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Pretenderの備忘録

三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実

2020-03-25 14:34:10 | 映画
監督:豊島圭介
出演:三島由紀夫 芥正彦 木村修 橋爪大三郎 篠原裕 宮澤章友 原昭弘 椎根和 清水寛 小川邦雄 平野啓一郎 内田樹 小熊英二 瀬戸内寂聴
ナビゲーター:東出昌大

全共闘世代なのかなという人から若者まで老若男女で満席。

非常に面白かった。
まず、三島のユーモア、明るさに驚いた。自分を大きく見せたいのかもしれないし、あるいは学生と連帯したいような気持もあったのだろう。話の節々にでる知性、知性に裏打ちされているから反知性主義を標榜できる自信。寂聴よりも年下なんだよなあ。もう少し生きていたらどうだったろう?石原慎太郎なんか、かき消されたんじゃないか。全共闘を全学連というのは、あれは故意かなw。

美しい文学を書く三島、直接接点があった人から聞く俗物としての三島、そして若者にマウントを取りながらも期待もしている三島、盾の会等の映画で描かれた三島、何が本当なんだろう、全て本当なんだろう。

全共闘学生のその後は、面白かった。人生は勝ち負けではないという感覚はわかるのだが、勝ち負けだと思いながら、負けていないと言っているように聞こえた。ある意味、彼らが批判した権力のような無謬性を自分たちに課しているように。でないとすべてが崩壊してしまうということだろうか。三島の文学には滅びの美学がある。美しい敗者というのがこの国には、例えば敗者の精神史等に見出すことができるが、全共闘の人たちにはそうした潔さを感じなかった。

その他、寂聴他、インタビューに出てくる知識人。面白かった。橋爪大三郎がちょっと霞んで見えた。内田、平野、小熊は、思想的に三島とは相容れないとは思うのだが、好きに近い敬意を感じた。

語り、タイミング悪かったが、不倫騒ぎがなくても、ちょっと違ったよな。彼の豊穣の海は観たが、想定内の下手さだった。足は長く、顔は小さかったが。声が良いとも思わないし、声に深みや知性を感じないのだ。三島の映画を演じた、井浦とかの陰りのある語りが良かったのではないか。

今年は没後50年である。
コメント
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