山陰旅行の第一の目的地は、鳥取県の三朝にある投入(ナゲイレ)堂、そして次に決まった訪問地は島根県の出雲大社。
この両寺社への訪問は、ある意味対照的な結果になった。
2日目、大東町から出雲大社に向った(山陰旅行1の続き)。
臨時駐車場にレンタカーを置き、まずは名物”出雲そば”を荒木屋で食べる(西日本で本格的な蕎麦って珍しそう)。
丸い器三段を上から、タレと具をかけて食べ、タレと具を次の段に移して食べる。
さて、大社の境内に入る。
大勢の人とともに広大な敷地内の松並木を進む。
太い注連縄のある拝殿に達し、参拝。
ただ周囲では大勢の参拝客が思い思いに写真を撮ったりで、雰囲気的には観光地。
ここで思い出して、iPadminiを取りだし、「ばけたん」(幽霊探知器)の探知スイッチを入れてみる。
すると、「この場所は現在あまり良くない状態にあります」と出た。
つまり霊的にはマイナスということ。
今まで神社内でこうは出なかった。
さらに奥の本殿前に進む。
背後に佇む八雲山が御神体のように神々しい(写真)。
ここでも参拝して、ふたたび探知してみる。
すると、「この場所では特に異常は認められません」と出た。
つまり、ご神体に近づいた分なのか、拝殿よりはましだが、ありがたい霊気は感知されなかった。
私にとってこの探知器は、過去の探知経験から、かなり信頼している(稲城のありがた山、熱海の来宮神社など)。
なので、探知結果が正しいとして、それをどう解釈しよう。
そもそも場が有している霊気があって、それを感じた人びとがそこに社を建てた。
出雲大社においても、背後の八雲山を見れば納得する。
ただ、そこに訪れる大勢の人が、邪気をもっていれば、そこの霊気は相殺されてしまうのではないか。
この場合、邪気とは、神に対する直き敬意ではなく、自己の欲の実現を願う心。
出雲大社においては”縁結び”の御利益を願う人が、各地からここに集っているとしたら、邪気の集積地になってしまう(特に拝殿前)。
いくら大社といえども、霊気の量に限界があるのでは。
いや、われわれ一行の中にも、その邪気を持ってきた者が皆無とはいいがたい。他人のせいにするのはやめよう。
私は、訪れる寺社で必ず”パワー”を測るわけではない。何がしかを感じたら測る。
玉作湯神社でも、参拝者が発する”縁結び”の念のせいで、測ろうと思わなかった。
三日目、われわれ最後の訪問地が、旅の最大の目的地、投入堂。
(山陰旅行2の)三朝温泉から車で7キロほど山に入る。
投入堂は、天台宗の古刹・三仏寺の最奥の断崖絶壁にあるお堂(平安後期の築)で、
そこに達するには、一人ではダメ、悪天候ではダメ、靴底にしっかり凹凸がなければダメと、条件が厳しい。
過去に死亡事故が複数起きているためで、いやなにより、修験道の修行の場だからで、もとより素人が観光気分で行く場所ではないのだ。
今回の旅の同行者二人は、この日のために、登山用のしっかりした靴を購入してきた。
山をやっている私にとっては普通の低山なので、底に凹凸がある普段の靴で済ませた。
幸いに好天の中(昨日は強雨だったのでちょっと心配だった)、まずは入り口で拝観料を払い本堂まで進む。
本堂で安全を祈り、その奥の登山事務所に行く。
そこで靴底チェック受け、OKをもらって入山料200円を払い、許可をもらった印になるタスキをかける。
ここから純粋な山道に入る。
次第に急傾斜になり、木の枝につかまりながら登る(写真:同行者はきちんと軍手を用意)。
それに続く岩場を鎖で登ると絶壁の上に建つ重要文化財の文殊堂。
ここに着けば半分登ったことになり、誰もが一休みしたくなる。
空中に突き出たようなお堂なので、堂の外縁を一周するにも高度感抜群。
転落したらもちろん命はない。
同じような地蔵堂(重文)を通り過ぎ、そして鐘楼(県文)で鐘を突き、馬の背・牛の背の岩崚を渡り、
岩穴に建つ観音堂(県文)の後ろを抜けると、
投入堂(国宝)を見上げる地点に達した。
ここから先は行き止まりで、投入堂にはこれ以上近づけない(ちょっとがっかり)。
でも絶壁の上お投入堂にどう入るのかわからない。
それにしても威容で壮観だ。ただただ見惚れる(写真)。
これを見るだけで来た甲斐がある。
あたりは荘厳な雰囲気に満ちているので、iPadminiを取り出して、探知した。
すると「守り神登場。周囲に守り神の反応を検出しました。
現在この場所は非常に安全な状態にあります。」と最高の評価が出た。
やはりな。ここは本物だ。
仮に邪心をもって入山したとしても、途中の難所で無心になってしまい、この投入堂に達すれば素直に心が洗われる。
私など心が洗われすぎて、iPadminiでもできる地磁気測定を失念してしまった(計測マンとしたことが)。
信頼できる「ばけたん」の結果から、投入堂を立派なパワースポットと認めたいのはやまやまだが、
磁力など物理的に測定できるパワー(力)の異常値がないと私としては正式認定はできない(認定できないのは、測り忘れた私の責任だが)。
なので「暫定パワースポット」としておく。
山は登りより下りの方が危険だ。体が疲れているし、自分でコントロールできない加速度がついているから。
同行者は山歩きの初心者なので、往きよりも慎重に降りた。
無事案内所に降り立った。
本堂の下に宝物殿があり、そこには投入堂に安置されていた蔵王権現(重文)や狛犬などが拝観できる。
すなわち現在の投入堂は空で、堂内の仏像などはすべてここにあるのだから、立ち寄ることで投入堂内に入ったことになる。
投入堂は、見た目にも「ぱけたん」的にも今回の旅で最高にパワーを感じた。
麓の三朝温泉と合せれば、心身ともにパワーアップすること間違いない。
投入堂までの山道は、高度差的には高尾山にも及ばない。
一部岩崚があるが、丹沢の表尾根や奥武蔵の伊豆が岳クラスを登った人なら問題ない。
これにて旅の目的は達した。
あとは米子鬼太郎空港から飛行機で羽田に戻るだけ。
時間が余ったので、蒜山高原(岡山県)に出てB級グルメの「蒜山焼そば」を食べ、そこから大山(ダイセン)中腹を半周し、米子に降りた。
わが先祖の跡、強烈な温泉、著名な寺社を巡った山陰旅行はかように充実した旅だった。