ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

強気に行こうぜ!

2007-09-10 20:54:19 | 演劇

 とんでもないことになっちまったよ!!

 大会本番5日前に、キャストの変更。しかも、結構大切な役。事情は、ちょっと複雑でここには書けない。ともかく、変えるしかないって思ったってこと。

 これって、かなりの度胸だと思わないか?いや、役者にゆとりがあって、後釜がしっかり控えてるならいいよ。でもね、置農の場合、全員野球ならぬ、全員舞台だからね。すでに最小限のスタッフ除いて18人もキャストで役当ててるんだ。スタッフもギリギリで、照明の補助部員は音響も掛け持ちって状態なんだから。それでも、キャスト変更!!う~ん決断だった。

 結局、バンドメンバーから一年生を一人引き抜いてその役に抜擢。バンドには音響、照明掛け持ちの2年生を当てた。バンドに入れた生徒はダンスもできるし、度胸もあるので、心配はない。問題は1年生だ。これまでこれと言った舞台に立っていないからね。初舞台みたいなもんだ。しかも、難しい役なんだよ。好きな男を許嫁から奪い取る女、なんて、高校生にできるか?

 も一人の顧問、Nは、この事態を陰からセリフを入れて乗りきろうかなんて考えたようだけど、僕は、あえて交代を決断した。残り5日とは言え、最後の2日は装置のトラック積み込みとリハーサルで稽古はできない。とすると、残された日は、わずかに3日。でも、できる!絶対できる!!不安はない!!本当にないんだ。

 なんなんだろう?この自信は。突如、大役を押しつけられた一年生にしてみれば、泣く思いだよな。今日はきっと寝られないね、セリフの暗記で。明日までに絶対セリフ入れろ、って厳命したから。でも、彼女はきっとやる!今日だって、部員全員にキャスト交代を告げてから2時間、徹底した特訓で、集団演技の3シーン、歌とダンス2曲をほぼマスターしちまったくらいだもの。

 高校生って、いや、人間、て言い直してもいいけど、とてつもない底力を持ってるってことなんだよ。ほんと、凄いんだよ。こまつ座の芝居では、わずか2日前に怪我で主役クラスが交代したって聞いたくらいだもの。だから、できる!その気になればできる!!問題は、その気になれるかどうかだけ。意欲とテンションを高めて夢中で取り組めるかどうかってことだけなんだ。

 で、置農演劇部の今の緊迫感は、全員が、やるっきゃないよ!頑張ろう!って状態だからね。これは絶対できるんだ。もちろん、抜擢した部員にその力と意欲が十分だってことも、僕はしっかり見抜いている。このぎりぎり追いつめられた状況でのキャスト交代は、逆にいい結果に結びつくんじゃないか、なんて期待すらしている。

 ということで、土壇場でとんでもないドラマを妊んでしまった地区大会の舞台。俄然、意欲が湧いてきたゾ!と、実は精一杯自分をかき立てていたりして。

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やれやれやっとのゲネプロ終了!

2007-09-07 21:58:45 | 演劇

 『どんがら山奇譚』のゲネが終わった。上陸した台風が刻一刻近づく中でのゲネ敢行。前日は、正直、ずぶぬれ覚悟だった。なのに、搬入時には、雨降りどころか太陽さえ顔を覗かせたからね、いやあ、天気に関してはとことん強運だね。もっとも、夜の9時過ぎに終わって、トラックに積み込む頃には、どしゃ降り!全員ぐしょぬれの作業になったけど。でも、いいんだよ、お終いなら、ちょっとばっかし濡れたって、やり通した高揚感の真っ直中だから、つらさなんて感じない。かえって熱した身体を冷やしてくれて気持ち良かったくらいのものだ。

 今年のゲネは、思い切って米沢まで遠征した。これまでは、ずっと地元川西のフレンドリープラザでやってきた。安いし、近いし、慣れてて安心だからね。でも、今回は照明がかなり凝っていて微妙な調整が必要だったから、不安だったんだ。本番会場米沢市民文化会館で実際に試しておかないとね。それと、装置も平台を一面に敷き詰めるなんてとんでもないことやってるから、こっちもぜひ、本番会場で慣れておきたかった。

 で、結論から言えば、やってよかったってこと。プラザでやると、装置の置き位置も微妙に違うし、照明の当たりもまるで違う。そりゃそうだ、プラザはサスライトが3列なのに、米沢は2列で、吊り位置もかなり違う。その他袖幕の配置もまるで違う。だから、プラザでやったリハーサルは、も一度頭の中で組み替えないと、本番の会場では通用しなかったんだけど、これってかなり高度な知的作業が必要なんだよ。でも、今回は本番会場でやれたから、部員全員の頭の中に具体的なイメージとしてインプットできたに違いない。

 それに、何より、たくさん失敗してくれたからね。本番会場で本番と同様のセッティングで間違っておけば、次はしっかりやってくれるはずだ。ね、そうだよね!裏方さん!!

 いや、実際大変なんだ、照明とか音響とか舞台とかってのは。なんたって、普段稽古場でいじっておくわけにいかないんだから。わずか一日のリハーサルでとことん頭にたたき込まなくちゃなんない。それも、一日中触っていられるってもんじゃないしね。限られた時間、限られた稽古機会で、本番に備えなくちゃにらない。

 いやー、厳しいと思うよ。セリフなら、間違って言い直しても、あるいは、数行飛んでしまっても、まあ、致命的ミスにはならないけど、音響で出す音楽間違えたら、照明で舞台真っ暗にしてしまったら、これはもう絶対取り返しつかないからね。実を言うと数年前、置農が数少ない東北大会行きの機会を逃したのもこれだった。

 明るい稽古場では当たり前のことが、舞台では成り立たない。例えば、舞台監督はインカムを着けると舞台全体が見渡せないとか、暗転中の役者の板付きは、音響席や調光室からは見えないとか、暗転中のものの出しハケはものがよく見えないとかね。稽古場なら自然と目に入っていたものが、舞台では、それなりの工夫をしないと見えないってことなんだ。

 さらに、照明にしろ音響にしろ、使う機材はプロ仕様だかね。覚えるだけでも容易でない。実際、今回だって、音響卓の説明、ゆうに30分かかったからね。舞台用語も分からない、尺や間の長さも思い浮かばない、そんな高校生が、わすが一日でマスターできるわけはないんだよ。

 って、分かっていても、・・・うーん、この間違い!このミスの多さ!!どうしてくれよう!!怒りがぐわーっと頭に上って、思わず怒鳴ってしまうことしばしばのリハーサルだった。以前は優しくしよう、丁寧に話そうって反省した時期もあったけど、最近は、自分の心に素直になろうと決めている。言葉も粗っぽくなった。女子高生相手に馬鹿野郎呼ばわり、親が聞いたらきっとびっくりして連れ帰っちまうだろうな。

 でも、僕は僕なりに、育てているつもりなんだ。人によって怒鳴り方も変えるしね、怒る視点も違う。上級生には厳しく、下級生には柔らかく、そんな気配りしつつも、でもねえ、もう、呂律が回らなくなるくらい、怒り心頭なんだよね。で、そのくらいこっちの気持ちを直にぶっけないと、ダメなんだと思う。こっちの真剣さの度合いをしっかり伝える、それには、全身全霊で怒りをぶっつけることなんだと思う。そんな心と心の真剣勝負で、芝居作りを伝えて行きたいと思ってる、なんて、ちょっと、格好良すぎた、てへへ。

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音録り終わって最後の仕上げ!

2007-09-05 22:52:32 | 演劇

 高校生がミュージカルって、ほんと大変なんだ!もう、わかってよ!!って叫びたいくらい。なのに、評価となると、・・・歌、下手!とか、う~ん、ダンスイマイチ!とか、歌の入り方がねえ、とかってもう、めちゃくちゃ厳しい評価に晒されるんだ。まっ、仕方ないけどね。芝居の他に歌やダンスまでさらけ出すんだから、粗だって見えようってもんだ。

 でも、そういった感想を気軽に投げてくれる人たちって、ここまでくるまでにどんだけ苦しんでるか!どれほどの技術の積み上げがあったか!なんて、てんでわかっちゃいないんだ。いいや、分かる気もないに相違ない。だって、自分でやろうって気持ち毛頭ないんだから。

 おいおい、舞台かける前から泣き入れてどうすんだよ。そいつ承知でミュージカルで勝負してんだろ?わかってます!わかってますけどね、ついつい愚痴ってしまうんだよ。だって、絶対、そこらへんの演劇部にはできないことやってんだから。ダメはダメでいい。でも、そのダメな舞台にものすごいエネルギーと技量の投入があるってことぐらいは、わかってほしいんだ!

 で、その一つが、音録り、伴奏と歌を録音する作業だ。一昨日ようやくその仕事が終了した。夕方の5時に始めて、終わったのは9時過ぎだった。ご苦労さんでした、部員達。昼間は残暑の米沢三中体育館で、子どもミュージカルの公演、息つく暇もなく音録りだか。それから、バックアップしてくれた人たちもお疲れ様でした。ピアノ伴奏の土井先生。録音エンジニアの役場職員Kさん。どちらも置農演劇部のためにまったくのボランティアで引きうけてくれている。こういう凄い人たちが裏側でしっかり支えてくれているから、置農ミュージカルがそれなりに仕上がっていっているってことなんだ。ほんと、ありがたい!!

 さらに、録音のスタジオは、この地の音楽ボス片倉さんが経営するライブスペースジャム。素晴らしい演奏会が定期的にもたれている会場なんだから、もう、どうにもこうにも恵まれてるよね。今回は特に、置農のために、歌録り用の高性能マイクまで新調していただいた。ありがとう片倉さん!

 今回は歌が6曲、妖怪バンドが2曲、バンドのバックで歌が入る曲が一曲と、9曲の録音をした。本当は、伴奏だけ録って舞台で歌を合わせればいいんだけど、心配だかね、出出しの音間違えたり、途中声がとぎれたりってのが、だから、歌も入れて録っておく。おっと、こんな極秘情報流しちまっていいのかい?まっ、聞く人が聞けば分かることだからね、これが今の置農演劇部の実力ってことで、潔く力不足を認めよう。

 さて、今回の音録りだけど、歌はまあまあスムーズに行った。やっぱり蓄積あっからね。特に、主役のミドリのソロはいい。これは大会できっと評判になるね、彼女の演技ともどもに。ただ、バンドがねえ、・・・・うーん、バンドが・・・・・いやはやバンドが・・・・・

 結局、見切り発車で、録るだけとったってところだった。残念!僕もつらかったけど、アコーディオンのタクミは、自分の不出来にかなり落ち込んでいた。よしよし、その気持ちが大切なんだよ。おわったー!ばんざい!じゃ進歩がないものね。タクミにはぜひ、本番でリベンジしてもらおう。

 明日は本番会場を使ってのリハーサル。届いた編集済みCDを使って、いよいよ芝居の流れの中に音楽を入れていく。こんな作業もミュージカルならではのこと。できあがってみれば、楽しいミュージカル、そこまで行くのに、まだまだ乗り越える壁が幾つも待っているんだ。あーあ、じゃなかった、よーし、頑張るぞ!!

 

 

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卒業公演:50(歳)を過ぎたら板(舞台)地獄⑪

2007-09-02 22:22:06 | 演劇

 卒業公演がやってきた。いやいや、まだ来ない。まだ、十ヶ月も先、11月の話しだ。プラザ演劇学校の二年目は、ほとんど一年かけて舞台を創るってことになった。作品はソーントン・ワイルダーの『わが町』、これを役場のKさんが川西版に脚色して上演するってことになった。

 さて、演出は、Sさん。まあ、妥当なところだ。彼女は演出力も意欲も統率力も兼ね備えていたからね。役についてはそれぞれが希望を出して、それを見てSさんがキャスティングするってことになった。僕?男性の役で一番出番の多い役、原作でいう舞台監督という役を希望した、図々しい!小さな田舎町の隣り合った二家族の何気ない日常をスケッチしたこの作品、そのスケッチの一枚一枚を案内して歩くのが、舞台監督の役だ。

 原作じゃ男性一人なんだけど、僕たちの舞台では、男と女二人で掛け合いのように演じるってことだった。なので、セリフは原作の半分、うーんちょっと残念?でも良かった?まあ、どちらでもあったかな。相方は二十歳代の女性。ちょっと嬉しい?そんなことはない。

 で、稽古が始まった。う~ん、何にも言ってくれないんだよ、演出。いろんな役があるし、いろんなシーンがあるから、そうそう、こっち向いちゃくれないのはわかるけど、ごくごく手短な指示があるっきり。相方さんは結構かまってもらってんのにね。やっぱり年上のおじさんには言いにくいか?それはないな、Sさん場合。教頭の修三先生に対してだって食い下がっていく人だから。

 最初は随分と心配だったけど、まっ、僕がやってることでいいってことなんでしょ、と気持ちを切り替えた。それからは、ひたすら他の役者さんの演技の観察に時間を充てることにした。だって、出ずっぱりの役なんだから、他の人の芝居見てるしかないじゃない。

 あそこはこうやるよな、僕なら、とか、うーん、彼女はこの向きから見るといいぞ、とか、あのセリフは違うよとか、演出が要求してんのはこうなんだよとか、ともかく、稽古時間の大部分は見てるしかないわけなんだから。10ヶ月近くの間、ただひたすら、見たね、考えたね。陰の演出家ってところかな。もちろん、余計な口出しなんてしなかった。これ一番嫌なことだからね、演出にとって。独断と言われようと、独りよがりと言われようと、自分のやりたいようにやる、これが演出の醍醐味ってもんだよ。で、この時のひたすら観察が、演出をやっている今の僕に大いに役に立っているって感じる。

 だから、演劇部の部員達には、他人のダメだしを真剣に聞けって、いつだって注意してる。自分が言われてんじゃないから、関係ないってのが多いんだよ、残念ながら。それじゃ伸びないんだって。

 さて、いよいよ本番。昼夜二回の公演。たくさんの人が見に来てくれた。ありがたかったね。プラザ演劇学校が注目されてるってことがよーくわかった。出来の方は、まあまあ、だったかな、舞台全体も僕の方も。初めての大役だったけど、感激というほどのこともなかった。生意気!あまり好きな芝居でなかったってこともあるかな。僕としては、もうすでに、卒業後の新劇団立ち上げに心が動いていたからかな。

 とは言うものの、間違いなく自信はついた。勉強もできた。それと、演劇学校の仲間たちに、あのおじさん、結構やるじゃん、って思ってもらえたことが大きかったかな。えっ、誰もそんなこと思わなかったって。そうだよな、だから、今だって苦労してんだよ、みんなちっとも認めてくれない。

 でも、この舞台がなかったなら、ここまでずぶずぶに演劇に、劇団に溺れるってことはなかった!これだけはたしかだね。

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