フジテレビの、ふざけるな!記者会見、を引き出したのは、アメリカのヘッジファンド・投資会社ダルトンインベストメントだったって。で、株主として、公正な第三者委員会の設置も強く要求してる。
やっぱりか!海外から突っ込みなけりゃ、手前で動けない日本社会って、がっかりしたり、さすが、海外!なんて意見が交錯してる。
たしかに、このヘッジファンドは投資先のガバナンスに大きな関心を寄せているらしいんだが、ちょっと待てよ。
この会社が口出す下心ってのは、とことん、株主利益の最大化ってことだからな。企業の高い倫理性を望んじゃいない、ってこと忘れないようにしようぜ。
で、思いだしのは、最近読んだこの本『資本主義は私たちを何故幸せにしないか』ナンシー・フレイザー著。
序章の全体概略は取っつきにくくて、あやうく放り出すところだったが、各論にすすんだら、なるほど、こう来たか!世界の見方がひっくり返る素晴らしい内容だった。
資本主義って言うと、労働者が生み出した余分な価値を資本家が儲けとして懐に入れ、さらに投資を続けて無限ループする、って経済、価値の問題として理解されて来たけど、そうじゃなくて、社会システムの問題として理解しようって考え方なんだ。
現在、社会で避けがたい問題として突きつけられている、人種差別もケア労働蔑視も自然破壊も民主主義の解体危機さえも、すべて資本主義システムが必然的に引き出した問題なんだって認識だ。
なんか、牽強付会?なんでも勝手に結びつけてんじゃねえの?って聞えそうだが、著者の論理展開は、ウホッ、納得!の切れ味なんだなぁ。たしかに、資本主義の社会システムがもたらしてる課題に違ないって理解できる。
搾取以前の収奪、資源とか土地とか破格の労働力とかの独占が今も資本に力を与えているわけで、それが人種差別の原因になり続けている。
ケア労働が低評価される原因も働き手=価値の作り手の再生産に十分な補償がなされていないからだ、つまり、家庭にお任せ、女性に押し付けで済ませてきた資本主義の図々しさなんだと。
著者が提示するもう一つ優れた論点は、資本主義を4っつの時代にわけて、それぞれの時代ごとに上記4課題との関連を述べているところだ。詳しくは本書を読んでくれ。
今問題にしたいのは、現代は金融資本が国を越えて世界を支配する時代になっているってこと。簡単に言えば、政治が大金持ちの利益のために行われる時代になってきているってことだ。
この指摘を知って、フジテレビへのヘッジファンドのクレームを見ると、女子アナの上納システムいかんぞ!なんて怒りじゃなくて、ちゃんと儲けさせる企業になれよ!ってことに過ぎないってことに気付かされる。
全然、正義の味方、白馬の王子なんかじゃないよな。
トランプの大統領就任式、後ろにぞろっと控えるのは、世界の超リッチ連中だってことに、金持ちの世界支配の有様がくっきりと映し出されている。後ろから支えてちょっかい出すだけじゃなくて、実際の政務を取り仕切るにも、金持ちたちがしゃしゃり出る事態になっちまったってこと。
アメリカだけのことじゃない。日本だって、自民党は頑なに企業献金を守ろうとしてるし、国民への減税、直接給付は絶対退けて、企業補助金にはばっかばか、そして、大企業ぼろ儲けの軍事費は大盤振る舞い!
経団連の要望はほぼ必ず実現してるしな。ただ違うのは、孫正義とか新浪なんかが大臣として勝手なふるまいするまでには至っていないってことだけだ。
これが現代の民主主義の実態だ。貧しい庶民が、大金持ちや企業の便宜計ろうと、投票し続ける、金融資本の時代なんだぜ、世界は。
金持ちのための金持ちによる金持ちの政治!これが世界を動かしている!
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