詞が四六時中飛び交うほどなんだ。自分の役があるってこと、たとえ端役であっても、個性があり一人の台詞があるってこと、シニアには舞台に立つ醍醐味なんじゃなかろうか?だって、舞台で脚光浴びたくてシニア演劇に飛び込んできているわけだから。

 というこで、今日の二期生の稽古では、群読劇はしません、全員に役を振ります、って宣言した。一人で台詞ってプレッシャーは大きい。記憶力が減退しているシニアにとってはなおのこと。でも、彼らの力を見くびっちゃいけない。かれらの野望を無視しちゃいけない。舞台で一人1人がいい目を見ること、これに尽きるんだよ、演劇ってのは!

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