萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:零下の暁

2014-12-09 23:00:00 | 写真:山岳点景
暁にて、街×川



山岳点景:零下の暁

師走、氷点下の夜明は大気が澄みます。
これから指かじかむ朝だけど、澄明な大気の撮影はちょっと楽しいです、笑

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secret talk23 単独行―dead of night

2014-12-09 22:33:01 | dead of night 陽はまた昇る
Which brought us hither,
宮田@第80話+XX日



secret talk23 単独行―dead of night

銀嶺、それから青い影と空。

蹴りこんだアイゼンに氷雪ざぐり砕ける、爪先から感覚もう鋭い。
耳もと嬲らす風、ネックゲイター透かす吐息の零度、ピッケルの指先に振動の有無。
この体すべての皮膚感覚が空を風を山を読む、冴えわたるまま砥がれた勘がピッケル撃ちこんだ。

ほら、来た。

「っ、」

大気どんとぶつかり三点支持の腕ひきずられる、けれどピッケルから手は動かない。
顔伏せた腕も赤い登山ジャケット波うたす、足元ゲイターの黒に氷雪が銀粉をはたく。
空を山を噴きだす豪風は頬を切って、ヘルメットごと髪も凍てつかせ大気が吼える。

―でも斜面は動いていない、雪崩はないな、

全身の感覚神経が山を告げる、その確認に耐風姿勢の視界は山肌を見る。
その耳もと風唸りながら氷礫ぶつからす、今きっと斜面から銀色こまやかに舞いあがる。
きらきら白銀きらめく青空は美しいだろう?そんな想像に吼声は徹りぬけ顔あげた視線、笑った。

「きれいだ、」

ほら、山頂の雪が蒼穹を舞い上げる。
眼下は過ぎ去る風が銀粉まとわす、その粒子ひとつごと乱反射まぶしい。
標高三千の世界に水の結晶は踊る、きらめかせ斜面ざっと奔らせ駈けくだる。
この世界に帰って来た、その喜びに英二は笑った。

「は…いいな、やっぱり、」

やっぱり良い、そう想えてしまう。
低温、豪風、凍結、どれもが死へ誘うのだと解っている。
それでも凍れる吐息に鼓動は弾む、踏み砕く氷に脚は停まらない、だって綺麗だ。

「うん…いいな、」

微笑んで仰ぐ銀嶺は光まばゆい、この輝きに昇る今が幸せだ。
銀色きらめく道は陰翳が蒼い、その道を間違えば死のリスクを与えられる。
そんな危険すら超えられる今は緊張すら喜んで、ただルート見つめて空へ踏みこむ。

ざぐっ、ざぐりっ、

アイゼンの音だけが響く尾根、銀色ときおり粉に舞う。
ナイフリッジ駈けあがる風は機嫌を変えやすい、その聲を拾いながら前を見る。
はるかな蒼穹へ尖峰が指す、あの頂にある時間を昔の自分は知らなかった、でも今は歩いてゆく。
こんなふうに自分は雪嶺を戀した、もう戻れないまま日常は遠ざかる、そして独り山に笑う。

「変わらないな、俺も、」

微笑んだ息また白く凍える、けれど心地いい。
なぶらす風は氷が舞う、この一粒ごと低温は命の刻限に迫らせる。
それでも自分の生きる場所はここだ、そんな確信に昇りあげた山頂、遠い時間が微笑んだ。

―…えいじ、ありがとう…ずっと、

ほら、あの声は自分の幸福、自分の温もり。
けれど今は遠くなった、それでもいつか再会の時は訪れる。
そのとき手を繋げるのなら二度と自分は離さない、そう決めている左手を見つめ笑った。

「もうじき逢えるかな、周太?」

登山グローブ嵌めた自分の左手、この手に幾つを掴んできたのだろう?
そして取り零したものは数えきれない、そして君を幾度もう傷つけた?

それでも君は赦してくれるだろうか、約束ひとつ信じて。


【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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山岳点景:青、朦朧

2014-12-09 00:50:03 | 写真:山岳点景
青色墨彩



山岳点景:青、朦朧

師走の八ヶ岳より、天然一瞬の墨彩。

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山岳点景:北欧の水鏡

2014-12-09 00:43:00 | 写真:山岳点景
明鏡止水



山岳点景:北欧の水鏡

フィヨルド×空、雲まで明瞭に澄んだノルウェーの風光です。

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚292

2014-12-09 00:20:04 | 雑談寓話
歯医者クンとの午後呑み×話題は精神疾患@日曜日、
歯医者クンの相談ごと=R18ガキンチョサマどうすりゃイインダ訊かれて言ってやった、

「バレンタインとか本もらった時とかハッキリ要らない迷惑だって意思表示していないだろ?告白された時も年齢はもちろん人間としても恋愛対象にはならないし嫌いなら嫌いだってハッキリ言えばよかったんだよ、押しかけセックスの時も玄関を開けなければ良かったんだ、」

ほんと何故そのとき家に入れたんだろう?
この無知な自意識過剰愚鈍バカに教えてやった、

「まず帰らないと警察を呼ぶよって言ってやってさ、それで帰らないなら本当に警察を呼んで本人の家族にも娘が異常で迷惑だって教えてやればよかったろ?そういうの大袈裟で困るとか思ったんだろうけどね、あんたは歯科医師として倫理責任もあるし大人として阿呆なガキに教えてやる責任もあるんだよ、そのガキンチョが将来ストーカーにならないためにも厳しく接してやることがホントの優しさだって思うけど?」

ようするに彼の行動は偽善と臆病と無知と小さな虚栄心がとらせたモンばかりだ。

ガキンチョが自分に本気で恋してる=可哀想

って認識したから精神疾患の可能性もまったく思いついていない、
そういう医学プロ根性が無いあたり呆れながら今度は経営者責任に言ってやった、

「ベテランオツボネが怖いとかあるのは解かるけどね、でも逆にアンタの姪ほんと迷惑だから厳しく躾けてくれって言うべきなんじゃない?未成年者と恋愛疑惑になれば免許停止もあるんだからさ、医師免許とられたら歯科医院も閉鎖になるからイイカゲンにしてくれって言うべきだろ?それは経営者で医者であるアンタには当然の責任で義務だよね、」

それくらいなぜ解らないのか?
その理由は本人もイイカゲン解っているだろう、そのとおり歯医者はため息吐いた。

「ほんと軽率だったと今は思うよ?嫌味な言い方だけど、モテるほうだからまた好かれて困るなあって良い気になってるトコあったし。今言ってくれた通り、精神疾患の兆候とかあったのに気づくことも無かったのは結局、モテるって良い気になってた所為もあるんだ、」

こういうヤツがR18違反で逮捕とかされるんだろうな?
この色ボケ小僧に遠慮なく笑ってやった、

「自分はイケメンだから恋させてあげるのも大事なボランティアとか思ってんだろ?それで不細工ヤンデレに人生潰されそうとかホント馬鹿だね、笑」
「確かにヤンデレ系なカンジがあるかも、でもヤンデレって健康じゃない方が美人とか思いこんでるのかな?」
「美人薄幸って言葉に惑わされてんじゃない?字面だけで理解したツモリになってんだろ、笑」

なんてカンジに歯医者もガキンチョもまとめてSりながら呑んで、
それから念のため言ってやった、

「あんたに責任皆無ってワケにはいかない、だからといって責任とろうとかするのは余計にガキンチョサマを妄想って精神疾患に追いこむだけだよ、あんたが良い人ぶるほど彼女の病気は悪化する、そうして廃人を作りだすのは仮にも医者なら出来ないはずだよね?」

偽善者ぶりたいのか医者のプライド捨てたくないのか?
この二択に歯医者は頷いた、

「うん、もう曖昧な態度は辞めるよ?歯医者でも医者だからね、」

ホントきっちりケジメられるといいよね?
そんなこと思いながら追撃してみた、

「だったら精神疾患も勉強しときな、そういう患者と出逢う可能性いくらでもあるだろ?笑」
「ホントにそうだね、患者じゃなくても今回みたいなのあるし。どんなタイプが精神病みやすいとかぐらい知らないとね、」
「統合失調症は学校レベルの成績は良かったヤツに多いらしいよ?ペーパー勉強だけの頭デッカチが大学の研究や職場で挫折して発症とかね、」
「そういえば学校の成績は悪くなかったみたいだね、ベテランさんの姪御さん、」
「そのガキンチョサマ、ボーダーライン人格障害の可能性もあるんじゃない?母親が情緒不安っぽいコトさっき言ってたろ?」
「うん、なんかピリピリした印象の人だけど、」
「2歳ごろ母親が情緒不安定とか不在だとね、いわゆる分離不安が残って他人との距離のとり方がわからないボーダーライン人格障害になったりするよ、」
「分離不安って母親と自分は別の人間って認識することが出来ない、っていうのでよかった?」
「それだよ?分離不安で距離感が解らないから感情の制御も出来なくてストーカーとか性犯罪に繋がりやすいんだよね、実質あんたもヤられかけたし、笑」

なんて話をしながら改めて思った、御曹司クンはやっぱり精神疾患じゃないだろう?
だって論理的判断力があるから、花サンを利用もするし+自分に拒絶されていることも理解できるし+職場でもトリアエズ当たり障りなくできる。
それにドッチか言うとモテる方だし趣味もちゃんとある、友達と呑むことも好きでヒキコモリ自閉系なところは無い。

精神疾患じゃない、それだけまだ救いがあるよな?

なんて考えながら歯医者と呑んで、
そんな日曜夜も御曹司クンから連絡はなかった。

聞いて!!11ブログトーナメント

相変わらず眠いので短めですけどUPしました、
小説・写真ほか面白かったらバナーorコメントお願いします、続き書こうって励みになるので、笑

取り急ぎ、



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