27日の木曽御嶽の噴火には驚いた。
御嶽山付近を震源とする小さな地震が続いていたので、「またいつかは…」という気がしていたが、
噴火の前には火山性微動や山体膨張が観察されて、かなり正確に予測できると豪語されていたので、すっかりそれに頼り切っていた。
といっても、剣が峰の南側の奥の院付近は、以前から硫黄の臭いがして、
ここが活火山であることを主張していたわけだが(過去3回登った)。
自分が登っている山が突然噴火した登山者は、生きた心地はしなかったろう。
それにしても、本州のど真ん中にある3000m峰(富士に次ぐ高さの火山)が噴火するのだから、
日本は地震国だけでなく、火山国であることも痛感させられる。
木曽御嶽は、1つの山というより、北の乗鞍岳と同じく、火口が北から南へ移動しつつできた複合火山で、
それ自体で小さな火山脈を形成している(山上の池が旧火口)。
今回の噴火は山の南斜面だから、火山脈が順調に南下していることを示している。
御嶽はこれからも南へ拡張するだろう。
濃尾平野を睥睨(ヘイゲイ)する御嶽の雄姿は、南関東を見下ろす富士に相当するが、
噴煙たなびく3000m峰を見上げることができる大都市は名古屋だけだ(岐阜市ならもっと間近)。
ただその御嶽は、噴火のたびに名古屋に接近していく。
以下、追加
被害の全貌が不明で、無事下山した人の情報ばかりだったので、結構気楽な気持ちで上の記事を書いてしまった。
壮絶な状況が明らかになりつつあり、同じ山をやってた者として、改めてゾッとしている。
山に行ってその山が噴火するなんて、雪山で大雪崩に遭うような恐ろしさだ。
今では「死火山」は死語になり、かつての「休火山」の多くが「活火山」に昇格した(御嶽は、死火山からいっきょに活火山へ)。
地殻活動の周期と人間の観察記録の時間スケールが異なるから。
ただ、活火山といってもここしばらく活動していない山が多い(それらは「常時観測火山」の認定外)。
那須岳や阿蘇山など、活動していても気楽に行ける活火山がある。
これらの活火山には緊急時のシェルターが道脇にあるので、備えはしっかしりている。
逆に怖いのは、「常時観測火山」認定なのに、活動していない山。
噴火時の備えが、訪れる者にまずないからだ。
今回の教訓として、
水蒸気噴火は前兆が捉えにくいとするなら、すなわち”いつ”噴火が起きるか予測困難とするなら、
せめて”どこで”噴火が起きそうかは予測可能なので、それをルート選定に生かしたい。
たとえば、御嶽なら、南側が噴火するわけだから、王滝口の奥の院から剣が峰の間が問題となる
(王滝口は登山道を変更して、王滝頂上を迂回して剣が峰に行くようにした方がいい)。
富士山なら、山体全体の北西−南東走行が噴火しやすいから、精進口と御殿場口が問題となる。
山体の地震が相次いだ後は、これらのルートは避けた方がいいかも。