<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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新進作家の展覧会は面白いものが少なくない。
著名な作家と違って先入観と事前の刷り込みが無い分だけ楽しむことができる。
つまり新鮮なのだ。

「DOMANI・明日展」はそういう驚きの連続で、内容もバリエーションに富んだものであった。
写真、インスタレーション、イラスト、絵画などなど。
どれもこれも面白いものであった。
とりわけ私の興味を惹いたのは西尾美也、中谷ミチコの二人の作品だった。

西尾美也の作品はナイロビ在住の黒人男性が東京の街中で無差別に、

「服を交換してくれませんか」

と声をかける。
それで交換に応じてくれた人と服を着替えてから一緒に写真を撮るというものであった。
これは往年のウィッキーさんを連想すればわかりやすいと思う。
彼の場合は英語で話しかけるというものだったが、今回は日本語で。
ただし内容が服の交換という少々変な内容ではある。

このアイデア。
相手は男性の場合もあるし、女性の場合もある。
見知らぬ黒人男性に声をかけられてよく服を交換してくれるものだと感心もした。
しかも女性でも応じる人がいることに東京という街の面白さを感じたのであった。

ちょうどこの日、この西尾美也のトークイベントがありこのアート作品の背景を聞くことができた。
ケニア人の訪日ビザを取ることの難しさや、とってから連れてくることの難しさなどが紹介されていた。
このひとは今は奈良県立大学の講師をしているということで、もしかすると地元でも何か話を聞く機会があるかもしれないと思った。

もう一人印象に残った中谷ミチコの作品はなんと言えばいいのか。
絵画なのか、彫刻なのか、それとも紙の造形物といえばいいのか。

プラスターのようなものを用いて人や鳥の形状を彫り込んで、それに着色してガラスを嵌めた造形物。
一見絵なのだが、よくよく見ると彫り込まれた陰影が光の加減で飛び出して見えたり、角度によっては違った表情に見えたりしてかなりユニークなものなのであった。
こういう手法があることに驚くと同時に、いいアイデアを得たという満足感も加味して非常に楽しませていただいたのであった。

このように、国立新美術館はその退屈な建物とは裏腹に展示会そのものは十分に楽しむことのできる内容で大満足。

ただ見終わったあとにミュージアムカフェでお茶でもしようかと思ったもののその気にならず、地下にあるミュージアムショップを訪れたが、なんとなく趣味に合わずすぐに美術館を出てしまったのだった。
要はギャラリーそのものは楽しくても、それを演出するすべてになにかとっても欠けている美術館なのだった。

「どっかでお茶でもしたいな」
「スイーツ食べたい」
「足がつかれた」

などと言いつつ乃木坂駅方面へ歩くとダウンステアーズカフェというのを発見。
ここはメルセデスのショールーム兼カフェで、大阪でもグランフロント大阪の北館にあるのだが、いつ行っても満席でまだ店を利用したことがなかった。

「ここにしょうか?」
「ええとこやん」
「初めてや」

たまたま空いている席があったので少し足安めをすることにした。

それにしても自動車のショールーム。
それもメルセデスという高級ブランドのショールームがカフェになっているのはかなりオシャレだ。
場所も大阪ではなく東京の乃木坂というところに雰囲気の価値を感じた。
立地条件は場を構成する上で重要ポイントだ。
グランフロント大阪もすごい。
けれどもやはり旅で訪れた東京というのがポイントで、ここで体験する高級感のあるリーズナブルさが素敵に思えた。
私とカミさんはここでエスプレッソコーラなるものをオーダー。
スタバファンのカミさんも初めてのメニューに大いに満足したのは言うまでもない。

「さすがやわ」

と、何が流石かはわからないがリッチな雰囲気を楽しんで体力も回復したので表通りに出て駅に向かってあるき始めると妙なレストランの看板が目に留まった。

「見て。これ」
「何?」
「タイ料理とペルー料理。」
「ヘンなの」

乃木坂駅へ下る階段までもうすぐということころでタイ料理とペルー料理を一緒に出しているレストランを発見。
こういう全く関係のない種類の料理を出すのは一体どういう発想なのだろうか。
私の地元には焼肉と寿司とうどんを同時に出すレストランが有るのだが、それもそれ。
なんとなく「食えればなんでもいいべ」という考えに思われ、限りなくグレーな味を感じるのであった。

やはり首都だけに東京は外食店数ナンバーワンの大阪に負けないくらい変わったレストランもある都市なのであった。

つづく



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