<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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「フィンランドは日本から一番近いヨーロッパです」
と紹介してくれたのは大阪を拠点で活躍するフィンランド人のデザイナーJ Vさんなのであった。
なんでも関空からフィンエアーを利用するとたった8時間でフィンランドの首都ヘルシンキへ到着できるといい、オーストラリアのシドニーや北米のロサンゼルスよりも近いことになる。

10数年前に友人の結婚式でシンガポールへ行った時、そのパーティでロンドンから来たイギリス人と話をしていたら、
「シンガポールは遠い、18時間もかかりました」
と言っていた。
その影響かどうかはわからないのだが、ヨーロッパはやたらと遠く、海外旅行は行きたいけれど遠すぎるといけないという印象が焼き付いている。
シンガポールと日本では条件は違うのだが、同じアジアなので、
「アジアからヨーロッパは遠いんだ」
という固定観念が植え付けられフィンランドは大阪からわずか8時間の距離になあると聞くと、
「なんだー」となるのであった。

このフィンランド。
どういうわけか、ここ数年北欧ブームの中心的役割を果たしている。
何故なのであろうか。
とりわけデザインの分野では北欧の質素だが洗練されたデザインは日本人好みで、私を含め、魅了されてしまった人も少なくない。
マリメッコ。
イッタラ。
ノキア。
などなど。
知り人ぞ知るブランドが数多く存在する。

そんなフィンランドのデザインを代表するものの1つがガラス製品。
そのガラス製品の展示会が大阪の中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館で開催されている。

この東洋陶磁美術館は破綻した安宅財閥の残した美術品、一般に安宅コレクションと呼ばれている重用な陶器類を中心とした美術品を安宅グループを継承した住友グループが1980年代に大阪市に寄贈して誕生した美術館だ。
そもそも、大阪の美術館は民間で作られたもの、とりわけ住友グループの援助で建設されたものが少ないない。
大阪城。
大阪市立美術館。
で、ここもその1つなのだ。

この美術館の特徴は自然光を取り入れた展示室のあることで、それは開館当時世界初。
今回のフィンランド・デザイン展では関係のない部屋なのだが、初めてここを訪れたとき私は思わずそこに展示されている陶器類に目が釘付けになり、長い時間見つめていたことを思い出すのだ。
フィンランドデザイン展では様々なガラス製品が展示されていた。
フィンランドを代表する4つのガラス工房というか、ガラス製品の会社が手がけてきた製品や作品が展示されていたのだ。
その中でも、やはり中心的なメーカーがイッタラ社とアルバ・アルトを代表とするデザイナーの作品が目を引いた。
陶磁器と違うガラスの透明感と質感。
光の織りなす陰影、反射が絶妙なバランスで有機的な生命力を感じさせる。
陶器と違って、ガラス製品は光の使い方が作品のデザインに重要な役割を果たすことがよくわかる。

東洋陶磁美術館はどちらかというといつもは空いている文化施設なのだが、展示されている作品が魅力あるフィンランド・デザインだからか平日なのに、そこそこ混みあっている上質の展覧会なのであった。
特別展大人1000円というのも、優しい金額なのであった。

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