<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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日経のネット版を読んでいたら「パソコンの値崩れが止まらない」という記事が目に留まった。
なんでも、タブレットの普及でパソコンの価値が下落。
新機種でも4割引は当たり前え!、という懐かしのビッグカメラのCMのような状態になっているのだという。
確かに一昨日の折り込み広告に入っていた家電量販のチラシには10万円を遥かに下回る最新ノートパソコンが目白押し。
機能も優れてソフトまでついていて78000円だとか、6万円台、なんてものまであったりした。
随分と安いもんだと関心していたら、このニュースを見たというわけだ。

最近はパソコンというハイテク製品に価値が無くなり、もしかすると電卓と同じような存在になりつつあるのかも知れないと思うこともある。
そう思うにつけ、これまでの投資はいったい何だったのか、と悲しくなってしまうこともないこともないのだ。

私が初めて買ったパソコンはシャープ製のX1という機種。
大学2年になる頃で、当時の私はCGを作ってみたくて仕方がなかった。
誰も作れない映像を....。
という気持ちが逸り、なんとしてもテレビで流れる「ひょうきん族」や「NC9」のタイトルのようなCGアニメを作ってみたいと思っていたのだ。

当時のパソコンは富士通、日本電気、シャープの御三家がお互いにFM-8、PC-88、MZ-80で競っていた時代。
グラフィック機能は重要視されておらず、インベーダーゲームやスタートレックゲームができればそれで良かった。
でも芸大生の私にはそんなレベルでは納得できず、美しいグラフィックスで他の連中をアッと言わせてやりたいという欲望があった。

で、選んだのがX1。
クリーンコンピューターという分けのわからないコンセプトと、カタログに載っていたテレビの画面がパソコン画面に映るという写真に惹かれたのだ。
圧倒的なコストパフォーマンスを期待したのだった。

当時、パソコン画面にテレビの画面が映るなど、絶対無く、X1は画期的なパソコンだった。
でもそのテレビ画面。
パソコンのプロセッサとグラフィックボードを通して映し出される映像ではなく、単なるアナログテレビの映像が映るパソコンモニタというだけだった。
従ってキャプチャーもできなければ、写真修正なんて不可能で、強いて言えば、テレビを見ながらBASICのプログラムを打つことができるよ、という程度の代物だった。
肝心のグラフィック機能は7色再現の画質ドット620x299ドット。
めちゃくちゃ荒っぽい映像なのであった。

それでもワイヤーフレームでスターウォーズの1シーンのような映像を作れる学生が無理して買えるパソコンはX1だけ。
どうしても欲しくて無理して購入したのだった。
その価格、大学生にはきついものがあった。
近所にシャープに勤めるおっちゃんがおり、社員価格で譲ってもらったのが約25万円。
びっくりするほど高価なPCなのであった。

30万円近くもしても、今のパソコンと比較してもiPadの方がはるかに優れているし、用途も豊富。
ノートパソコンは雲の上の存在だ。

値崩れパソコン。
30年前のあの日の性能は今や価格も付けられないことを思うと、何が性能の価値なのか、わからなくなるIT市場だ。

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