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正式には、京都大学防災研究所阿武山観測所。
高槻市の北方、大阪平野から隆起した北摂山地の南端、標高218mの美人山の山頂付近にあり、1930(昭和5)年から地震、地殻変動や地下水の観測・研究をしています。
元は左京区北白川の京大理学部地球物理学教室の実験室でしたが、今出川通りに市電が走ったため、精密観測に支障をきたすようになり、ここに移転してきたもので、1990(平成2)年からは防災研究所所属の観測所となっています。
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建物は,斜面に立っていることを生かして、2階建ての西館と3階建ての本館・東館が上下、左右にずらして建てられており、2棟の間にこの玄関ピロティ部分が挟まれてあり、どちらにも通じる形になっています。
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玄関ピロティを突き抜けると、奥には緑の山の斜面があります。
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3階建ての本館部分。本館には研究室や観測室があります。
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2階建ての西館部分は柔らかい曲線の外壁で囲まれています。
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本館への玄関。
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西館のセミナー室。かつてはテレメータ室として使われていました。
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西館の事務室。
窓の曲線がおもしろい。
この建物は2007年に大阪府の近代化遺産総合調査報告書に注目すべき近代化遺産として取り上げられたモダニズム建築です。
レトロな建物として、テレビや映画の撮影にも度々使われるようになったそうで、「砂の器」の大学研究室とか、戦争中に犬を供出するテレビドラマに玄関前が使われたとか・・・。
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撮影記念コーナー。
右側の椅子は、「プリンセス・トヨトミ」撮影の時に綾瀬はるか様が座って休憩されたものだそうです。
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本館2階の廊下。
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本館屋上に立つ塔。
この塔は観測のために作られたものではなく、建築デザイン上この頃はやりのものか、京大時計台の流れを汲むものかもしれません。
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塔の内部。
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塔内の高い空間を利用して、後からつけられたフーコーの振り子。
地球の回転を証明することができます。
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屋上からは大阪平野が一望のもとに。
大阪城から咲洲、淡路島や関西国際空港までも遠望でき、夜には夜景が見事だそうです。しかし、建物までの山道は外灯一つないそうなので、泊り込みの観測者だけが見ることができる眺めなのでしょう。
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観測所の裏山には,阿武山古墳があり、身分の高い貴人のミイラが発見され、藤原鎌足ではないかと言われているそうです。
「貴人山」がなまって「美人山」になったのかも。
建物好きなひいらぎです。
お茶人のひいらぎさんも建物好きですか
これからどうぞよろしくお願いします。
こちらの見学は定期的に受け付けているし、もっと詳しいオープンラボというのもやってるようです。 http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/~abuyama/ から申し込みできますよ。
見学の日には地元のボランティアさんがお部屋を飾ったり、付近の写真を飾ったりして、ご近所さんから随分愛されているようです。
ただし、バス停から徒歩だとちょっとした山登りを覚悟して行ったほうがいいですよ。