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書評「「いのち」のままに 心の自由をとりもどす禅的瞑想法(玄侑宗久)」

2014-10-25 09:09:24 | 書評(仏教)


坐禅をやっているが、無我の境地に到達するにはほど遠い。坐禅中は気がつけば次々と雑念がわいてきて、
あわてて呼吸に集中することとの繰り返しである。つまり坐禅は難しい。
玄侑宗久の最近の著である、「「いのち」のままに 心の自由をとりもどす禅的瞑想法」では、
そんな坐禅に難しさを感じている人や、考えすぎている現代の日本人に向けて、
取り組みやすいオリジナルの瞑想の方法を提案し、「考えない状態をつくる」ことを教えてくれる。
瞑想法には、意識を集中させる「止(シャマタ)」と明確な観察をする「観(ヴィパッサナー)」の2種類がある。
公案を用いる臨済禅はシャマタに近いが非常に難しいという。これはもう出家して寺に入門したいとできないだろう。
それで、この本ではヴィパッサナーの瞑想法を教えてくれる。それも古来からのラベリングという、動きを言葉に
置き換える方法では瞑想の深度がかなり浅くなってしまうので、言葉を用いない、日本人に向いていると思われる
方法を提案している。
それには呼吸と意識の使い方が重要という。無意識にしていたら、意識は思考のほうに自然と流れてしまうのである。
意識を先に行かせない今に持っていくという意味でも、呼吸を長くするという意味でも、読経が適していて、とくに
般若心経が勧められている。
そして、具体的な瞑想法として、座ってできるイメージ呼吸法2種、体の動きを観察する方法4種、日常生活中でも
できる瞑想法、お風呂でする瞑想法、一種の瞑想としてみた坐禅、真言宗の瞑想法「阿字観」をアレンジした
変形「阿字観」、白隠禅師の「内観の秘法」、を提案している。
私もこの、座ってできるイメージ呼吸法と体の動きを観察する方法を組み合わせて1ラウンド10分ほどの瞑想
を試している。いつもは、夜寝る前に10分ほど坐禅をするのだが、イライラしているときにこれをやるとイライラが
増幅されて眠れなくなってしまうことがある。しかし、今回始めた瞑想法を試してみたら、やる前にあったイライラ感が
消えてしまったのである。やっている間も坐禅に比べて雑念の入り方が少ない。
これはもしかしたらなかなかの効力かもしれない。

そんなわけでこれは、「役に立つ」本である。


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