「こごナマ」の平野レミさん、底抜けに明るく自由奔放な料理が楽しく面白い番組です。以前に放送のレミさんの大根飯です。

過ぎた春、夕日を浴びた後ろ姿の影に思わず息をのみました。「どこへ向かうの?」

レミさんがご主人の「わださん」を亡くされて、まだひと月も経たない番組で、視聴者からの励ましに対する感謝の手紙をアナウンサーが代読しました。
『先日、夫の和田誠が83歳で逝ってしまいました。私は今こうしてお料理の仕事をさせてもらっておりますが、きっかけを作ってくれたのは夫の和田さんでした。何でも好きなことをさせてくれたのも和田さんでした。和田さんには感謝しかありません。家では仕事の話をほとんどしない無口で静かな夫でしたが、私が仕事をすることに関してはいつも応援してくれました。だから私はこれからも天国の和田さんが美味しいよって言ってくれるお料理をどんどん作って、また元気に次の人生を楽しんでいきたいと思います。温かいメッセージをくださった皆様、本当にありがとうございました』
これを聞きながらレミさんは涙が止まりません。聞いてる方ももらい泣き。番組中に何度も涙ぐみ、ティッシュで拭いたり後ろ向きになったりと。泣くまいと必死に覚悟してきたのでしょうが、周囲の優しさにほっと心が緩んだのでしょう。
あの明るいレミさんの涙に、夫を亡くすことが、わかっていてもどんなにショックなことかを思わずにはいられませんでした。
レミさんはティッシュで涙をぬぐいつつ「あー嫌だ、ダメだ。こんなことになると思わなかったからねー」、と周囲と自分を励ますかのように「でもね、私思うの。100年か200年後には、ここにいる人全部さぁ、いなくなっているからね~。みんなそうなのよ!だから今を元気に生きましょうね!」と努めて明るく振舞ったのがすごく心に残りました。
レミさんはご主人のことを「わださん」と呼んで、過度のパフォーマンスの中にもご主人への敬意はずっと変わりませでした。
先だって夫と二人で他愛もない話をしているとき、話の流れで夫が「おれもあと5年のうちには形がつくだろうから」とさらっと言ったときに、がーんと打ちのめされ心が固まりました。自分達にそんな有限の形があるなんて考えもしない、いや考えたくないことでした。入院したこともなく、緑内障の目薬は使用しているものの歯も全部自分の歯。なのになぜ?
平均寿命は知ってるものの、自分達の寿命は10年単位ぐらいで考え、その10年はいつも10年から減ることはありません。「5年」とすぐそこの具体的な数字が衝撃的で涙がこぼれそうになり、言葉がうわずるのを必死でくい止めました。ショックでした・・・。
その夜布団を被って思いきり泣きました。その言葉を思いだす度に悲しくなります。

過ぎた春、夕日を浴びた後ろ姿の影に思わず息をのみました。「どこへ向かうの?」
この写真がずっと心に尾を引いていました。レミさんの涙を思い出して、そう、先は有限なんです・・・。
先ほどお風呂から出できたら、平均92歳のおばあちゃん3人が限界集落で明るく楽しく仲良くのんびりと暮らしているのが映し出されていました。
いい笑顔!いい表情!思わずこちらも顔がほころびました。