身を切る改革と称して政党助成金をもらう
2021年11月21日(日)
身を切る改革と称して政党助成金をもらうという矛盾に満ちた日本維新の会であります。維新が言うところの「身を切る改革」を似非というのでありましょう。
18日の赤旗です。
維新が一定、国民の人気を得ていることは認めざるを得ません。宣伝戦略が上手いことも認めざるを得ません。「宣伝戦略」でもっとも効果を発揮しているのが、橋下徹氏の存在です。民放番組に出ずっぱりで、宣伝効果抜群であります。
その維新が一番気にしているのが、与党or与党の補完勢力と見られることです。これが、露わになるとその人気はガタンとなると私は見ています。
以下は、共産党の「前衛」からの引用です。長文なので、見出しを追っていただくだけで結構ですが、維新が内閣不信任決議にことごとく反対した経緯です。
もう一つの問題として、相当増えた議員の不祥事が連発するようになるであろうことです。これは、私の予想ですので、今後注目していくことにいたしましょう。
■内閣不信任決議案――ことごとく反対して政権を擁護
冒頭に書いた「維新の会の変遷」で、維新が2016年以降、「安倍政権との協力・連携を完全に視野に入れた活動を始めた」と指摘した。これを象徴的に示すのが、内閣不信任案に対する態度である。
第2次安倍政権が発足して以降、菅政権の今年6月まで、計8回にわたって内閣不信任案が提出され採決された。うち6回は、維新が自民党との連携を公然と主張し、憲法についても〝丸ごと改憲〟を提唱し始めた2016年以降のことである。2016年以降の内閣不信任決議案についての維新の態度を検証したい。
以下、それぞれの不信任決議案の際、維新がどのように主張してきたかをみる。
(1)2016年5月31日 安倍内閣
不信任案の採択の4カ月ほど前に、この年の通常国会代表質問で、維新の性格にかかわる需要な発言があった。馬場幹事長の、〝維新は野党ではない〟という宣言である。
「私たちおおさか維新の会は、いいものはいい、悪いものは悪いと明確にし、与党でもない、野党でもない、新しい政党の姿として、憲政史上初めての対案提示型責任政党を目指します」(2016年1月6日、衆院本会議)
昔、与党(よ)でもなければ野党(や)でもないとして、その間をとって〝ゆ党〟という言葉が使われたことがあった。「政権への是々非々」とか「与党でも野党でもない」といえば聞こえはいいが、そういう〝野党〟が存在することで政権党が困ったということは、一度として聞いたことがない。それどころか、ときに野党の足並みを乱し、ときに与党に協力するということで、これほど与党にとって頼もしい存在はなかった。新自由クラブしかり、民社党しかりである。
むしろ、「野党ではない」と宣言することによって、維新の立ち位置は、事実上「反野党(親与党)」の立場を鮮明にすることになった。
このとき不信任の理由とされたのは、経済(アベノミクス)の破たんであり、自民党が選挙公約で反対していたはずのTPP(環太平洋連携協定)であった。反対討論に立ったのは、国会議員団政調会長の下地幹郎氏。下地氏は、不信任案に反対する理由の一つに、馬場幹事長の代表質問――維新は野党でもなければ与党でもない—―を引用して、その趣旨は「反対のための野党にならない、反対ならば対案を出す」などと述べ、次のように言葉を重ねた。
「野党とは、予算に反対する、内閣の不信任案に賛成する、首班指名で自らの党首の名前を書く――その3要素から構成されると言える」
だいたい、「対案を出す」などというのは、もっともらしい主張だが、みずから自民党政治に毒されていることを告白するような主張である。予算案やコロナ対策への批判であれば対案も必要になるだろうし、現に日本共産党は必ず批判とともに修正案・組み替え案を出し、必要な対案を提示してきた。しかし、安保法制(戦争法)や憲法改悪などは、対案を出すことによって、相手側の議論の俎上に乗るという点で、逆に相手に塩を送る結果になるだけでしかない。こういう場合、案そのものを廃案に追い込むことこそ、立派な対案である。
かつて与謝野馨(故人)は、自民党が野党に転落した際、政治の師である中曽根康弘元首相(故人)から、「野党の仕事は何がなんでも時の政権を倒すこと」と教えられたという(「読売」2013年1月23日付「時代の証言者」第14回)。中曽根の言葉を当然視も絶対視もするつもりはさらさらないが、政策やイデオロギーは別にして、ここには野党観についての、政党人であり首相経験者としてのある種の気概や矜持、見識を感じるのである。
(2)2016年12月15日 安倍内閣
カジノ解禁法が強行された後の内閣不信任案だった。前述のように、カジノ推進は自民党以上に維新が熱をあげてきた課題であり、カジノ強行についての首相の責任を問うなどということは端(はな)から眼中になかった。
同時に、この不信任案では、TPP協定、年金カット法案などの強行採決もきびしく問われていた。
維新の反対討論ではカジノ解禁法について、やれ〝民主党政権時代から検討されていた〟だの、やれ〝国会の採決日程は合意されていた〟などと難癖をつける一方で、年金カット法など、その他の悪政についてはだんまりを決め込んだ。
(3)2017年6月15日 安倍内閣
共謀罪の強行成立をはかろうとする内閣の責任を問うために出された不信任案だったが、そればかりではなかった。この年の2月からは、すでに森友疑惑、加計疑惑が国政の重大な問題として浮上していたのである。日本共産党の志位和夫委員長の賛成討論(要約)から、不信任に値する内閣の問題点を指摘しておこう。
「安倍政権は一昨年9月の安保法制、戦争法の強行を機に、憲法を無視し、民意を無視した暴走政治にまったく歯止めがなくなってしまった。国会での数の力に慢心し、国政を私物化し、目を覆うばかりのモラル崩壊が進んでいる。もはやこの内閣にわが国の国政を担う資格はない」
そのうえで志位氏は、不信任の理由として、安倍政権が共謀罪を強行しようとしていることに加え、森友疑惑、加計疑惑など権力による国政の私物化の2つの重大問題への関与を隠蔽し続けていることなどを指摘した。同時に、安倍氏が首相として失格であると次のように指摘した。
「国会質疑における安倍総理の態度はあまりにもひどいものだった。やじがあれば静かにしろと、延々と時間をつぶす。そのくせ自席から反論させろよ、いい加減なことばかり言うんじゃないとやじるというルール違反を繰り返す。都合の悪い質問には、印象操作だといって答えない。野党議員の質問に興奮して恫喝(どうかつ)まがいの答弁を行う。あまりにも傲慢不遜。一国の首相としての品位もなければ品性もない。こうした態度一つをとっても、総理失格と言わねばならない」
さて、維新である。不信任案の採決にあたって維新は、賛成討論はもちろん反対討論にも立たなかった。討論を通告(要求)しなかったからである。その一方で、不信任案には反対をした。
ここからは筆者の独断的憶測である。志位氏の討論にあるように、2017年にもなると、安倍政権の国政私物化と高慢な姿勢は、他のどの政権とも比較できないほどの下劣なものに成り下がっていた。政権の不信任に反対する――つまり政権を擁護する――討論ともなれば、こうした安倍内閣を結果的に擁護せざるをえなくなる。いくら維新でも、末期的ともいえる様相を呈する安倍政権を擁護することははばかられたのだろう。〝まさか維新が〟とは思うが、その程度の含羞はあったのだと思う。
しかし、一方で、「野党ではない」と断言し、政権の翼賛勢力であることを事実上公言してきた以上、今さら不信任案に賛成することなどできない。
以上のことから、ダンマリを決め込むことしか道がなかったということだったのだろう。
(4)2018年7月20日 安倍内閣
このときには、カジノ実施法が焦点の一つだったが、同時に、引き続き森友、加計疑惑についての内閣の責任も問われていた。
2017年の不信任案のときとうって変わって、維新は反対討論に立った。その理由の一つは、言うに及ばず、カジノ実施法の成立にあった。討論に立った浦野靖人議員は次のように述べている。
「われわれ日本維新の会は、実際に働き方改革推進法案やギャンブル依存症対策基本法案など、重要法案で政府・与党と修正協議をおこない、国民にとってよりよい法案を成立させてきた」
この討論で注目すべきことは、前回はダンマリを決め込んだ政権擁護を、真正面から唱えたことである。とくに、森友、加計疑惑などについては、次のようにほとんど与党ばりの〝安倍擁護〟の主張に終始した。
「野党6会派は、森友問題、加計学園問題への政府の対応を問題にしているようだが、これは、昨年来、相当な時間をかけて究明してきたことだ。・・・事実究明と再発防止は必要だが、山積する政治課題を議論する場において、まったく関係ないモリカケばかりを持ち込んで議論をひっくり返すようなことは、国民の利益をむしろ損なうのではないか。モリカケに固執する野党と、わが党は一線を画してきた」
「内閣不信任案に賛成すべきではないかという声もあるだろう。しかし、政治はゼロか100かではない。今の与野党を比較すれば、どちらに内閣を預けることがよいのかと問われれば、安倍内閣。したがって、野党提出の内閣不信任決議案には賛成できない」
2016年には、「与党でも野党でもない」と格好をつけていた維新だが、それから2年後には、〝野党よりも安倍政権がまし〟と公言するまでに与党と一体化したわけである。
これを一歩も二歩も進めたのが、次の不信任案採決のときだった。
(5)2019年6月25日 安倍内閣
このときの内閣不信任の焦点となったのは、安倍内閣が年金の給付水準引き下げの方針(マクロ経済スライド)に固執したことであり、消費税率の10%への引き上げを明確にしたことであった。1989年の消費税導入以来、1内閣で2回の税率引き上げを強行するのは、安倍政権が初めてだった(1回目は税率を5%から8%にアップした2014年)。
さらに、安倍首相が2017年5月の「読売」インタビューで、2020年までの9条改憲を明言するなど、海外で戦争する国への暴走の道を突き進もうとしたり、沖縄の民意を無視して名護市辺野古に強権的に米軍新基地を建設しようとしたりしていたことも大きな問題だった。
こうしたときに、維新が正面切って内閣不信任案に反対を表明したのだから、自民党席から大きな拍手が上がったのも当然だった。反対討論に立った維新の足立康史氏の発言である。
「いま自民党の皆様から拍手を頂戴したので、念のため申し上げるが、私たち維新の会が内閣不信任案に反対と申し上げたのは、別に自民党や公明党と行動をともにしたからでなく、共産党と同じ行動をとるのが死んでも嫌だからだ」
これには後日談がある。この討論の翌日、6月26日にBSフジテレビ「プライムニュース」に出席した維新の浅田均・政務調査会長に対し、反町理氏(フジテレビ政治報道局解説委員長)が、「僕も(国会)中継を見ていて椅子から落ちそうになったが真意は何か」と問いただした。以下は「しんぶん赤旗」2019年6月28日付から。
「これに対し、浅田氏は『あのー、えー』と言葉を詰まらせながら『とはいえ、国会で、全会一致で法案が通るのは6割くらいあるので、その場合、共産党と同じ行動をとっていると言われても仕方がない』と発言。『それは死んでも嫌だと?』と問う反町氏に『死んでも嫌ならやってへん』と事実上、矛盾を認めました」「反町氏が、『じゃあ足立さんの発言は党としての発言ではないのか』と問うと、浅田氏は『党を代表しているという位置づけだ』と述べる一方、発言のそのくだりは『自由にやってちょうだい(の部分)に近い』などとしどろもどろに答えました」
もう支離滅裂、滅茶苦茶である。足立氏の政治家としての資質はもとより、維新の高騰としての立場さえ根本から問われるような問題である。
(6)2021年6月15日 菅内閣
驚くべきことに、維新の足立氏は、菅内閣不信任案への反対討論にも登壇した。このときにも、野党の姿勢を〝茶番〟〝猿芝居〟などとあしざまに罵(ののし)ったのだった。
「少数派である万年野党が内閣不信任決議案を提出し、多数派である万年与党が粛々と否決する。そうした一連のお芝居になんの意味も見出すことができない。だから、そうした茶番、猿芝居に意義を申し立てるという意味で、青票、つまり反対票を投じる」
以上、内閣不信任決議案に対する維新の言動を通じて、安倍、菅政権に対する維新のすり寄りぶり(与党との一体化)をみてきたが、この党は「自公に媚(こ)びを売り、反共をがなり立て、安倍政権(と菅政権)への信任状を与え続けてきた」のである。(3月20日、日本共産党近畿オンライン演説会での志位委員長の訴え)