第一報から1週間過ぎたので、ブログに書くことにする。
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9日朝、ネットでニュースを見ていたところ、こんな項目が見つかった。
法科大学院、初の統合へ
来年4月から、社会人教育強化-桐蔭横浜と大宮
時事通信が8日に配信したニュースである。
それによれば、桐蔭横浜大(横浜市青葉区)と大宮法科大学院大(さいたま市大宮区)は8日、来年4月から法科大学院を統合すると発表したとのこと。
・・・大宮... 地元である。
法科大学院の統合は2004年の制度開始以来初である。
・・・募集停止は、昨年姫路獨協大学法科大学院が決めている。
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ニュースを聞いた第一印象は、『ついに来たか』『やっぱりなぁ』である。以下、雑感を書いてみよう。
法科大学院制度は、従前の法学部卒業し、法曹界へというルート以外に、非法学部出身者をも専門職大学院である法科大学院で教育し、そのことにより、多様な人材をとりこむことが目的の一つである。これは裁判員制度等の法曹改革の一環だったはずだ。
法科大学院修了者が新司法試験を受験した場合、『修了者のうち相当程度の者(例えば約70%~80%)が新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべきである。』との努力目標があった。これにより、修了・受験すれば、かなりの割合で法曹界に行けるというイメージが生み出されたと思う。
法曹人口の必要予測も、現状から見ると多すぎたきらいがあったことも否めない。もちろん法科大学院受験者が、法曹界を目ざす上で、これらのリスク要因を理解せず、受験・進学したとは思わないが、数字が一人歩きしたことも事実だろう。
法科大学院数も多すぎた。
当初は20校から30校が適正規模と考えられていたが、実際には74校もできてしまった。大学の新増設が比較的しやすくなった時期と重なることもあったとはいえ、この数は多すぎた。
20校から30校というのは、従前の司法試験合格者をコンスタントに、かつ複数(二ケタ)出していた法学部を持っている大学数とあまり変わらないような気もする。認可する側と、『法学部があるのに、司法試験を目指せないのでは学生募集に問題がでる。』と考えた、法学部設置大学の思惑のずれが、多すぎる法科大学院という状況を生んだのではないかと思う。
毎日jp.記事によると、文部科学省は昨年9月、新司法試験の合格率が低迷し、入試倍率が2倍未満の大学院などに対し、2012年度から公的支援を削減する方針を示していた。
今年4月の入学者データが出ていた。
桐蔭横浜大(定員50):入学者38
大宮法科大学院大(同70):入学者27
昨年の新司法試験の平均合格率は25.4%
桐蔭横浜は7.2%
大宮は10.2%
今年春入学の入試では両大学院とも倍率2倍未満。
これらの数字を見れば、何らかの決断が求められる、アクションを起こさないことは、許されない状況なのだろう。
両校の共同のプレスレリースを読んでみた。以下が統合へのスケジュールである。
『具体的な統合作業は'12年4月開始、'16年3月を目処として終了予定。
『その間、両校は、単位互換制度などを実施、教員・学生の交流を図る。
『大宮法科大学院は、'12年4月入学予定の学生募集をもって募集を停止。全学生の修了や転学が済み次第、文科省に法科大学院廃止申請。'16年3月をめど。
大宮は来年も入学試験を実施するようだ。しかし、統合し、なくなる大学院に進学する者がいるとは思えない。
統合後のキャンパスは桐蔭横浜大学のキャンパス。名称は『桐蔭法科大学院』として運営される。実質的には統合とは言えない。大宮が吸収され、消滅することになる。
繰り返しになるが、来るものが来たの感がある。ただ、法科大学院の統合は高校教師の立場で見ると、ものすごく影響が大きいとは言えない。僕がホントにマークしているのは、薬剤師養成の6年制の薬学部である。