数日前に、安倍内閣のセールスポイント(?)である危機管理能力・外交機能強化のための新組織である、日本版NSC(National Security Council)構想を検討するための「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」のメンバーが正式に発表になった。
「月に2回程度開き、来年2月末をメドに意見を取りまとめたい」(塩崎官房長官)とのことである。
…全部で6回程度で決めるのか。
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メンバーを見てみる。
議長・安倍晋三首相(あたりまえ)○
議長代理・小池百合子首相補佐官(安全保障担当)○
他のメンバー
塩崎内閣官房長官○
相原宏徳元三菱商事副社長
石原信雄元官房副長官○
岡崎久彦元駐タイ大使○
小川和久軍事アナリスト○
北岡伸一東京大教授
佐々淳行元内閣安全保障室長○
佐藤謙元防衛事務次官
塩川正十郎元財務相○
先崎一前統合幕僚長
森本敏拓殖大教授○
柳井俊二前駐米大使○
○印は僕がTV、書籍で見たり読んだりしたことのある人。全体的に若干Hardliner傾向のようだ。長く事務方内閣官房副長官を長く勤めた、石原信雄さんも入っている。
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この手の話を読んだり聞いたりするといつも考えることは、NSC構想そのものは、アメリカの制度をまねることになるようだが、日本は(象徴)天皇+制議会制民主主義国であるということである。天皇制は立憲君主制制度だ。大統領制ではないのだから、学ぶべきはイギリスなのではないだろうかということである。
日英を比較すると、「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である天皇陛下(日本国憲法第1章第1条)」と、イギリスのエリザベスⅡ世女王陛下とでは、政治的影響力などは後者の方が有るように見える。それにしても立憲君主制であることには変わりなかろう。安倍内閣総理大臣は元首ではない。日本が設置しようとしている日本版NSCのモデルであるアメリカの国家安全保障会議は、同国最高意志決定機関の一つで、1947年に国家安全保障法(National Security Act of 1947)によって設立された。そのメンバーは、大統領(軍の最高司令官、国家元首である)、副大統領、国務長官、国防長官である。非常に少ない。臨時メンバーも多いが、国家情報長官、統合参謀本部(JCS)議長は助言者扱いである。意志決定に関与する人数が少ない。そして、当たり前だが、大統領が最終意志決定者であることである。
日本には現在、安全保障会議(Security Council of Japan)がある。国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項をためのものだ。これを発展改組することにしても、関係省庁の企画立案・情報収集・分析担当を全部事務局に吸い上げるとなると、相当大きな組織改編になる。それこそ大仕事である。組織の有り様、実際の運用。これから数年後、どんな姿をして登場してくるのか、あまり話題にはならないけど、目を離せないと思っている。
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