今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

露点温度って使えそうだが

2020年08月13日 | お天気

日本で天気予報に使われる気象情報は、気温と相対湿度(以下、湿度)だ。
ところが、ヨーロッパなどでは湿度の代わりに「露点温度」が情報として提供されるという。
ヨーロッパの人々は、露点温度なるものを日々気象情報として参照しているわけだ。
いったいどんな意味があるのか。

露点温度というのは、いまの空気で水蒸気が結露する温度で、コップに氷水を入れるとその外側が結露するように、気温より必ず低い(気温=露点温度の場合は雨の中)。
では、この温度が気象情報としてどう使えるのか。

気温の影響を受けない水蒸気量の指標とみなせる(いわゆる湿度は気温の影響を受けるので”相対”湿度)。
気温と露点温度の差(気温露点差)が”相対”湿度として使えるので、気温と露点温度の2つで、相対湿度は不要ともいえる。
つまり露点温度が変化することは、水蒸気量の異なる空気が流入していることを意味する。

それを本日の夕立(東京で雷雨)で確認した。
まず最初に露点温度がガクンと低下した。
ついで風速が急に上昇した。
そして気温が低下し(=ここで相対湿度上昇)し、強い降水となった。

この一連の変化は、発達した積乱雲前面の露払い的な下降流(これが強くなるとダウンバースト)がまずやってきて(乾燥空気だが冷気なので相対湿度は下らない)、
その後、積乱雲の本体(降水雲)がやってきたことを意味する。

ジブリ・アニメの「もののけ姫」では、雷雨が来ることを表現するのに、まず草原を騒がせる陣風が吹き抜け、その後に大粒の雨が石の上に落ちる一連のシーンがあった。
この陣風がまさに露払い的な下降流の表現だ。

だがその前の露点温度の下降※は、さすがのジブリ・アニメでも表現できない。
露点温度は肌で感じる気温や湿度と違って、露点温度計を持っている者にしか、それが計測されないから。
※:降水前の露点温度の変化はこの場合のような下降とは限らず、むしろグッと上昇する場合の方が多い。低気圧に伴う温暖前線による降水がそれに該当する。

もともと湿度は「晴雨計」として家庭用の天気予報に使われているが、以上から、湿度よりも露点温度の方が天気予報に役に立つかも知れない。
もちろん、我が”私設気象台”ではアメリカ製の機器で露点温度も常時観測しているが、露点温度が測れる家庭用の液晶温度計は日本にはない(Amazonで唯一買えるのは外国製なので説明書は英文)。

日本の民生(家庭)用計測器ってホントにワンパターン(ワンパターンなのは計測器だけではないが

追記:私設気象台で露点温度の経時データを蓄積しているので、その挙動(周期性など)を分析して、気象情報としての意義を見出そうと思っている(2023年3月に論文発行→論文ダウンロードへ)。