・9:40 城西国際大学のキャンパスにいる。
・駅を降りた新入生たちが初々しく正門を目指してきた。保護者の方は、多くは私より年下であろう。わらっちまいますなぁ。こんな老年が、新入生なんだから。まさかの出来事であります。
・正門の警備の方にてっきり呼び止められると思って、入学許可証を鞄の中から出して準備した。なんという警戒心であろうか。これだからここまで生き延びてきたのだ。世の中は、くわばら・くわばらで生きていくにかぎる。病気もそうだ。くわばら・くわばらで接することだ。ガンなんかに目をつけられないように、ね。酒も飲み過ぎないことだ。飲むと酔っぱらうじゃぁないか。少なくとも晩酌なんてもんはやらないにこしたことはない。
・それに、もう初々しい学部生ではないからと思って、着なれたスーツではこなかったのだが、後悔した。これから3年間お世話になる大学院のM教授が黒の礼服であったのだ。参った。
・もっとも、あたしゃ学生(院生)だった。ジャケットにネクタイで来たのだが、これも良しとしよう。還暦がリクルートスーツではいかがなものかと思うからである。値段もリクルートスーツよりは、若干じじぃの着ているものの方が高い(なんちゃって、何の自慢にもなりまへんな)。
・それにあたしゃ、就職するためにこの大学院に来たのではない。今更、なんかになってやろうという気はないんですよ。だって、もう年齢制限です。オトシ。
・じたばたしてたら、ミットもない。そんなのは、教員時代で十分。もう関係ないけど。
・10:20 図書館の脇の部屋にいる。さすが国際を大学名にうたっているだけに、世界各国の時刻が部屋の中に表示されている。実に好ましい。好ましいついでに、筆記用具である「ポメラちゃん」の時刻が違っているのに気がついて訂正した。
・さらに、さっき大学院事務室にも行ってきた。受験を決意してからJさんという大学の行政マンとでも言うのだろうか、いろいろお世話になったんで、その方にご挨拶をと思ったのだ。
・入学式である。当然おられなかった。ま、明日から毎日わが城西国際大学大学院に通学するのである。焦ることはない。
・図書館ものぞいてみた。入学を決めたのは、この図書館の存在も大きい。何でもある。さらに、比較文化をやるには最高の環境でもある。ICT環境もすばらしいのだ。それは九十九里高校、松尾高校の教頭時代から知っていたのだ。
・定期券を買うので、明日から毎日図書館で読書、読書、読書である。昼食も、学食である。楽しみである。こんな老後が待っていたとは、お釈迦様でも知らなかっただろうなぁ。
・老年の同輩諸君。おすすめです。こういう年のとりかたも。
・なんも焦る必要もないし、なにかになってやろうとか、あいつは出世したとか、ダメだったとか・・・そんなのまったくナインでっせ。
・私だって、ダメだったら中退するだけです。能力が一番心配ですけど。なんてったって、忘れっぽいから。これが恐怖でありますよ。
・でも、これまでどこの学校でも中退してこなかったなぁ。学部時代が一番危なかったけど。なにしろ新聞配達して卒業したんだから、奇跡でしたよ。学部の先生方に感謝しています。マジに感謝しています。
・せっかく学費を支払っているんですから、大学院のすべてを吸収していくつもりです。
・それを駄文という形で表せればこんな幸福なことはない。おしゃべりでもいい。居酒屋でもいい。つまらん話をしていきたい。後の世代に伝えていきたい。
・経済効率を教育に求めてこなかったからでしょうなぁ。現代教育についての論調は、実にふざけた論理の展開が多すぎる。なぜ、教育が経済の基盤の上で語られなくてはいかんのか。未だにわからんのだ。ほら、私は劣等生ですから。わからんことはわからんのです。(^0^)/
・武術において経済効率を求めるバカがいないのは、このことをわかっているからですぜ。
・柔道の試合で負けたら、師範が悪いのか?
・そんなの自分がだらしないからである。師範は、おのれにサービスをしなかったからか?・・バカをいわんでほしい。
・受け身の学習で、教えていだたくことだけで、満足しておってはいかんのである。
・武道と、学問をこれまで60年間やってきて良かったとほんとうに思う。身体知の問題を追求してきたからである。
・地域の教育力の差もあったのだろうと思う。米沢という土地の持つ魅力でもある。
・銚子で定年を迎えた。このことも大きい。銚子には千葉科学大学がある。私の居住地にはない。教師生活の最後を文化的香りの中で過ごさせていただいたこと、千葉科学大学は理系の大学なので門外漢の私にはついていけなかったけれども、雰囲気だけは味わわせていただいた。しかも、あの3・11の大震災である。千葉県東部地区も被害に遭ったのだ。危機管理学部にこれから私の最後の学校はお世話になる。防災の学びという分野である。
・11:00~13:00 入学式である。
・挨拶される方々の前提が若者になっている。こいつは当たり前である。18歳で入学してくるからだ。オイラのような年齢を想定していないからだ。当たり前だが苦笑した。ずいぶんな変わりモンであるからである。しょうがないか。
・これから社会へ出るための心構えとか、基礎基本とか、社会に役立つようにとかの御教えが多かった。これには浮いた。実に浮いていた。あたしゃ今から社会に出て、競争社会を生きていくワケにはいかんじゃないか。引退したんであるから。
・ただし、理事長の水田宗子先生の「学問によって人格を磨く」というお話には胸がときめいた。さすがである。いいことを教えていただいた。以前からあこがれていた学者である。
・ほんとうにそうである。この道ばかりは年齢制限がない。人格形成のためなら、学問はいつまでも続けられるのである。たとえ、能力無くして退学を余儀なくされても、生涯学習は永遠につづけられるのだ。
・本当に、85歳まで学生でありつづける気持ちに変わりはない。どこまでも生涯学習である。大学名は次々と変わっていくであろう。いいんである。通学生でも、通信教育でもなんでもチャレンジするのである。なんでもやってやろうと思っている。好奇心の塊であるから。
・14:00~16:00 オリエンテーションを受けていた。いろいろなご指導を受けていた。武蔵野大学大学院で厳しくご指導を受けていたから、だいたいのことは理解できた。ただし、修士の方が多いので、それはそれ。博士は少ない。びびるなぁ。ついていけるかな。明日から英文の長文読解を開始しないといかん。Z会も高校時代にやっていたが、あそこに大学院の英文読解コースがあったのを思い出した。申し込むつもりだ。でないと、資格試験に合格しない。博士は、特に人文科学系は合格できないのが常識だからだ。
・院生室も見せていただいた。たくさんあった。大都会の大学にはない魅力だ。3人の大学院の修士の方々が案内してくださった。3人とも女性である。歩きながら、専門が一緒であるから日本文学や古典について会話しながら、案内していただいた。死生学と能楽というのが私の専門になる。これからもいろいろな議論を深めていきたい。冷暖房完備。インターネットも完備。ロッカーもある。別室に冷蔵庫もあった。食事は別の部屋で摂るケド。いたれりつくせりである。こんな優れた環境で研究生活を送ることができるのだ。
・私は声を大にして言いたい。定年後くすぶっているんだったら、我が城西国際大学のような環境で研究生活をおくるのもいいもんですぜ。年をとるのをわすれっちまうです。
・今日は、大風で成東駅まできたら、銚子行きの電車が運転中止。参ったね。実に参った。長男にSUVで迎えにきてもらった。車中、長男の出た大学とはまったく様子が違うので、いろいろ紹介をしてやったら、かなり興味を持っていた。それもそれ、これもこれ。
・いい一日でした。