新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

師走の旅② DIC川村記念美術館

2015年12月20日 | 美術館&博物館

'90年に設立され人気の美術館にランク入りした千葉県佐倉市の川村美術館。九州からではこれも私にはまぼろし・・・だったのが、ついに現実になりました。
現在の名称は「DIC川村記念美術館」です。大日本インキの創設者の名字からとられたものです。

朝から暖かすぎる陽気で、コートのライナーを外して出発。秋葉原→錦糸町で総武本線(快速エアポート成田)に乗り換えると52分で佐倉駅に到着。駅の前に専用のパスストップがあり無料の送迎バスを利用します。ルノワールの絵をラッピングしたお洒落なバスです。これを利用しないとタクシーでは3000円もかかるとか。
 

  

木立の中のエントランスを抜け小路をを歩いて行くと、正面に刈り込まれた芝生と白鳥の池に出ます。右手をみるとヨーロッパの古城を思わせる瀟洒な美術館が建っています。

「絵の住処(すみか)― 作品が暮らす11の部屋 ー」 のタイトルが示すように  館内はヨーロッパの部屋、彫刻の部屋、日本画の部屋、ロスコの部屋…などに分かれています。
展示室と天井の形、床の種類と色、窓の形と大きさ、ガラスの色などが「絵の住処」に合うように綿密に計算されています。
「オーダーメイドの展示空間は、作品の魅力を十分に引き出し、見る人と作品を緩やかに結び合わせる最適の場」にするのがコンセプトです。
中でも「レンブラント・ファン・レインの部屋」は圧巻。部屋に入った途端にあっと声が出ます。ほの暗い狭い空間に、《広つば帽を被った男》がたった一枚、ポッとスポットライトを浴びて浮かび出てこちらを向いているのです。こんな展示方法があったとは・・・。世界一存在感を示しているレンブラントの絵でしょう。レンブラントは幸せをかみしめていることでしょう。
「つば広帽の絵はここにあったのか!」が夫が最初に発した言葉です。レンブラントの絵が日本にあるという事自体が驚きでした。

橋本関雪の素晴らしい屏風絵、鏑木清方の美人画が展示されたの奥の部屋に立礼の茶席があります。御菓子は、展示中の清方の絵の着物の青と背景に舞い落ちる銀杏をイメージして作られています。なんと心憎い趣向でしょう!窓の外には30万坪という広大な庭園が広がっています。

撮影禁止だったのでこの感激を書くには資料不足ですが、赤瀬川原平氏のちょうどいい解説があったのでこちらを見てください。http://wedge.ismedia.jp/articles/-/653?page=1

再入場も可能という事で昼食に庭園内のレストラン「ベルヴェデーレ」でランチコースをいただきました。そのおいしかったこと!人気の情報は入手済みだったので予定に入れていました。



  

  

食後に館に戻るとちょうどボランティアガイドの解説が始まっておりラッキーでした。レンブラントの絵は、最初は板に描かれていたものが、その板を薄く剥ぎ取ってキャンバスに移したとか。すごい技法があるものです。


半月型の金属板は風の向きによって映された模様が変化し、半球に広角に映った景色も別世界に見えます。動く彫刻の醍醐味です。

 



庭園には作業班の人がたくさん働いていて、芝生の中の小さな草も一本ずつ抜き取っています。たゆまぬ維持管理に、DICの会社が如何にこの美術館を大切にしているかがわかりました。

庭内をぐるっとひと回り。あちこちに野外彫刻が配置されていました。平日で人は少なかったけど、ふかふかの芝生では子供たちが思いっきり遊べそうです。
美術館3時20分発佐倉駅行の送迎バスで、少し心を残しながら美術館を後にしました。美術、建物、庭園、食と一日中他の楽しめる貴重な場所、実現できて本当に嬉しく思いました。

夕食は東京駅でという事で、時間まで丸の内散策。イルミネーション通りには人だかりでしたが、博多駅前広場のイルミネーションの方がずっとお洒落で規模も大きいと思ったのは、きっと東京駅前が工事中だからかな・・・。



 

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