マリオ・ブルネロ無伴奏リサイタル
2014年11月29日(土)
マリオ・ブルネロは、イタリア人で初めてチャイコフスキーコンクールで優勝したチェリストということです。何年か前、作家の光野桃さんの新聞のコラムで知りました。それから、機会があれば聴きたいと思っていたのです。最高の「場」でそれが訪れました。
http://blog.goo.ne.jp/windy-3745-0358/e/12f7424425466ca5c63948effe42507b
11月15日、八ヶ岳高原音楽堂を訪れました。
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第一曲目は、テレマンのチェロ・ソナタニ長調。このチェロの朗々とした響は一体何だろうと思いました。チェロは人間に一番近い音色を出すといわれていますが、正に、身体全体に響くという感じでした。また、ホール、と言っても、一般的にイメージするホールとは全く違っていて、大きさもそうですが、どの席で聴いても同じ音として聞こえるのではないかという、確かな根拠はないのですが、そう感じたのです。例えて言うと、ホールの中空で聞いているような、とでも言うのでしょうか・・。チェロの第一声を聴いて、すっかり魅せられてしまいました。
ところが、演奏ときたら、どうでしょうか。ミスが多いのです。私でもわかるほど、弓が他の弦に触れて音符以外の音がするのです。「?」と思いました。だって、チャイコフスキーコンクール優勝のチェリストですから。
第二曲目は、バッハの無伴奏チェロ組曲第3番です。この曲は最終楽章でリズムを追っかけるようなところがあるのですが、そこのところのテンポがま遅いのです。
第三曲目は、イザイの無伴奏チェロ・ソナタハ短調でした。冒頭から力強い演奏です。イザイの曲は無伴奏のヴァイオリン・ソナタしか知りません。つまり、2曲しか聴いたことはないのですが、実に思索に富んだ作曲家と思いました。派手さはありませんが、ジワジワと味わいのある曲です。ブルネロの力強さが加わって、私はこの調べにすっかり酔いしれました。
(休憩)
第四曲目は、ヴァインベルクの無伴奏チェロ・ソナタ第1番。残念ながら、記銘力と記憶力の衰えにより、印象が残っていません。
第五曲目は、ピアソラのコントラバヒッシモ(チェロとループ・エフェクターによる多重演奏)です。
語り掛けるような曲で、ループ・エフェクターによる多重演奏で効果を高めます。初めての経験で、チョロが2台音を出すというのが不思議な体験でした。ただ、率直に言って、その不思議さに気が散って音楽そのものに集中できないというきらいがありました。
最高の「場」で、最高の演奏とまでは言えませんでしたが、満足の一夜の演奏でした。隣のお方は分かったのかしら・・。
八ヶ岳高原音楽堂。17時からの開演で30分程度前の到着でしたが、少し暮れかかっていました。
ループ・エフェクターの説明がありました。ただ、実際に聴くまで、イメージが湧きませんでした。
リヒテルのアドヴァイスがホール設計に活かされたということです。リヒテル自身3回演奏を行っています。
開演前に、飲み物のサービスがあり、いっぱい飲みたかったのですが、眠くなるといけませんので、赤ワイン一杯にしておきました。
六角ですが、少し細長くなっています。
音響の特性はこの天井にあるような気がしました。
ステージはこの高さです。ほぼホールと同じと言って良いでしょう。奏者と聴衆の一体感が図れます。
Max250席ですが、当日は、156席でした。私たちの席は96と97で、この席は当日のくじ引きで決めます。
アンコールは、ゲーヴィン・ブライアーズのイエスの血に決して私を見捨てなかった、フランチェスコ・コロンビのチャッコーナ。最後のアンコールは五重奏だったと思います。
演奏が終わっても、ループ・エフェクターが音楽を奏でています。ブルネロはチェロを置いて立ち去って行きました。多くの人が群がって見て(聞いて)いました。左の小さな黒いボックスがスピーカーですが、それにしては、良い音でした。(@_@)
サイン会の行列です。
演奏後のディナー会場にブルネロが現れました。事前のアナウンスでは、体調が悪く(日本で演奏ツァーを行っていました。)この場には来ることが出来ないということでしたので、多くの皆さん、ブルネロを見た時歓声を上げていました。私は早速カメラを持ってブルネロに挨拶しました。私の挨拶とは写真を撮ることです。7・8枚撮った時にスタッフに撮らないでと注意されました。ので、他にブルネロを撮った人はいないと思います。
演奏が万全でなかったのは、体調のせいと納得いたしました。
益々人気の出そうなチェリストです。端正な顔立ちで、嫉妬します。