<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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GW、盆休み、そして年末年始に四国へ行くならフェリーが最高!

大阪から四国への自動車での旅行は土日祝祭日の割引料金が続く高速道路を使うのが一般的だ。
なんといっても中国池田ICから高知や松山まで走っても片道4000円を切る激安価格。
ガソリン代を入れても8000円程度だから、複数人での旅行は絶対にマイカーが便利でお得だ。

真面目にやってるJRやバス会社が文句を付けるのも頷ける。
なんといっても高速料金は税金使って値下げしてるんだからアンフェアなことこのうえない。

そんなアンフェアでも便利な高速道路も「渋滞」だけは避けて通ることのできないデメリットで、高速料金が安ければ安いほど通行量が増えるので渋滞も深刻化する。
サービスエリアの駐車場やトイレの混雑も問題だ。

渋滞といえば大阪から四国の場合、中国道宝塚や神戸、明石海峡大橋、倉敷ジャンクションなどで混雑する。
最悪の場合、大阪府を出るだけで2時間以上かかってしまうこともあったりする。
目的地に着いたら運転手のお父さんはふらふら。
ぐっすり寝ていたお母さんや子供たちは元気一杯。
日頃、必死に働いている一家の大黒柱にしてみては、なにか釈然としない休日になっていしまう。

そこへいくと、カーフェリーは別の意味で便利な存在だ。
乗り込んでしまえば運転する面倒から開放されるばかりか、食事はいつでも、トイレもいつでも、潮風に吹かれながらぼんやり風景を眺めるもよし、読書するのもよし、居眠りするのもおつなもの。
渋滞がないからダイヤ通りに目的地に着き、現地での時間も有効に活用できる。

素晴らしき船の旅。
とりわけ関西から四国に向かうフェリーは瀬戸内の美しい景色を愛でることができるうえ、大きく揺れる心配もないから快適だ。

ただし.........連休シーズンの難民船状態を我慢できるのであれば。


今回私は神戸と高松を結んでいるジャンボフェリーを利用した。
時間通りの運行とその便利さ、高速料金と大きな差の無いリーズナブルな船賃が魅力的で、とりわけ深夜便を利用すると寝ている間に四国に着く。
そんなフェリーを使えば快適に違いないと信じて数日前に予約を入れて意気揚々とマイカーに家族を乗せて乗船することにしたのだった。

高速道路の1000円制度に大打撃を受けている船会社の支援にもなるだろう。
海の男達の助けになれば、それもまたよし。
きっと高速道路の安料金制度のため利用客は閑散とし、自動車もまばら。
定期的に利用しているトラックが数台とまっているだけ。
カーペットの客室ではゴロンと横になり、広々と寝られるはずだ。
と私は勝手に思っていたのだった。

ところが阪神高速道路湾岸線からハーバーウェイを経由して三宮で下り、フェリーの埠頭に到着してみれば、乗船を待っている自動車の多さと、100メートル近くも列を作って待っている乗客の多さに吃驚してしまったのであった。
その規模半端ではない。
乗船後のジャンボフェリー約3500トンの大型船は難民船と化してしまっていたのであった。

座席は足りない。
ゆったいりと背筋を伸ばすはずだったカーペット敷きの客席も満員。
通路やデッキ、階段にと、あらゆるところに乗客があふれ返る。
ある者は慣れているのか折りたたみイスを持ち込み、またある者はキャンプ用のシートを敷き、またある者は巨人戦に勝利した我がタイガースの記事の掲載されているスポーツ新聞に包まっている。
みんな体育座りの体勢や居眠りの体勢でうずくまっているのだった。

「昔のベトナム難民て、こんなんやってん」

どさくさにまぎれて何を小学生の娘に教えているんだ、我が嫁さんは、と思っていたら、

「ふ~~ん。難民船って何?」

と娘。

平和な日本ではある。

結局座る場所さえ無い私たちは自分の車の中で到着まで過ごすことにした。
狭いセダンの車の中で仮眠をとるのは久しぶりだ。

「地震の時、神戸の人はこうやって車の中で過ごしたんや」

とは、さすがに教えることはできなかった。
危うく難民と被災民を一緒に教えそうになった。

それでも渋滞と違っていつでも車外にでることはできるし、トイレも自由。
売店は終夜営業しているのでコーヒーでも買いたいな、と思ったらいつでも買うことができる。
そしてなによりも夜の海から眺める本州,四国をはじめ淡路島,小豆島の街灯りが美しい。

フェリーの旅は最高!
ただし、短時間の擬似難民生活の覚悟は必要だ。




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