元旦だ。一年の計は元旦にあり、なんて、今までは、ふんってそっぽ向いてたんだけど、今年は、ちよぴっと真面目に誓い事を立ててみた。なんせ、この3月で教員生活ともおさらばってことに決まったからね。もはや惰性では生きられない。やるべき事は、向こうから押しかけてはこない。自分の暮らしは自分でデザインしなくちゃならない。そういうこと。
で、誓い事その一は、芝居にのめり込んで行った12年前の無我夢中にもどろう!ってこと。具体的には、台本読むことだ。僕が川西町フレンドリープラザ演劇学校に入った時、心に決めて実行したこと、脚本を1年間で100本読む!これだよ。これを今年はやってみようじゃないの。一週間に2本は絶対に読む。これくらいならできるんじゃない。
って、こんな誓い事を立てたのは、これまでの脚本作りに行き詰まり感じたからだ。一つに偏らないよう、いろんなテーマをいろんな方法で書いてきた、って思っていたけど、いざ振り返ってみると、やっぱり一つの傾向があるんだよ。例えば時間の扱い方とかね。それはそれで、僕の身体から出たものだから、大切にしたいと思う。でも、もっと自由に表現の地平を広げてみたいって思ってるんだ。できれば、菜の花座第20回公演には斬新な台本で颯爽と登場したい!へへ、まっ、願望だけど。でも、まずはやってみないとね。と言うことで、昨夜の大晦日は除夜の鐘を聞くことなく、さっさと寝て、今朝は6時からさらっと一本読み通した。本谷有希子。
誓い事のその二は、勉強だよ、勉強。ともかく、本を読む!小説、評論、ルポルタージュ、ジャンル気にせず、とにかく読む。これまで、忙しさに追われて雑読ってほんとできなかったからね。常に台本書きの資料としてしか本を読めない日々が続いてたんだ。行き当たりばったりの飛ばし読みの中から、きっと僕がぶつかっていかなくちゃならないテーマに行き当たるんじゃないかと思っている。
すでに、おっ!これはって本に早くも遭遇した。角田房子の『甘粕大尉』って本だ。そう、甘粕って人は、関東大震災のどさくさくの中で、大杉栄と伊藤野枝とその甥っ子を絞殺した憲兵将校だ。なんて、卑劣で残虐な狂信者!って思っていた。ところが、この本を読んで、まるで違う人間像を突きつけられたんだ。認識をどんでん返しされたその一部を紹介すると、まず、大杉虐殺は軍の上層部から命じられたらしいこと、その後、満州国の建国に命賭けて裏工作に専心したこと、さらに、満州映画社の理事長として満州国の芸術文化の発展に力を尽くしたこと、そして、終戦とともに、満映を中国人の手に移す手はずを終えた後、自ら潔く命を絶ったこと。知らなかった!こんな奥行きの深い人間だったなんて。しかも、人間としても破格に面白い。いつか、芝居にしてみたいってふと思ってしまったね。これからも、きっとそんなすごい出会いがあるに違いない、うん、楽しみだ。そうそう、この本を書いた時、角田房子さんはなんと、90歳だった!!これもとっても元気つけられた。
誓い事その三は体を鍛えるってことだ。これはまだ具体的メニューを決めていないが、ぜひ実行しなくてはいけないって思っている。だって、高校生と一緒に走ったり踊ったりってことなくなるわけだから。かなり意識的に体力トレーニングに励まないといけない。でも、これが一番難しいかもしれない、なんて、やる前から逃げ打っちゃって。
まっ、こんなことを正月元旦に誓い事として心に決めた。要するに演劇人としてさらに一花咲かせましょってことなんだな。願いはあくまで高く、日々の行いはあくまで地道にってこと。25年続いた教員としての生活から、新しい暮らしにシフトする。
このくらいの意気込みが必要なんですよ、本当に!