小田急線の列車が火災現場で停車して、車両の屋根が燃えた事件は、幸い負傷者が出なかったものの、実に心胆寒からしめる出来事だった。
なぜかというと、それぞれが職務に忠実で、誰もミスや失敗をしていないのに、かくも乗客を危険な目に遭わせたからだ。
すなわち、誰か個人の問題ではなく、どれかシステムの問題でもなく、あえていうならシステム間の齟齬の問題。
つまり、求められた事態にそれぞれがきちんと対応しているのに、それだからこそ危険を招いてしまうことがあるというわけだ。
そうなったのも、踏み切りの手前の沿線で火災が発生するという、ピンポイント的に想定されない事態だったからだ。
実は、ピンポイント的弱点が、災害現場となる。
確率論的に限りなく0に近いそこで、災害が発生する。
なぜなら、その場所は結果的に対策が一番手薄だから。
今回のヒヤリハットは、いろいろ警鐘の意味がある。
臨機応変の対応の余地、それを可能にする迅速なコミュニケーション。
2年前の新幹線放火事件にモロに遭遇しただけに(→その記事)、あそこでの運転手の適切な判断が心に残っている。