萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:嵐の前に

2016-08-21 22:06:06 | 写真:山岳点景
And cometh from afar



山岳点景:嵐の前に

今日の帰り道、とある街角から。
台風の前兆らしい雲と光彩の空。


撮影地:夕空@神奈川県

被害なるべく出ませんように。
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山岳点景:夏山果実

2016-08-20 22:17:30 | 写真:山岳点景
雨後の丹沢で、



山岳点景:夏山果実

八月下旬の丹沢、ヤマボウシの実が熟し始めました。



山法師ヤマボウシ、春は白い4弁の花が咲く山野の木です。
9月~10月に完熟するイチゴ型の赤い実はおいしいことで知られています。



上品な甘みの果実は山野の住人にとって大切な食糧、スズメバチは潜りこむほど好むとか、笑
道端に落ちていた割れた実はこんなカンジ↓あざやかな黄色がきれいです。



まだ完熟前の今時季、黄色から紅色へのグラデーションは天然フルカラー。



尾根の空は深く澄んだ青、ヤマボウシ熟す秋は近いです。


撮影地:丹沢@神奈川県

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山岳点景:夏の森、葉月

2016-08-19 14:02:03 | 写真:山岳点景
炎天の緑陰で、


山岳点景:夏の森、葉月

雨あがりの朝、近場の森を歩いてきました。



午前8時すぎ、まだ露のこる野紺菊ノコンギク。



ちいさな湿地では禊萩ミソハギが風ゆれます。



雫きらめく花は涼やかです。



露草も名前どおり露たたえて光ります。



白い小花は沼虎の尾ヌマトラノオ、深緑に清楚です。



栗もイガをつけ始めました、コレ見ると秋が近いなって思います。



吾木紅ワレモコウも秋を告げる花です。



ちいさな薄紅の花は夕化粧ユウゲショウ、春から秋に咲く南米原産の多年草。
外来種ですが森の水辺になじみます。



森の奥、藪蘭ヤブランの薄紫が木洩陽にまぶしいです。



八月も下旬、残暑の森は深緑にも秋の気配。


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撮影地:森@神奈川県

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山岳点景:風露草の夏

2016-08-18 22:10:26 | 写真:山岳点景
夏山の一輪、



山岳点景:風露草の夏

今夏、いろんなフウロソウを見ました。



風露草フウロソウ、葉や茎の綿毛に露をつけて風ゆれる姿につけた名だとも。
高山の草原や湿地に咲く花で、これを見ると夏だなあ思います。



関東甲信の山で多く見られるのは白山風露ハクサンフウロです。



白山風露の名前は、最初に見つかったのが岐阜と石川県にまたがる白山だから。
葉が掌状に五深裂×裂片が中裂+あわい紅紫の花は直径2.5~3センチの小さな花です。



下は郡内風露グンナイフウロ、山梨県郡内地方で発見されたコトからついた名前です。
ジャガイモの花っぽいあたりフウロソウ科のなかでも個性的だなと。



花弁の先が切れこむ伊吹風露イブキフウロ、滋賀と岐阜にまたがる伊吹山が有名な自生地です。
分布地は群馬・長野・岐阜・滋賀、なんですけど、山梨県でも咲いていました。



真夏の風露草に晩夏と秋の吾木紅ワレモコウ、八月の山は夏秋ふたつの季節が咲きます。


撮影地:フウロソウ@山梨県

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山岳点景:高山の女王

2016-08-17 17:45:18 | 写真:山岳点景
高嶺の花と、



山岳点景:高山の女王

初めて駒草コマクサを見ました、高山植物の女王と言われる夏の花です。
満開は過ぎていましたが今夏最後の花が見られました、笑



なぜ「高山植物の女王」なのか?っていうと、他の植物が生えない環境=砂礫地の高山帯に咲くからです。
そんな生育条件のまま花言葉も「高嶺の花・気高い心」なんだとか。


撮影地:コマクサ@某所

コマクサはレッドリスト指定も受けており採集はNG、アルカロイド系の毒草でもあります。
民間療法では薬草として昔は使われましたが実際の成分は危険です。
もし見ても触れないでくださいね?

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山岳点景:大菩薩峠の夏

2016-08-16 23:15:05 | 写真:山岳点景
水ゆく山嶺



山岳点景:大菩薩峠の夏

大菩薩峠を歩いてきました、ここは巨樹ゆたかな森が好きです。



標高1,840メートル上日川峠の登山口、広葉樹×針葉樹おりなす森を入っていきます。



椈ブナ、水楢ミズナラ、白樺シラカンバ、岳樺ダケカンバ、カエデあれこれ、落葉松カラマツ、



植生さまざまな森はいろんな巨樹に出逢えます。



星霜つもる老樹の傍ら、芽生えも。



夏山の朝は青に深緑のコントラスト・夏休みっぽくてイイなあと、笑



休業中の富士見山荘を過ぎて、下って、ちいさな沢に着きます。



冷たい清水は涼やかです、



静かな渓流に寛いで、この先から登り坂ちょっとキツクなります。



秋に紅葉あざやかな道、夏は深緑まぶしい木洩陽の道。



昨日の雨が苔から染み出ます。



茸もあちこち、



なんて見ているうち左に笹藪の尾根、大菩薩峠が近いです。



標高1,879メートル大菩薩峠、着いたら雲が巻きだしました。



夏山は朝スタートが常識、午後は天気が崩れるからです。
今日も10時には峠に着いたんですけど、台風の影響で風が強い=雲が速く動きます。



峠→親不知ノ頭へはザレ場の尾根道、
かたわら、南西の斜面には紅輪花コウリンカが咲いていました。



夏の大菩薩峠→親不知ノ頭はコウリンカの花園です。



花園をゆく道は礫と岩のザレ場、浮石が多いので足もと注意。
ここで濃霧に巻かれると視界不良×石が濡れ転倒しやすく、行動不能の危険もあります。



親不知ノ頭はケルンがあります。



親不知ノ頭は360度パノラマ、
南アルプスから雲取山@奥多摩も見えるんですけど・今日は雲が多め。



大菩薩嶺も雲に覆われていきます。



大菩薩嶺経由で下山したかったけど、雲の動きが速い・濃霧+雨の気配で峠に引き返しました。
その帰路、岩場でこんな↓花を見たんですけど名前まだ調べていません、笑



二度めの朝ごはん@大菩薩峠が終わる頃、雨が降りだしました。
峠なら山小屋・介山荘があり森も近いので雷雨も避けられます、今日も天気の様子見に留まっている人が多くいました。



雨ふる森は静かです。



莢蒾ガマズミらしき赤い実を見ました、この実が熟すと秋です。


撮影地:大菩薩峠@山梨県

大菩薩峠・大菩薩嶺の山頂付近は森林がなく360度パノラマ=濃霧・突風・雷撃の危険があります。
霧=雲に巻かれると岩場は水気を帯び、視界不良=足もとが見え難いためスリップの危険が増します。
ので、霧が出ると誰もが介山荘で待機するほどです。

○ヘッドライト+レインスーツ必携・濃霧への備えです、もちろん熊鈴も必携。
○登山靴など足もときちんとで・岩や礫のポイントは浮石での転倒に注意。
※夏場は午後から天気が崩れやすく雷雨も多いです、朝に登りだし昼前に下山が安全です。

初心者コース・ハイキングレベルと紹介するブログが多いためかTシャツ・短パン・タウンシューズといった方をよく見ます、
たしかに難易度は低いですが山は山、ザレ場も多い+天候変化の影響を受けやすいルート=装備+観天望気の技術がないと危ないです。
今日もコンビニへ行く恰好+ペットボトル500ml1本だけって人を見ましたが・かなりバテていました、装備不足は疲労→遭難の元になります。

適確な装備&観天望気+早めの行動・決断が安全な山行を楽しめます。

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山岳点景:雲上花園

2016-08-15 22:55:30 | 写真:山岳点景
雲のはざまで、



山岳点景:雲上花園

今朝、甘利山を歩いてきました。
レンゲツヅジで有名な山ですが、真夏は山野草の花あふれます。



黄色の大輪はマルバダケブキ、真夏の山地でよく見るんですけど蜜蜂がいつも一緒です、笑
下の中輪は梅鉢草ウメバチソウ、白い花すっくり可憐で惹かれます。



野紺菊ノコンギクの薄紫色は秋の気配、



白花苦菜シロバナニガナ、小さな花は奥ゆかしいです。



葡萄茶色の花は棕櫚草シュロソウ、今日がお初でした、笑



雲の往来する登山道、撮影も色あわく優しくなります。



白山風露ハクサンフウロをよく見ました、花は個体ごといろんな特徴あるんですけど次の機会に、笑



山母子ヤマハハコも多く咲いています、群落をあちこちでみました。



釣鐘草ツリガネソウも可愛い薄紫よく咲いています。



登頂&二度目の朝ごはん終えたころ、雲が多くなったので縦走せず下山しました。
でも花写真まだあります、が、眠くなったのでまたの機会に、笑


撮影地:甘利山@山梨県

甘利山は落雷が多く、山頂付近は360度パノラマなため直撃の危険があります。
遮るものがない=雨、風、霧の影響も受けやすく天候悪化したら迷わず下山して無難です。
今日も下山後すぐ雨が降りだしました、また濃霧だと山頂も分岐点も道標を見落としやすい=道迷いしやすいので要注意。
適確な観天望気+早め行動&決断が安全な山行を楽しめます、野生獣も多く棲むので熊鈴も必携です。

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山岳点景:富士の夏花

2016-08-14 23:51:27 | 写真:山岳点景
七月の標高1,800メートル、



山岳点景:富士の夏花

ひさしぶりに富士山中腹で遊んできました。
上は巴塩竃トモエシオガマ、本州中部以北の高原から高山帯の草地に生えます。



今日の富士山は曇ぎみ、
山頂を目指した方は霧にまかれ大変だったんじゃないかと。



霧あわい空気のなか、秋の麒麟草アキノキリンソウの黄色あざやかです。
その傍ら、四葉鵯ヨツバヒヨドリのあわい紫が群れなしていました。



富士山の夏というと岩ごろごろ赤茶けた肌の印象があると思いますが、
森林限界より下部、富士の森は夏花ゆたかに咲きほこります。
そんな夏富士の代表花といえば富士薊フジアザミ。



これ↑は蕾です、笑
今日はまだ咲いていなかったので参考までに↓去年の花を。



富士薊、学名 Cirsium purpuratum
関東・中部地方の砂礫帯が植生地ですが、富士山でよく見るためコンナ名前がついたんだとか。
高さ50センチから1メートルになるんですけど・花も大きくて径5センチほどの饅頭みたいな大きさ、カナリ大きいです。



蛍袋ホタルブクロの群落も見ました、
麓の花よりも色濃く紅紫色あざやかです。


撮影地:富士山@山梨県

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第85話 暮春 act.7-side story「陽はまた昇る」

2016-08-13 22:58:23 | 陽はまた昇るside story
This beauteous form assures a piteous mind. 現れるもの、
英二24歳3月下旬



第85話 暮春 act.7-side story「陽はまた昇る」

ホバリングの風の峰、青い背中まぶしい。

「身分証明書がウェアの…住所はしなが…」

雪のかけら爆風に舞う、声も飛ばされよく聞えない。
ヘリコプターの轟音、途切れる会話、ホイストの遺体が空へ昇る。

「すでに死亡して…ので奥多摩へリポートに降ろし…、」

航空隊員の声が飛ぶ、それでも意味は解る。
なんとか聞き取り英二は肯いた。

「助かります、よろしくお願いします、」

顔近づけ告げて航空隊員がうなずいてくれる。
プロペラ轟く尾根ふきあげられた雪が舞う、渦巻く風に隊員もホイスト上がる。
上空ゆるやかに雪雲おおいだす、それでもまだ青い南へ赤い機体が動きだした。

「無事に、」

祈りと見送る機体すぐ遠くなる。
ホバリングの風、音、上昇してゆく赤いヘリコプター。
送りだす銀色の稜線に青い隊服姿が立つ、その背中がほら、あの写真と同じだ。

「…変わらないな光一、」

独りごと見つめる真中、あの背中が雪の尾根に立つ。
ヘルメット青い横顔は南を仰いで、その静かな眼ざしは哀悼にも勁い。

―この背中で俺は決めたんだ、山岳救助隊に、

ひろやかな背中まっすぐ空を仰ぐ冬隊服の青。
この背中に憧れて自分はここまで来た、けれど今日この背中は隊服を脱ぐ。

「なんか言ったかね、宮田?」

背中くるり振り向いてくれる。
青いヘルメットの影から瞳は明るい、そんな上司に笑いかけた。

「国村さんは変わらないなって思ったんです、」
「ふうん?ワリと変わったと思うけどね、」

からり明るい瞳が応えてくれる。
強靭な聡明まっすぐ笑って朗らかなテノールが言った。

「さて、遭難者の荷物を回収するよ?暗くなる前に下山だね、」

雪ざぐり踏みしめ踵を返す。
青い隊服の脚が膝まで呑まれる、それでも止まらない横顔に微笑んだ。

「合同訓練、中止になってしまいましたね、」

最後の訓練だった、この背中には。
けれど朗らかなトーン笑ってくれた。

「だね、でも後藤さんと一緒に仕事できて良かったよ?最後のご奉公ってヤツになったね、」

最後、本当にそうなんだ?

「ほんとに辞めるんですね、国村小隊長?」

役職と敬語に息が白い。
吹き上げる風に冷たい三月の尾根、深いテノールが笑った。

「ホントに辞めるよ。宮田にも一年半、ホント世話になったね?」

想い残すことなんか無い。
そんな笑顔にベテラン山ヤも笑った。

「一年半か、ホントおまえたちはお互い世話しあってたなあ?」
「だね、後藤さんには6年ズイブン世話になりました、」

雪白の横顔が頭下げる、その瞳が底抜けに明るい。

―ほんとうに未練ないんだな、光一は?

上司でザイルパートナーだった。
いつも顔合わせる毎日があたりまえ、けれど明日からもういない。
この今がもう最後の時だ、そんな現実そっと咬まれるまま無線機が受信した。

「こちら五日市署の佐伯、日陰名栗峰のコルにいます、」

え?

「佐伯さん?」

意外で問い返す、なぜ今もういる?
予想外のスピードに低い声が応えた。

「佐伯です、宮田さんですね?サポートに来ました、今のヘリはご遺体の回収ですか?」

問いかける声は低く落ちついている。
呼吸の雑音も聞えない、ただ息そっと呑み微笑んだ。

「そうです、これから荷物の回収をします、」
「わかりました、防火帯の北斜面まで探しながら行きます、」

無線ごし冷静なトーン低く響く。
かちり切れて、風ふきあげる森に呼ばれた。

「宮田、佐伯って野陣尾根ルートだったよね?」

朗らかなテノール笑っている。
くゆらす白い吐息ごし英二も微笑んだ。

「はい、」
「もうコッチ着くなんて速いね、おまえには刺激的でイイんじゃない?」

銀色の尾根、テノール謳うよう笑う。
その眼ざし底抜けに明るく愉しげで、つい言った。

「国村さん、なんか俺にけしかけてますか?」

面白がっているんだろ?
そんな雪白の貌はからり応えた。

「パートナー組むんなら刺激的な方がイイだろ、今から組んで回収よろしくね?」

今から?

「別の所属なのに組むんですか?」

むこうは五日市署、こちらは第七機動隊。
合同訓練とはいえ別所属だ?そんな口答えに上司は笑った。

「所轄でも機動隊でも同じ警視庁山岳救助隊だね、あと数時間でパートナーやるんだしさ?俺は後藤さんとやるよ、」

さらり笑って雪白の横顔くるり踵返す。
ざぐざぐ雪かきわけ行ってしまう、その背中に微笑んだ。

「…遠いな?」

遠い、遠くて大きいあの背中。
青い冬隊服しなやかな細身、そのくせ広やかな頑健の背。
あの背中ずっと追いかけ山を駆けてきた、そんな時間を見送るまま足音が来る。

ほら、もう呼ばれる距離。

「第2小隊の宮田さんですね?」

呼ばれた、新しい時間の隣に。


(to be continued)

【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」】

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雑談閑話:あくびの幸福

2016-08-13 21:37:08 | 雑談
予定がキャンセルになった今日、まっ白もふもふ猫とノンビリ自宅の日。
夏バテ気味かナントナク眠たいまんまボンヤリ→今こんな時間に至り、
そんな傍らの椅子、悪戯坊主のあくびはササヤカで珠玉の幸福感、笑


シャーではなく↑あくびの瞬間です、笑

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