米トヨタ、380万台リコール
5 トヨタ車の装置に欠陥か?
2009年12月2日(水)
この問題については、「トヨタ自動車は25日、米国で販売した7種の車のアクセルペダルをリコールし、フロアマットに引っかりにくいよう短くする、と発表した。」(26日朝日新聞)ということで決着したと見られていた。
しかし、一部メディアで気になる報道がされた。
「29日付けの米紙ロサンゼルス・タイムスは、トヨタ自動車が米国で販売した車のアクセルペダルがフロアマットに引っ掛かり事故を起こす恐れがあるとされる問題で、フロアマットではなく電子制御装置が加速などの原因となっている可能性があるとの見方を伝えました。」と言うのである。
トヨタはこれまで、電子制御システムに問題はないと説明していたから、仮に、事故の真因が電子制御システムだったということになると、この問題の対応次第では、トヨタの死活問題に発展しかねない。
最近の車は電子制御のため、ECUという小型コンピュータが沢山取り付けられているという。コンピュータを使った人なら誰でも経験するが、例のフリーズという現象が起きる。(余談だが、フリーズは、私はコンピュータのバグ(ソフトの不具合)で欠陥商品だと思っている。しかし、ソフトメーカーは「欠陥」ということを認めない。)
今回の事故は、ブレーキも利かなくなっていたというから、アクセルとブレーキを制御するECUに「同時に」不具合が起った、という可能性は否定できない。このことについて、私の知る限りトヨタからのコメントはないが、少なくともブレーキが利かなくなったことについて、色んな可能性を含めて説明をする必要があるだろう。
トヨタ内部では、「フロアマットの誤った使用方法が原因と主張すべきだ」との意見があるようであるが、電子制御が問題にされたからには、直ちに徹底的な検証を行い、真因を明らかにすることが求められる。
参考までに、アメリカの高速道路安全保険協会が安全性に優れた2010モデルを発表したが、トヨタ車は「ゼロ」だった。昨年は11車種だったから、この事故及びそれに対するトヨタの対応が影響していると考えられる。
4 ブレーキが大きく損傷
2009年10月29日(木)
10月27日付けの朝日新聞によると、米高速道路安全局(NHTSA)は、新たな報告で、レクサスのアクセルペダルの形がフロアマットに引っかかる危険性を高めると指摘した、とある。
同時に、NHTSAは興味深い報告もしている。それは、事故車のブレーキが大きく損傷していた、ということである。
ブレーキの損傷が事故の前か後かについては触れていないが、明らかに「事故の前」だろう。
ブレーキが損傷していなければ、仮にアクセルがフロアマットに引っかかってもブレーキングで停止していたということになり、この事故は、アクセルとブレーキの不具合という複合的要因であったということになる。
また、事故で死亡した男性は州警察の高速隊員であると報じられている。高速隊員ということであれば、自動車運転のいわばプロであり、どうしてギアをニュートラルにしなかったのか理解に苦しむ。その程度のことを知らないハズがないからである。
この事故に関しては、まだまだ、ミステリーなことが多い。まだ、続報があるだろう。
3 「罠」?
2009年10月19日(火)
アメリカのトヨタ車で、フロアマットがずれてアクセルペダルが踏みこんだまま戻らなくなるという事故(その報道を含めて)は、やはりどうもオカシイ。
10月15日の朝日新聞によると、
「トヨタは、米連邦自動車安全法に基づく法的リコールと同等の手続きを踏むことに同意。3カ月ごとに進み具合を報告する。法的リコールの前提となる欠陥の存在は認めていないが任意の措置として無償で改良する意向を示した。」
とある。
16日の朝日新聞には、センセーショナルな記事が出た。
事故に遭ったマークという人の運転するレクサスに同乗していた弟のクリスが緊急通報をしたが、その交信記録だ。
●(クリス)、○(通信指令係)
●レクサスに乗って・・いる。アクセルが動かない。
○どこを通っているのですか。
●・・120マイル(190キロ)で走っている。・・ブレーキが利かない。・・道路の終点まで0.5マイルのところだ。
○・・車を止めることができないんですね。
●交差点に近づいている。交差点に近づいている。つかまって。祈って。くそ。おーおー。(女性の叫び声のあと衝突音)
○もしもし。
「衝突音」と言うのが生々しい。こんなのが、アメリカで連日報道されたら、トヨタパッシングも起ころうというものだ。
自動車評論家の国沢光宏氏は、ブログで次のように述べている。
「レクサスES350の暴走など、ユーチューブに事故直前の通話内容がアップされているものの未ださっぱり解らない。ちなみにアウディはアメリカで暴走事故がクローズアップされた余波を未だに引きずってます。こんな「罠」をいくつも仕掛けられたら、トヨタだって体力を消耗する。」
国沢氏の言うように、「罠」かどうか分からないが、欠陥はないと言うトヨタが、リコールと同様の手続きを踏むというのは、相当に神経を尖らせているということだろう。
2 所有車に「リコール」
2009年10月7日(水)
トヨタ自動車は、フロアマットがずれてアクセルペダルが戻せなくなる恐れがあるとして、米国で販売した計約380万台の所有者に「リコール」を通知する。10月下旬に、対象車種を買った人に対し、運転席のマットを取り外すよう呼びかける文書を郵送する。
リコールは通常、回収・無料修理を意味する。トヨタはアクセルが操作しにくくなることについてまだ原因がはっきりしないため、「現時点では車両自体の欠陥とは考えていないので、法的なリコールとは違う」と説明している。
(以上、7日付け朝日新聞を要約)
数日前に、トヨペット店のスタッフにこの問題について尋ねた。
そのスタッフによると、フロアマットがアメリカ向け車は違うのだと言う。日本車はマットは布製、勿論合成繊維だが、アメリカ向けはビニールの様な素材だと言う。
ただ、それでどうしてマットが「ずれる」のかについては、このスタッフも良く知らない。
ともかく、日本車は問題無いとのことであった。
380万台というのはとてつもない数字だが、トヨタの真摯な対応に呼応して、車の買い替えを検討する人が10%でもいたら凄いことになる。38万人。
私は、このリコールではない「リコール」問題は何かあるように感じてならない。
続報が必ずあると思う。
1 米トヨタ、380万台リコール
2009年10月2日(金)
「米トヨタ、380万台リコールへ」という報道は、私には非常に奇妙に思える。
不具合の具合だが、日経ネットによると、「フロアマットを正しく固定していない場合」とか「フロアマットを重ねて敷くような場合」、アクセルペタルがマットに引っかかり事故につながる恐れがあるとある。
正しく固定していない、あるいは重ねて敷くのはユーザーであるので、これは製造者の責任ではなくユーザーの責任ではないのか。
私のトヨタ車をさっそく調べて見た。フロアマットにタブが付けられていて、使用方法をちゃんと説明してある。
「フロアマットは、必ず車両側のカーペットに取り付けた付属の固定クリップにとめてご使用下さい。」
こんなことがリコールの対象になるのであれば、どこのメーカーのどの車でもある筈だ。
私は、リコールに発展するとは思っていないが、仮に「リコール」になったとすると、これはトヨタにとってむしろ、ビジネスチャンスではなかろうか。
ユーザーがディーラーに足を運ぶ。説明を聞くと、製造上の欠陥ではないことを理解する。
しかし、それでも万一のことを考えて「リコール」として届け出たトヨタに信頼を寄せる。(実際、似たようなことがレクサスを立ち上げた時に有り、レクサスブランドの信頼性を高めたということがあります。)
災いを転じて福となす。アメリカにこの諺があるかどうか知らないが、デーラーとユーザーの間で、車の買い替えの話に発展すれば、正にこの諺通りのことになる。
以上は、冗談っぽい話だが、このようなことが「リコール」問題に発展するのは、「訴訟社会」というアメリカの土壌があるように思える。アメリカは病んでいる。
(2009年10月4日、一部修正)
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