寺号ではなく山号で親しまれている「成田山新勝寺」(日常会話ではここを寺号で呼んだ例がない)。
都心から京成一本で行ける気楽さがあるのだが、寺好きな私としたことが、
小学校の時に母親に連れていってもらって以来、とんとご無沙汰していた。大きくなってからは、”成田”といえば成田空港に行くことがメインになり、
また文化財的価値が乏しいものと思い込んでいたため(写真は重要文化財の三重塔)、
あえて寺巡りの選択肢には入らなかった。
いわゆる通常拝観できる仏像はだいぶ観たので、最近はたまにしか拝めない秘仏が開帳される時を選んで寺に行くようにしている。
そしたら成田山もその例に漏れず、今年の5月は、「開基1080年祭記念大開帳」だという。
すなわち10年に一度の大開帳なのだ。
これは見逃せない。
というわけで期間中に帰省した時に成田山に行こうと思っていた
(GWの3連休中はその期間中のみ開帳の春日部の観音院を優先した)。
前回母と行った時は、参道で鰻を捌いている映像の記憶だけが残ってる(寺の記憶がない)。
その思い出を再現したくなり、母を誘ったら行くという。
それなら参道の店で鰻を食べよう。
とうわけで、昼前に店に着く時刻を見計らって、東京を出発。
11時に成田に着いて、まずは目当てにした鰻屋をめざす。
めざした「川豊」本店に着いたら、木造三階建ての店内はすでに満席で、整理券が配られている。
この店だけが別格の混みよう。
待ち時間は1時間だという。
整理券をもらう以外に選択肢がない。
これをもらったら店の前で待っている必要はなく、インターネットで順番がわかるという。
さっそくiPadで接続すると待つ順番は90と出た。
参拝前に鰻を食べるという目論見は潰えたが、 それなら先に寺の参拝をすませてしまおうと、
このために朝食を抜いた空(カラ)の腹を押さえながら、参道をさらに下って寺の門前に達する。
さすがに人が多い。
オレンジの衣をまとった南アジア系の仏僧たちの姿が目につく(カメラで持っているから修行ではなく観光なのだろう)。
堂宇は高台に配置されているが、従来の石段の他にエレベータも配置されているので、足腰が弱っている老人や車椅子でも境内を廻れる。
大きな本堂内は人がぎっしり詰っていて、丁度法会が始まる所。
身動きができないこの状態では、残念ながら本堂の不動明王は拝められない。
本堂は参拝だけにし、あとは太子堂に行って太子像を拝み、母は休憩。
私はさらに奥の高台に行き、光明堂の仏像(大日如来、不動明王、愛染明王)を拝み、
奥の院の洞窟内の大日如来、そして醫王殿で薬師如来と十二神将を拝む。
一番奥の平和大塔の真新しい不動明王も拝んだ。
戻って、釈迦堂に参拝し、母と合流。
川豊に向うと、丁度待ち順は0になった。
店い行くと、さっきよりも待ち時間が30分増え、店の向側の休憩所に人があふれている。
人をかき分けて店に入り、整理券を渡し、店内の数名の待ち行列に加わる。
その間にうな重を注文し、昨日この店のサイトから印刷したクーポンを渡し、肝吸いを無料にしてもらう(ついでに瓶ビールも注文)。
超混雑しているものの、2人連れでも4人掛け1卓割当てられるので、相席にはならない。
注文してから調理されるので少々待つ(鰻は店頭で捌かれている)。
うな重は「並み」なのでちょっと鰻の量が少なめだが(上からごはんが見える)、
他店と比べても値段が安く、それにこの店が参道の鰻の元祖なので、他店なら昼前にすぐ食べれたものの、
こうしてまでもこの店で食べてみたかったのだ。
かくして、久々の参拝と鰻に満足して、駅に向って参道を戻り、
途中で母は漬物や乾物、折畳みの晴雨兼用傘などを買って、
全部私のトートリュックに詰めて帰宅の途についた(トートリュックは便利)。
ちなみにこの大開帳は明日で終る。
見逃した人は10年後に。