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Pretenderの備忘録

余韻

2021-06-06 17:05:25 | 音楽 Opera
開館60年の記念事業で日本初演だが、新作委嘱でも世界初演でもない。
日本に造詣の深い作曲家が、能をテーマに書いたオペラ。100年前の能の翻訳がベースになっている。音楽は、シンプルな管弦楽にカンテレを加え、現代音楽ではあるが、いわゆる不快な音はない。バックグラウンドミュージックのような心地よさ。
演出は、暗い舞台で照明を使い、襖のようなスクリーンに影や映像の映す。歌手の衣装はモノトーン。森山が踊るが、歌手もダンスに近い動きもあり、結構な負担だったのではないか。オペラ歌手に求められるものも時代とともに変わってきたとつくづく思う。
経政の暗さと羽衣の明るさの対比ということだが、羽衣でも舞台は暗く照明が照らすのも特別明るいとも思えない。音楽はやや軽くなった印象。
能と現代音楽は、細川の松風にしても、親和性が高いのかなと思う。無駄を排して、鑑賞者の想像力に委ねる部分が非常に大きいということか。今回は、森山の参加も含め、「芸術性」は非常に高いものになっていると思う。それは同時に、オペラの敷居を高くしてしまっているかもしれない。オペラの楽しさや感情移入をする物語性とは違ったところを目指していることになろうか。
満席に近かったが、観客は普段のオペラファンとは違った感じがした。もちろん、能の観客ではない。
コロナ禍だったが、作曲家も来日していた。


東京文化会館

演目 カイヤ・サーリアホ:オペラ『Only the Sound Remains -余韻-』全2部
第1部: Always Strong
第2部: Feather Mantle

原作 第1部 能「経正」 第2部 能「羽衣」
台本 エズラ・パウンド、アーネスト・フェノロサ
作曲 カイヤ・サーリアホ
指揮 クレマン・マオ・タカス
演出・美術・衣裳・映像 アレクシ・バリエール
振付 森山開次
美術・照明・衣裳 エティエンヌ・エクスブライア
音響 クリストフ・レブレトン
舞台監督 山田ゆか

出演
第1部: Always Strong
経正:ミハウ・スワヴェツキ(カウンターテナー)
行慶:ブライアン・マリー(バス・バリトン)
ダンス:森山開次

第2部: Feather Mantle
天女:ミハウ・スワヴェツキ(カウンターテナー)
白龍:ブライアン・マリー(バス・バリトン)
ダンス:森山開次

管弦楽
東京文化会館チェンバーオーケストラ
ヴァイオリン:成田達輝 瀧村依里
ヴィオラ:原裕子 
チェロ:笹沼樹 
カンテレ:エイヤ・カンカーンランタ
フルート:カミラ・ホイテンガ
打楽器:神戸光徳
コーラス 新国立劇場合唱団
 ソプラノ:渡邊仁美
 アルト:北村典子
 テノール:長谷川公
 バス:山本竜介


コメント
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