九州には珍しく雪になるとはわかっていましたが、せっかく帰省した息子の親孝行企画とあって、阿蘇の外輪山にある垂玉(たるたま)温泉に行きました。
山の中の一軒宿「山口旅館」は当主が7代目という歴史を持ち、60mの滝のふもとにある露天風呂「滝の湯」、大浴場「天の湯」、茅葺き露天風呂「かじかの湯」は、お湯あたりがとても柔らかく、源泉かけ流しの満足度が高い温泉です。なんといっても魅力なのは「日本秘湯を守る会」の会員旅館だということ。関東から、この温泉と黒川温泉に入るために正月休みに飛んできたという若い人もいました。
本館から100mほど離れた「滝の湯」は混浴で、60mの 2本の滝のそばにあり、女性には浴衣が用意されています。九州では雪の中の露天風呂なんてそうざらに経験できるものではありません。「えーぃ!」とばかりに実行して、パンフレットによくある「雪と露天風呂」の醍醐味を味わいました。ニの字ハの字の下駄の跡も情緒と風情がありました。入っていなかったらきっと後悔し続けたことでしょう。写真の建物が露天風呂の入り口です。
観光ホテルのようなきらびやかさはありませんが、係りの人の対応もよく、食事もおいしくいただきました。明治に逗留した白秋や鉄幹たちの足跡を物語る文書も展示され、文人墨客の宿でもあったようです。
一面の雪景色に、雪に飢えた九州のスキーヤーがどっと繰り出し、あちこちにJAFの車が出動。阿蘇のロープウェイも休業するという、年に何回かの雪の日に巡り合わせたラッキーな小旅行でした。