4日に埼玉県川越で、野球の練習試合中に落雷があり、1塁手だった生徒が直撃され、意識不明になった。
当時は、天気としては雷ではなく、青空ものぞいていたという。
すなわち、突発的な落雷だ。
ネットの雨量・雷感測情報サイトによると、4日の15:50分で川越付近は”弱雷”のエコーが8ドット存在している。
ただし、落雷の痕跡はない。
さらに10分前の同日15:40分に遡ると(雷雲エコーは10分間隔)エコーが1つもない。
そして被害が発生した15:55分では、対地雷(いわゆる落雷)が上のエコー周囲に6ヶ所存在している。
5分前の15:50分段階(落雷情報は5分間隔)では落雷は1ヶ所もなかった。
しかも対地雷の範囲は上空の弱雷のエコーより広い。
被害から5分後の16:00になると弱雷のエコーは”強雷”に発達し、対地雷の数もぐっと増える。
以上から、積乱雲(雷雲)としては発達途中の弱い(小さい)雲から、急に広域の落雷が発生したことがわかる。
これは予測しづらい。
当時は熊谷気象台から「雷注意報」は発令されていた。
ただ、多くの人にとって、雷は目視や音で確認できるため、逆に雷の不存在も確信してしまう。
雷は、どこに落ちるか予測できないだけでなく、いつ落ちるかも予測できない(だから注意報以上に警告度の高い警報は技術的に無理)。
もちろん積乱雲の存在が唯一の根拠になるのだが、発達途中のレベルでも、しかも雲の真下でなくても落雷が発生するのだ。
私自身、そのことは頭ではわかっていたが、実際となると、警戒するまでに至らないだろう。
個人的には、大気中の静電位の測定が落雷危険性の指標になる可能性に期待している。
ここで改めて、落雷被害を避けるための情報をまとめる。
①雷鳴が聞こえている限り落雷の危険がある:つまり雷鳴が聞こえるようになったら要注意。今回はどうだったのか。
②地面からの突起物に落雷しやすい:広場で立っている人間は、避雷針に等しい。逆に言えば窪地に伏せるなら安全度が高い。
③落雷しやすい所の”近く”も危険:側撃といって、落雷の流れを受けてしまう。高い木の下は危険。
④金属などの導体に空間が覆われていれば安心:車の中、鉄筋の建物の中は安心
⑤身に着けている金属を外す必要はない:人間自体が導体だから。体表面に金属をつけていると、落雷時に電流が体表面から地面に逃げて、心臓に行かない可能性すらある。ただし皮膚の火傷は覚悟。