あのまま、居住地の巨大病院で死んでいたら、この雄大なロッキーの山々は見ることができなかった。生きてて良かったとしみじみ思った。
カルガリー空港にて
成田発16:00であった。飛び立ったのが。エアカナダという飛行機であった。事前に評判を調べたら、あまり良く無い。日本人CAが少ないというので、サービスが?と書かれていた。それに食事も同様だと書かれていた。そりゃそうだろう。ANAとかJALと比べられたら、かわいそうというものである。
そんなことより、座席が広くないと困る。なにしろこっちは病み上がりだ。エコノミークラス症候群で入院したのだから。なにも飛行機の乗りすぎではない。そんなに旅行した記憶はない。茅屋の書庫で閉じこもりっきりで、ゴミ論文を一気呵成に書きすぎたという笑えない冗談からエコノミークラス症候群になっちまったバカ爺である。まったく笑えない。笑えないどころか、未だに古女房ドノに叱責される。論文書きすぎて、病気になるバカがどこにいるという論調である。
確かにそうだ。
年齢を考えよということだ。うら若き俊秀と勝負しようとしたのが、そもそもの間違いの発端であった。それに、社会人学生というか、老人学生に学位を発行してくれるほど大学も甘くはねぇというもんじゃ。当たり前である。これから大いに飛翔しようという方と、これからくたばる爺では比較にならない。もったいないではないか。学位の発行に定数があるのなら、爺はまっさきに除外されるのは目に見えていた。
そこらへんがわかっていなかったんだよん。
だからエアカナダという飛行機会社を比較して、ここに文句は書かない。そんなもんだと思えばいいのだ。そんなもん。大学と一緒である。大学なんてそれこそ掃いて捨てるほどある。それに東大なら質も保障されるってぇいうことくらい、いかなアホでもわかっている。それくらいの学力がなければ、博士を目指してはならんというこった。
しかし、ビジネスクラスの座席は快適であった。それこそ東大並みの評価の高さであった。何故か。座席がビジネスクラス全員、斜めになっているからである。これは他の航空会社のビジネスクラスとは違っていた。そんなに何度も乗ったことはないが、エコノミークラスに乗るために、通りかかったことはあったからだ。
斜めだから快適なのである。プライバシーが完全に近いほど守られている。読書灯も他人を意識しないで済む。
それにビジネスクラス専用のトイレもあった。人数に比較して数もあたりめぇに多かったから、まぁこんなもんだろうと満足した。ただし、清掃は行き届いていない。コレはANAとかJALにはかなわない。やはり日本人スタッフというのは、違う。気配りが。マレーシア航空とか中華航空、大韓航空も良かったが、あれはあれで機内食が良く無かった。
エアカナダは、機内食も事前の評価では良く無かった。カップラーメンが出てくるとインターネットでさんざんに書かれていた。覚悟していた。そしたら、カップラーメンは出てこなかった。個人的に食いたいヒトだけのオーダーでしかなかった。
結論は、並みである。そんなにおいしくもないが、まずくもない。さらにアルコールがおいしそうだった。でも、こっちは呑めない。呑んだら死んじまう。
だから、がまんした。わはははっははっはははである。
やればやれるもんだ。美味そうだったが。よだれが出そうだったよん。
行くときは、9時間45分かかった。機内食2回である。相当な時間がかかった。まさにビジネスクラスでないと、途中でエコノミークラス症候群を再発した可能性がある。だから機内で運動ばかりしていた。足を揉んだり、つま先立ちの運動、スクワット等々である。それができるだけのスペースがあるからだ。変わりもんだと言われてもいい。そんなことより、命あってのモノダネである。もっとも、飛行機が落っこちたらどうしようもないが。
途中、日付変更線を超えた。だから一日前に逆戻りである。不思議な感じである。タイムマシンに乗ったのだろうから。
夕方、成田を出発したのに、アメリカ大陸に近づいたら明るいのだから。
カルガリー空港に到着したのは、10:45である。高度を段々と下げていったときに、座席の窓から見えたのが、カナダである。
さらに感動したのが、機内から見えたロッキーの山並みである。おおおおおお、これが憧れのロッキーかと思った。とうとう来ることができたのである。
あのまま、居住地の巨大病院で死んでいたら、この雄大なロッキーの山々は見ることができなかった。生きてて良かったとしみじみ思った。死んでしまったら、こんな風景は見る事もできない。学位を諦めて退学して良かったとも思った。生きていてこそである。生きているから旅行もできる。学位にこだわって、ゴミ論文を書いていたら、古女房ドノに離婚されちまっただろうし、こんな風に旅行もできなかっただろう。だいいち、そんな暇は無かっただろう。ゴミを生産するためだけの時間の無駄使いであったのだから。
カルガリー空港は綺麗な空港であった。まるで、村上春樹の真っ赤な嘘話に出てきそうな場面設定である。
そして、これからがロッキー観光のメインである「バンフ」の旅が始まるのである。マリリンモンローも来た土地である。
楽しみ、楽しみである。
けふは、これから千駄ヶ谷の国立能楽堂に行ってくる。
能の「俊寛」を見る爲である。
興福寺の勧進能である。
多川俊映貫首さまもこられるようだ。
こっちも楽しみである。
それではこのあたりで。
(^_^)ノ””””。