できあがりました。
「ごめんね、れんごくさんのとはちょっとちがうんよ。」
「どこが?」
「ほら、れんごくさんのマントは、黄色がぼかしになってるだろ?」
「ぼかしって何?」
おお、そこから説明か。
「れんごくさんのマントは、黄色がだんだん薄くなって白になってるだろ?」
「ああ、グラデーションのことか。」
「ボクが作ったときはエアブラシだったからうまくできたけどね。」
! 自分の歳を感じる瞬間。
そう、トラオは、運動会で自作のはっぴを着てダンスを踊ったのです。みんなが自分の好きなキャラクターを選んで自分で模様を描いたんだそうです。まだ映画も発表されてなくて、テレビのアニメも放送されてなくて漫画しか読んでないその頃から、トラオはぶれずにれんごくさんファン。あ、漫画じゃなくてコミックだね。
またまた自分の歳を感じる・・・
孫との会話は、ときおり今時の言葉と昔の言葉とが入り交じっておかしいです。
タイミング好くというかなんと言うか、キーホルダーが壊れたので直して欲しいと言われまして、同時にキーホルダーを新たに作り直しました。
これはグリーンと黒の革を交互に編み込んでいます。
で、ふと思ったのです。そうか、こんなふうに貼ったり編み込んだりするのではなく染めたらグラデーションは簡単なのね。そうしたら、難しいなと思ったぜんいつさんの模様も超簡単にできます。
雨続きで特にネタもないので、完全にネタ作りのために簡単にろうけつ染めをしてみました。多分これくらいシンプルな方がろうけつ染めを理解して頂けるかと思います。
ろうで描く筆。模様の大きさによって使い分けます。
今回使ったのは面相筆
これは初めて使うときは温度の低い蝋に浸して、徐々に高い温度に慣らしていきます。いきなり熱い蝋に筆を突っ込むとちりちりにちじかってしまいますから。
先ずうろこ模様をかきます。本来は下書きするのですが、単なる三角形を適当に散らすだけなので、ここはフリーハンド。あ、写真はありません。蝋が目立たないので。
その上に黄色を刷毛でひとぬり。 すると、蝋で描いたところは白い色のままです。
均一に染めるには革をしっかり濡らしておきます。乾いた革だと、染料はすぐに染みこんでまだらになってしまいます。
さらに何回か黄色を重ねて塗ります。上の方は塗らずに自然に薄くなるように、下の方ほど回数を多くします。これをぼかすと言うのですが、きれいにぼかすにはちょっとテクニックがいりますね。経験を積んだ今でも緊張します。
黄色の上に山吹色を、さらに橙色を、下の方が濃くなるようにぼかしていって、さいごに蝋をはがします。
できました。ふだん、何十時間もかけて染めている自分としてはあまりにも簡単。
ほら、白い鱗にオレンジから黄色へと変化するぜんいつさんの羽織模様ができました。黄色って気持ちが明るくなる色ですね。
ついでに小さな革にも染めて、もういちど炎模様を貼り付けると
れんごくさんのマントに近づきました。
これもいっそ全部染めた方が簡単だったなあ。だけどろうけつ染めの財布というのはあまり気乗りしなくてー
というのは頻繁に手で触る財布は、どうしても色あせや汚れが激しいので、初めから色がついて多少の防水機能もある既製の色革がいいかなと思うのです。
けれどほかに作るものもないので、うろこ模様もコインケースの形に切ってはみましたが
しまった、作りたいものの大きさに比べて模様がまばらすぎます。黄色はすぐに汚れそうだし。小さい物を作るときは模様を細かく密にしなければ。
う~ん、どうするかなあ。このまま仕立てるか、一部を切り取って別の色革に貼り付けるか、色は変わるけど模様を増やすか。