財政破綻した夕張市の財政再建計画の骨子に、市内に11校ある小・中学校を、平成22年までに小・中学校各1校に統廃合する案が盛り込まれた。
これは、読売新聞のウェブサイトが先月取り上げていたものだが、同市にはもっとも多かったときには小学校が22校、中学校が9校あったとのこと。現在ではそれが11校、随分減っているのだなあと感じたものだが、それが2校である。人口減少に伴い、財政破綻前から統廃合(計画)を進めていたのだが、破綻前の計画では小学校は3~4校、中学校は3校が考えられていた。それを小中各1校にせざるを得ないとは、、、きびしい。そう、思った。
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興味本位と思われるのは嫌だが、関心を持たざるを得ないのは、学校統廃合が何をもたらすかである。これは、まず第一に、児童・生徒の学習環境の激変を意味する。次に、学校の消滅は、学校文化(地域コミュニティー)のの喪失につながる。そして、先生たちの人事異動をもたらすということである。同市のウェブサイトには、11月14日付の、「夕張市財政再建の基本的枠組み案について」が掲出されている。それによれば、この統廃合は以下のようになる。
小学校(7校)
H20年度1校減、H22年度5校減…1校に。
中学校(4校)
H20年度1校減、H21年度2校減…1校に。
幼稚園
1園ある。現状維持
給食共同調理場(5ケ所)
H20年度1ケ所減、H21年度1ケ所減、H22年度2ケ所減…1カ所に。
図書館と美術館
H19年度で廃止。
学校の教育をサポートする給食共同調理場(給食センタ)、社会教育施設である図書館も美術館も維持できなくなる。それぞれの施設に勤務する、給食員さん、栄養士さん、司書さん、学芸員さんも依願退職の形で順次やめることになるのだろう。彼らは、完全に市職員である。他の市にはそう簡単には転籍できない。財政破綻をきたすと、学校教育・社会教育関係だけでもこれだけ大変である。全市のことを考えると、その影響はすさまじいことがわかる。
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読売にもう少し細かいことが書かれていた。
それによれば、1970年代に建設された校舎は、1校平均で年間約1000万円の維持費がかかり、各1校にまとめれば、約9000万円の節減につながる。教育次長のコメントも出ていた。
「財政破たんで、今後さらに人口流出は進むだろう。現体制の維持は困難。一か所に集約して整備していくことで、教育水準は維持していきたい」
学校には先生以外に市負担の事務職員・用務職員がいる。この人たちはどうなるのだろう。かなりの数が依願退職の希望があるという報道もあった。教員は全部で118名だそうだ。公立義務教育学校教員の給与は、半分国費・半分は地元自治体持ちである。この人たちは、市職員であるが、市町村をまたいだ転勤があるので、市外に去っていくか、定年前に退職される方もでるかもしれない。繰り返しになるが、この結果、学校という名のコミュニティーが消滅していく。
小学校が7校。過疎地だから1校に全学年がそろっていないかもしれない。複式学級もあるかもしれない。仮に各学校に6学年それぞれ1学期有ずつ全部がそろっていたとして、担任の先生は42名。校長7名、教頭7名。小学校の先生の数は56名。
中学校が4校。同じ計算をしてみると、担任の先生は12名。校長4名、教頭4名。中学校の先生の数は20名。
両方を足すと76名。118名から76名をひくと40名ちょっと。中学校は教科担任制だから、担任3名が全部違う教科だとしたら、あとそれぞれ6,7名の配置だろう。これだけ見ても、ギリギリの学校運営なのがわかる。人口の減っている街でも、中心部と周辺部では人口は偏在している。中心部は1学年複数クラス、周辺部は1学年1クラスで生徒は数えるほどだろう。教員配置のバランスはさらに厳しくなる。また、公立学校なので、特別支援学級設置校も最低小中1校ずつはあるはずだ。本当にギリギリの人数配置である。管理職を教員の数から除外しても、各校に2人ずつ人員が増えるだけである。
考えただけでも、その大変さにめまいがする。
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市財政の舵取りを誤った市長・議員の責任は重い。良かれと思ってやったことでも、結果責任はついて回る。もちろん、エネルギー政策の変更に振り回された(翻弄された)ことも忘れてはいけないだろが。
せめて児童生徒がきちんと学習できるようになってほしいと思う。
あまりのことに、まとまりがない。。。