ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

台本書きの秘訣?ぬけぬけと語っちまった!

2019-05-07 08:05:58 | 演劇

 たまぁに、ほんとたまに、何か話ししてくれないか、って要望が舞い込む。ずーっと以前は、地域おこしのことだったり、農家暮らしのことだったりしたが、今は話せることって言やぁ、演劇、それも菜の花座やシニア演劇のあれこれしかない。大して聞いてもらえる内容なんて持ち合わせちゃいないなんだが、菜の花座公演の宣伝のつもりで、チラシ持参で引き受けている。

 今回のお声かかりは、高畠文学会、会長のT先生からだ。高校演劇顧問としても先輩、菜の花座の熱心かつ優れた理解者にして、厳しい批評家のお誘いとあれば、断るなんてあり得ない。たとえ、それが出先の銀行の入口での立ち話であったとしても。

 文学会ってことは、みな何かしら創作活動に携わっている方たちだ。聞け10数名が名を連ね、同人誌の発行はもとより、月々の例会も欠かさず活発に活動を展開しているってことだった。知らなかった。地元なのにね。さすが書き手の集団だけあって、与えられたテーマは「脚本と私」。なるほど、どんな風に書いてるか、他人の台所覗いて使えるコツなんかあれば、持ち帰りたいってことなのね。まぁたしかに、年に定期公演用に2時間以上所要のもの2本、それにコント4本、数だけはこなしてるよな。それも20年にわたってだから。

 そんじゃ、いい機会だ。手前の台本書き手順、振り返って整理してみっか。どうせなら6月公演『異聞・巷説「安寿と厨子王」』の手の内明かしながね。そうさ、宣伝、宣伝!もちろん、チケットだって持って行く。

 1時間のお話しの後は恒例、懇親会。主宰のT先生は町広報の応募詩の選者、かつて映画のプロを目指し今は小説を書いている人とか、孫に勧められてあれ、あれ、ほれ、あれ、ああスマホ、を買った高齢のエッセイスト、中学校での読み聞かせをしなが脚本書きを目指したい女性、童話を書き続ける洋服屋さん。浜田広助記念館の館長さんとはもっばらマラソン談義だった。久しぶりのおしゃべりに居心地の良いひと時を過ごし、気付けばふた時もみ時も居過ごして、あらら、空は暮れなずむ。ハウスのイネ苗、シルバーシート掛けなくっちゃ、と慌ててお暇した。

 それぞれの発表の場もジャンルも違うが、一人自分と向き合い、言葉と格闘している人たちがここにいる。書いたとしても読者は身近にしか持っていない人もいるだろう。それでも、突き動かされるように書く。すぐ近くにそんな努力と喜びを糧に生きている人がいる。これからは、その視線を感じつつ書き続けていくことになるなぁ。励まされるよ。

 チケットも2枚買ってもらったし、ぜひ脚本書きの講座を新しい図書館で、なんて強力にプッシュしてくれた人もいた。ってことは、このお話会、成功だったってことだな。

 当日使ったのが、以下のメモだ。興味のある人はお読みを。

高畠文学会での講演メモ

6月公演『異聞・巷説「安寿と厨子王」』を例に

➀台本書きの手順

 1)ホールドを決める

  ・お題拝借的に、まずは方向を狭める

    前回『ガード下★魔女は踊る』⇒魔女

    今回『異聞・巷説「安寿と厨子王」』⇒中世

  ・ここは直観、場合によっては団員の一言

 2)関連資料の乱読

  ・ほぼ10冊ほど。

    今回だと

     中世の歴史、中世の女の生き方、中世の芸能あたりを手あたり次第

     ただし、資料代は自前なので、高価な本はスルー

     古本が役に立つ

⇒アマゾンマーケットプレース、お世話になってます

安く手に入る、絶版本もある

  ・ただただ読み飛ばす

    ピンと来たら、唾をつける(付箋を貼る)

     やたら付箋を貼ってもほとんど利用できない。

 3)これぞと思う題材に出会ったらさらに絞って資料を探す

    今回は山椒大夫

    ⇒説経節原本(東洋文庫)、森鴎外「山椒大夫」、伊藤比呂美「新訳説経節」

 4)題材が決まる

    ・説経節「山椒大夫」のあまりに一方的な話しに腹が立ったのが動機

    高貴な身分の安寿と厨子王だけには神仏の加護がある

    山椒大夫側にだって言い分はあるだろう

 5)一工夫、仕掛けを考える

    ・ここがもっとも大切⇒ひねりの利かない物語なんて退屈

    前回⇒魔女の力は予知能力だが、暗い未来は伝えないという掟

    今回⇒説経節のストーリーと大夫が提出する真実とのせめぎ合い

 6)ストーリーを考える

    ・面白い!が絶対

    ・スリリングな展開

    ・観客に予測不能な話し

⇒引き込まれて時間を忘れさせるのが目標

  7)キャスティング

    ・出演可能な役者をノートに書き出す

    ・主だった役者から役を振り当てる

    ・全員、力量に応じて役を与える

    ・役者の個性と持ち味を把握し最大限それを生かす

 ⇒何ができるか?何で生きるか?

    ・アマチュアは自分の持ち味を超えにくい

      ⇒初級者には持ち味の中で

      ⇒上級者には持ち味を少し越えて

 8)シーン立てをする

    ・ストーリーが際立つよう、かつ、興味をつなぐように

    ・各シーンで展開する内容、登場人物を決める

 9)セリフを入れる

    ・展開上欠かせぬセリフ

    ・筋だけにならぬよう枝葉をつけて膨らみを

    ・笑いがとれるセリフ

    ・心に残る気の利いたセリフ

      キャラと設定が決まれば、セリフは自然と湧き出して来る

 10)完成と最終チェック

    

②テーマ選びの変遷

 1)意義あるものからひたすら離れた時代もあった

   自分を押し付けるなど傲慢との意識に支配されていた

   地域に愛される劇団でありたい

   ただただ面白いものを書けば

   自然とテーマは入り込む

 2)今は、書かねばならぬものも書く

   娯楽で浪費することに物足りなさ

   たとえ、そっぽ向かれても大切と思うものは書く

   女たちの歴史シリーズ

    1,「お遍路颪」 

      秩父事件を支えた女たちの本音

    2,「女たちの満州」

      満州開拓に送られた花嫁学校のむい娘たち

    3,「予兆 女たちの昭和前史」

      満州事変から一気に戦争に向かい始めた世評に抗した女性誌記者たちの戦い

 3)今回のテーマは

   歴史の改ざんへの意義申し立て。

    権威におもねる説経節、それに喝采を浴びせる庶民。真の歴史は覆いされる、それでいいのか。⇒歴史修正主義者に一撃を与えたい

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