とんでもないことになっちまったよ!!
大会本番5日前に、キャストの変更。しかも、結構大切な役。事情は、ちょっと複雑でここには書けない。ともかく、変えるしかないって思ったってこと。
これって、かなりの度胸だと思わないか?いや、役者にゆとりがあって、後釜がしっかり控えてるならいいよ。でもね、置農の場合、全員野球ならぬ、全員舞台だからね。すでに最小限のスタッフ除いて18人もキャストで役当ててるんだ。スタッフもギリギリで、照明の補助部員は音響も掛け持ちって状態なんだから。それでも、キャスト変更!!う~ん決断だった。
結局、バンドメンバーから一年生を一人引き抜いてその役に抜擢。バンドには音響、照明掛け持ちの2年生を当てた。バンドに入れた生徒はダンスもできるし、度胸もあるので、心配はない。問題は1年生だ。これまでこれと言った舞台に立っていないからね。初舞台みたいなもんだ。しかも、難しい役なんだよ。好きな男を許嫁から奪い取る女、なんて、高校生にできるか?
も一人の顧問、Nは、この事態を陰からセリフを入れて乗りきろうかなんて考えたようだけど、僕は、あえて交代を決断した。残り5日とは言え、最後の2日は装置のトラック積み込みとリハーサルで稽古はできない。とすると、残された日は、わずかに3日。でも、できる!絶対できる!!不安はない!!本当にないんだ。
なんなんだろう?この自信は。突如、大役を押しつけられた一年生にしてみれば、泣く思いだよな。今日はきっと寝られないね、セリフの暗記で。明日までに絶対セリフ入れろ、って厳命したから。でも、彼女はきっとやる!今日だって、部員全員にキャスト交代を告げてから2時間、徹底した特訓で、集団演技の3シーン、歌とダンス2曲をほぼマスターしちまったくらいだもの。
高校生って、いや、人間、て言い直してもいいけど、とてつもない底力を持ってるってことなんだよ。ほんと、凄いんだよ。こまつ座の芝居では、わずか2日前に怪我で主役クラスが交代したって聞いたくらいだもの。だから、できる!その気になればできる!!問題は、その気になれるかどうかだけ。意欲とテンションを高めて夢中で取り組めるかどうかってことだけなんだ。
で、置農演劇部の今の緊迫感は、全員が、やるっきゃないよ!頑張ろう!って状態だからね。これは絶対できるんだ。もちろん、抜擢した部員にその力と意欲が十分だってことも、僕はしっかり見抜いている。このぎりぎり追いつめられた状況でのキャスト交代は、逆にいい結果に結びつくんじゃないか、なんて期待すらしている。
ということで、土壇場でとんでもないドラマを妊んでしまった地区大会の舞台。俄然、意欲が湧いてきたゾ!と、実は精一杯自分をかき立てていたりして。