今日はサンクトペテルブルグでの最終日。今日一日の『自由行動』を、再度エルミタージュ見学に当てました。
今回のツァーを選んだ理由のひとつが一日半の『自由行動』でしたが、ロシアでは、乗り物も街中の表示もロシア語であるし、また治安上の問題もあり、タクシーも地下鉄もあまりお勧めでないといわれ、とても心配しました。しかし、『自由行動』での再度のエルミタージュ見学をどうしてもあきらめきれずにいました。
幸いなことに、ホテルのカウンターで前払いのタクシーの予約受付があることが分かり、難問解決。往時の降車の際に、迎えに来てもらう場所と時間を確認し合い、4名のグループで安全に往復し、希望をかなえることができました。
入館を待つ間に、私たちの日本語会話を聞いて「ニホンジンサマデイラッシャイマスカ?」とロシアの美人の女の子に声をかけられました。
サンクトペテルブルグ大学の日本語学科をこの6月に卒業し、ガイドのアルバイトをしながら経験を積み、その後本格的にガイドになるということで、「ワカラナイコトガアッタラ、ナンデモキイテクダサイ。」と親切に、優しく言ってくれました。
日本を訪れたことはないのに、癖のない流暢な日本語に驚きました。日本についても、かなりよく勉強しているようです。大学1年生で漢字1000字をマスターしたそうで、この数字は日本の小学生が習う漢字に匹敵します。
学生の間に、ガイドに必要な資格をひとつひとつクリアしていき、「すご~く勉強しました。お金もかかりました。」ということです。学生時代は勉強が大変で、「古事記も読みました。芥川龍之介も読みました。」と、アルバイトもできないほど勉学にいそしんだそうです。
「大学に残ることは考えませんでしたか?」と聞くと、「残りたい気はあったけど、研究者の月1万円くらいの給料では生活ができません。」とのこと。「まずはガイドをしてお金をため、その後日本系の会社に入れたらいい。」と、真剣に話してくれました。
その日のアルバイトは外国人の英語ガイドということで、大学生は学科を問わず英語を話すのは当然のことだそうで、思わずわが身を恥じました。
一人のロシア人との短い会話を通して、わずかですが、その国を生で垣間見ることができました。こんな出会いがあるから、『自由行動』は旅の思い出を深めてくれるのです。名刺をもらったので、そのうちにメールをしたいと思っています。待ち時間にこんな出会いがあってとても楽しい30分間でした。
さて、ようやく入館できました。二日前の見学で大方の位置関係がわかっていたのと、『地図の読める男』の夫がついていたので、400もあるという展示室が、かなりスムーズに回れました。今回は、ちゃんと写真撮影のチケットを買ったので、フラッシュはダメですが一応写真も撮りました。これは白壁に金色の装飾がまばゆい「大使の階段」です。
2階には、西洋美術の傑作が集中。ダ・ヴィンチ、フラ・アンジェリコ、カラバッジョ、レンブラント、ラファエロ等など。 部屋番号と作品をプリントアウトして準備していたのが役に立ちました。豪華絢爛なピョートルの間、玉座の間、黄金の馬車、孔雀時計・・・とロマノフ王朝の底知れぬ財力を目の当たりにしました。
3階には絶対に見逃せないフランス絵画が収められています。ルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、ピカソ、マティス等など・・・。なかでも、マティスの『赤の食卓』(180×220cm)はやはり素晴らしいものでした。平面性、装飾性、色彩性 というマティスの独自性が心に響き、色彩の持つ力を感じました。赤ってこんなに美しいものなんだと思いました。
ガイドさんによれば、ひとつを30秒かけて見ても、全部見るのに寝ないで2年もかかるとか。私たちは一日半しか見られなかったけど、どうにか見たかった絵は見ることができました。
部屋数の割には階段とトイレが少ないし、入場者の割にはカフェのテーブル数も少ないし、入り口の外まで行列ができていました。一日がかりで見る人は、食べ物にありつけないこともあるでしょう。
カフェのメニューはロシア語表示でも、金額はアラビア数字。あとは商品を指し示せばOK。かくして、ここではロシアの人と同じ料金で安あがりな昼食をゲット。
サンクトペテルブルグ発の飛行機は23:50。出発までの時間を利用して、なんとかオペラを観たい旨を伝えていたので、添乗員さんと現地ガイドさんが随分努力して、チケットと車での送迎の手配をしてくださいました。マリインスキー劇場の方はだめで、バレエ鑑賞の時と同じムソルグスキー・オペラ・バレエ劇場になりました。演目は『皇帝の花嫁』。出発の時間から逆算して、ぎりぎりのところまで観て途中退場。幻のマリインスキー劇場は、バスの中からしっかりと目に収めてきました。
これで今回の観光スケジュールは終わり。まだまだ心を残しているところがたくさんあります。また来ることあるかな~…。ないだろうな~…。